マツキヨの化粧品構成比率は40%越え

食品構成比率60%に近づくGenky。部門別売上高構成比に見るDgS企業の営業戦略

月刊マーチャンダイジングでは、毎年10月号で上場ドラッグストア企業の決算を特集しています。今回は2018年の企業ごとの部門別売上高構成比率から各企業の戦略を読み解きます。

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医薬品・化粧品よりも食品売上高構成比が高い企業も

図表は、2018年決算の企業ごとの部門別売上高構成比をまとめたものです。

企業別に見ると、食品の構成比率を高くして、その分、医薬品、化粧品などの構成比率は低めに抑えている企業と、医薬品、化粧品など高粗利益率の商材の構成比率を高めに維持しているグループに分かれることがわかります。

まず気が付くのが、ドラッグストアといいながら、食品の構成比率が高い企業が複数あるということです。Genky DrugStoresが58.7%、コスモス薬品は56.2%、カワチ薬品は46.3%となっています。また、食品だけの売上構成比率は決算の発表からは明らかではありませんが、クスリのアオキも食品の売上構成比が高いと推測されます。

少し前まではDgS業界における食品の構成比率が高い企業の代表格はコスモス薬品でしたが、一昨年、Genky DrugStoresが食品の売上高構成比率1位になり、今年もその状況は継続しています。同社は地方の7,000人商圏でも採算が合う生鮮強化型の新業態を開発していて、一般的なヘルス&ビューティ中心の接客型DgSとは違う収益構造にかじを切っていると言えます。

生鮮全店導入により7,000人商圏での勝ち残り図るゲンキー

そして、売上高上位3社は、粗利益率の高い医薬品・化粧品の売上高構成比率が高いこともわかります。ウエルシアHDは、昨年に引き続き医薬品の構成比率が上昇傾向です。その分食品を減らしています。

ツルハHDは医薬品、化粧品の構成比率が減少傾向で、食品が2016年の15.2%から4.6ポイント増加して19.8%となっています。マツモトキヨシHDは化粧品の構成比が40%を突破。一方で医薬品、食品の構成比率が落ちているのが特徴です。

集客に寄与する食品だが、取り扱いの難易度は高い

なお、食品の売上構成比の高い企業のほとんどが、以下の記事で「粗利が低く、販管費も低い」とされたグループに属しています。

同じ営業利益率4%でも稼ぎ方が全く違うウエルシアとコスモス

食品は粗利益率は低いものの、その分集客に寄与し、たくさんの客数を集めて在庫を高速に回転することができます。ただし、食品には賞味期限があり、回転率が高いことから発注、品出し、見切りなど、商品管理の手間もほかの商品に比較して非常にかかる部門です。そのため食品を取り扱う企業の販管費率は上昇する傾向にあります。食品を扱う企業は、そういう意味でも食品の商品管理の仕組み化によって販管費をいかに下げていくかが重要になるといえるでしょう。

<注>
・「医薬品」は基本的に「OTC」と「調剤」を合算した構成比を掲載
・ウエルシアHDの「医薬品」は「医薬品+調剤」
・ツルハHDの「その他」は、「育児用品、医療用品・介護、健康食品、その他」の合計。2018年度の「医薬品」は「医薬品+調剤」
・ココカラファインの「雑貨」は「衛生品+日用雑貨」、「医薬品」は「医薬品+調剤+健康食品」
・クリエイトSD HDの「医薬品」は「OTC+調剤」
・クスリのアオキの「医薬品は「ヘルス(=医薬品、健康食品)」、「雑貨・食品」は「ライフ」、「化粧品」は「ビューティケア」
・キリン堂HDの「医薬品」は「医薬品+調剤+健康食品」、「雑貨」は「育児用品+雑貨など」
・薬王堂の「医薬品」は「ヘルスケア(調剤・医薬品)」、「化粧品」は「ビューティケア」、「雑貨」は「ホームケア」、「食品」は「コンビニエンスケア」
・サツドラHDの「医薬品」は「ヘルスケア+調剤」、「化粧品」は「ビューティケア」、「雑貨」は「ホームケア」、「食品」は「フード」