2018年ドラッグストア上場14社決算から学ぶ(2)

ウエルシア、ツルハ…トップ企業は2,000店、売上高7,000億円も視野に入るDgSチェーン

月刊マーチャンダイジングでは、毎年10月号で上場ドラッグストア企業の決算を特集しています。今回は2018年の売上高ランキングと、2019年の予想売上高ランキングの状況から、ドラッグストア業界の将来の展望について学びます。

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上の図表はDgS上場企業各社が2018年に発表した決算の実績です。

売上高に関しては、1位のウエルシアHDが6,952億円と、あと一歩で7,000億円突破の勢いです。ウエルシアHDは2017年6月に丸大サクラヰ薬局を子会社化、2018年3月に一本堂を子会社化したことによる成長が大きいと見られます。

丸大サクラヰ薬局は、青森県でDgS64店、調剤薬局を8店展開。2016年9月期の売上高は207億円です。一本堂は調剤併設型1店舗を含むDgS42店を運営。2017年9月期の売上高は約91億円。ウエルシアHDはこの買収によって約300億円の売上高と店舗網を得たことになります。

売上高第2位はツルハHDの6,732億円です。前年より約1,000億円上積みしています。ツルハHDの売上高には、2017年9月付で子会社化した杏林堂薬局の78店舗分も含まれています。

昨年売上高3位だったマツモトキヨシHDは、サンドラッグに抜かれて4位になり、5位のコスモス薬品が約10億円差と肉薄しています。ドラッグストアで5000億円以上の企業は、前年に引き続き5社を数えています。

1,000億円未満はGenky DrugStores、サツドラHD、薬王堂です。Genky DrugStoresは2019年の予想売上高を1,100億円としていて、大量出店により売上の桁を上げる構えのようです。

売上高伸長率(前期比)は前期から高速出店を継続するクスリのアオキHDが17.2%でナンバーワン。2桁伸長はツルハHDが16.7%、GenkyDrugStoresが13.8%、ウエルシアHD11.6%、コスモス薬品11.0%、薬王堂10.9%となっています。

2018年決算では、大多数の企業が増収増益となったことがわかります。

「増収増益」とは、前年度の決算や、同じ時期の四半期決算などと比較したときに、売上が増加し、かつ利益も増加していることです。同様のいい回しとして「増収減益」「減収増益」「減収減益」があります。

通常、「増収増益」という場合の「増益」は最終利益である「税引き前利益」を指すことが多いのですが、ここでは営業利益高が増加していた場合に「増益」としています。

2017年度決算で営業利益の前期比が2桁増となった企業は、ウエルシアホールディングス(HD)、ツルハHD、マツモトキヨシHD、ココカラファイン、クスリのアオキHD、キリン堂HD、薬王堂の14社中7社。減収となった企業はなく、増収減益はカワチ薬品とクリエイトSD HDの2社です。

M&Aか、自前出店かで分かれる経営戦略

なお、2019年の予測売上高を見ると、ウエルシアHDが売上高約7,800億円、ツルハHDが7,436億円と1兆円企業登場も視野に入ってきました。

現在売上高第5位のコスモス薬品は予想では売上高6,000億円を突破し、サンドラッグ、マツモトキヨシHDを抜いて売上高第3位に食い込む見込みです。

ウエルシアHD、ツルハHDは出店とM&Aで規模拡大を進めており、一方のコスモス薬品は直営店のみでの展開です。チェーンストアの競争力の源泉は標準化された店舗の大量出店によるスケールメリットと言われています。

どこまで店舗数を増やせるか、企業の規模を大きくできるかは、競合への勝利に直結するため、各社店舗開発力が問われている状況といえるでしょう。