サミットは5月20日、神奈川県横浜市中区に横浜市内9店目、中区内2店目となるサミットストア桜木町コレットマーレ店をオープンした。新型コロナウイルスの影響で、約1カ月遅れてのオープンとなった。
サミットの店数は東京都が80店以上と圧倒的に多く、次いで桜木町コレットマーレ店を含む神奈川県が16店、さらに埼玉県14店、千葉県5店と続く。
今回、既存商業施設の改装に合わせて地下1階部分に出店。JR、市営地下鉄の桜木町駅前の施設のため、電車、バス共にアクセスが良い立地だ。桜木町駅自体が、みなとみらい地区への玄関口の役割を果たす他、横浜市の市庁舎の最寄駅でもある。そのため近隣に住む人の他、働く人、ホテルの利用者、観光客などの利用も期待できる。
桜木町駅徒歩1分に立地。横浜市の市庁舎にも近いが、市庁舎前には4月28日にオープンしたばかりのリンコス横浜馬車道店がある。
ホテルの宿泊客向けの商品を集積
半径500m圏内の世帯数は3809、人口は6243人(18年住民基本台帳)で、サミット平均の6341世帯、1万2130人を下回るものの、近年マンション開発も進んでいることもあって世帯数、人口ともに大きく伸びているという。
また、同圏内の単身世帯比率は60.8%(15年国勢調査)と高く、サミット平均の48.7%を大きく上回っている他、世代別の構成比でも20~39歳が32.0%(18年住民基本台帳)とサミット平均の26.9%を大きく上回るなど、単信、若年層が多い商圏となっている。
出入口は2カ所だが、三角形に近いスペースに売場を配しているため、かなり変則的なレイアウトになっている。概ねフロアレイアウト図の右側が素材ゾーン、左側が惣菜、加工食品ゾーンとなっているが、惣菜、インストアベーカリーがほぼ真ん中になるように配置することで、2カ所ある出入口のいずれからも、惣菜と飲料を比較的ショートタイムショッピングで買えるように工夫されている。
売場はやや大型となる511坪を確保。三角形という変則的なスペースの中に、サミットがここのところ強化してきたライブ感のある売場や作業場の設計、内装、イートインコーナーの「サミCafé」など磨き込んできた取り組みをちりばめた。もちろん、サービス面では専任の「案内係」を配置。お客に寄り添った対応によって居心地の良い店づくりを実現する。
生鮮売場にぞれぞれの惣菜まで網羅、「選べる」売場づくり
青果売場では、サミットの新店・改装店ではおなじみとなった「フレッシュサラダ&カットフルーツ」コーナーを設置。店内で製造した商品で出来たてを訴求して差別化を図る。
商圏として単身者が多く、また就業者の昼食需要が高い地域であるため、小サイズの商品の品揃えを充実させるとともにフェースを拡大して展開。また、サミットでは初めてとなる常設の「ドライフルーツ・ナッツバイキング」売場を設置した。
鮮魚売場では、加工などを受け付ける「おさかなキッチンコーナー」を作業場一体型の開口タイプで展開。鮮度感や品揃えの豊富さ、ライブ感を演出する。
また、鮮魚部門と精肉部門の商品を集積した「簡便・半調理コーナー」を設置する他、冷凍コーナーも充実させた。
青果のサラダ、カットフルーツもそうだが、サミットでは鮮魚、精肉の各生鮮部門で販売している原料を使用した店内で製造した惣菜を、特に大型店ではあえて生鮮売場内でコーナー化することで、素材のこだわりを訴求するとともに、「選べる」売場づくりを実現している。
桜木町コレットマーレ店でもそれは踏襲され、鮮魚売場には「煮魚・焼魚」コーナー、精肉売場には「グリルキッチン」コーナーを設置。商圏の時間帯ごとのニーズを考慮し、焼き魚では夕方に焼きたての商品を販売するなど、近隣の就業者の帰宅時刻を意識した展開とする他、精肉売場でも店舗の条件が似た他店を参考に、グリルキッチンコーナーの陳列量を通常店より早い11時に100%にするといった取り組みも実施。
就業者の昼食需要、家庭での夕食需要などその時間帯のニーズに合わせ、売場や品揃えに変化を付ける。
総菜売場でも、近隣の就業者の昼食需要を捉えて、米飯や寿司を中心に値頃感と適量を意識した品揃えを実施するとともに、曜日で品揃えに変化を付けることで、「飽きのこない売場」を目指す。
時間帯別では、夕方以降についても、おかずやおつまみを中心に品揃えを充実させながら出来たて販売を強化する。
売場の中央部に配置されたインストアベーカリー売場は、エスカレーターを利用するお客が下りてきたときの見え方を意識して配置。こちらも新店・改装店ではおなじみの、売場から作業場内が見えるようにすることでライブ感とシズル感を演出する。
品揃えでは既存店で好評の窯焼きピッツァ、店内製造のサンドイッチ、調理パン、スイートドーナツを充実。
イートインコーナーの「サミCafé」はインストアベーカリーの裏側、売場内に22席分設置。コイン式のコーヒーマシンを導入し、コーヒーのみでも利用しやすいようにしている。
アイテム数は1万334。部門別売上高構成比は、青果14.1%、鮮魚8.7%、精肉12.2%、総菜12.0%、加工食品22.1%、菓子5.1%、日配19.1%、家庭用品2.8%、ベーカリー3.9%。2020年3月期決算書の全社平均と比べ、家庭用品が低い一方で、総菜、ベーカリーが各2ポイント程度高くなっているなど、現在のサミットの戦略が象徴的に表れている。
リテールガイド より転載記事