多様化するニーズに応える地域密着型かつ広域商圏対応店舗

「スポーツ」「衣料」「健康」強化のMEGAドン・キホーテ船橋習志野店

2018年8月31日「MEGAドン・キホーテ船橋習志野店」(以下、船橋習志野店)がオープン。近隣にはマラソンロード、サイクルロードなどがあり、商圏の中はスポーツ、健康維持の需要が高い。こうした立地環境を考え、船橋習志野店ではスポーツ関連商品を充実させ、地域の特色に対応している。(月刊マーチャンダイジング 2018年11月号より転載)

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広域で見ると潤沢な商圏人口

店舗のある千葉県船橋市の人口は約63万人、南は習志野市(人口は約17万人)、東は八千代市(同20万人)、北は鎌ケ谷市(同11万人)と接しており、動線などを配慮して、どこまでを商圏と捉えるかだが、広域で20万〜30万人は想定できる潤沢な商圏人口を持つ。周囲には各種業態取り混ぜてチェーン企業の店舗が多い(図表1)。

一方で、店舗周辺は自衛隊の駐屯地と多数の工場があり住宅が少ないことから、日用品や食品など生活必需品の購入者が住む商圏、いわゆる一次商圏の人口は少ない。

「一次商圏の人口が少ないのですが、食品スーパー(SM)が多数あることから、生活必需品を主力とする業態が成り立っていることがわかります。当店も食品、消耗品で一次商圏を取り切って、18時以降、車でご来店のお客さまニーズを取るという商圏の考え方で店を構えています」(New MEGAドン・キホーテ東日本営業本部第2支社支社長佐々木雅法氏)

こうした立地条件から、消耗品、食品をベースに、広域商圏を対象にしたドン・キホーテが得意とする非食品をいかに販売するかが実績を挙げるカギになる。

収益性の高い非食品は日々の買物の中で記憶に残す

船橋習志野店はスポーツ用品店を居抜きで改装してオープン、建物の構造上生鮮食品を扱うバックヤードのスペースがなく、あえて生鮮のための投資をせず、食品部門は主食も賄える日配、冷凍から、調味料、菓子などの加工食品、酒などで構成している。

食品と並んで集客の柱である消耗品は、パーソナルケア(ヘアケア、ボディケアなど)、ホームケア(衣料用、住居用、台所用など)を中心に低価格で販売。

ドン・キホーテは自社のフォーマットを図表2のように分類しており、船橋習志野店が属するNew MEGAドン・キホーテは生鮮食品を抑え衣料を強化していることが特色だ。

同店では衣料品の中でもとくにスポーツ衣料に重点を置き、通常の店舗よりはビジネス、カジュアル衣料を抑えめに品揃えしている。個店の商圏事情に合わせ細かに品揃え、売場レイアウトをカスタマイズできることも同社の強みである。

スポーツ関連商品以外にも、化粧品、インテリア、家電などで、同社が信条とする「ワクワク・ドキドキ」を感じられる商品が充実。人口潤沢な広域商圏からの集客を見据えた店づくりをしている。

「入り口を入って時計回りに進んで、非食品の売場を見ていただき、最後の方に消耗品、食品があるという売場レイアウトにしています。非食品は今日買っていただかなくてもよい、何回も来ていただき、あそこにあの商品があったと記憶に残してもらえればいいのです」

食品、消耗品で集客し、何回も来店するなかで、ドンキお得意の「面白商品」「お買い得商品」(非食品)をお客の記憶に残し、最終的には購買につなげる。こうした意図が明確になった売場レイアウトである。

入り口入って左トレーニング用品コーナー。この店舗の特色を印象づける
入り口から正面、最初に出迎えるのはシーズンイベントコーナー。取材時は驚安のお菓子とアウトドア用品を展開
ドン・キホーテのプライベートブランド(PB)「ACTIVEGEAR」のコーナー。ACTIVEGEARはスポーツ、アウトドア関連のPB、ここでは主に衣料品を扱う
天井板を取り除いて高さを使ったディスプレーをしているのもこの店舗の特徴
自転車は運動、生活に欠かせない地域密着型カテゴリーの一つ。周囲にはサイクリングロードもある
通路は真っすぐにせず、あえて曲線を出して次の商品に出合うまでの期待感を高める
アジアのエスニック小物売場とフレグランス売場を隣り合わせで展開。趣味の世界を追求
アジアエスニック小物はドン・キホーテらしいカテゴリー。シンプルでアナログな世界は若い女性を中心に人気
化粧品売場つけまつげのフック陳列を面で展開。カラコン売場と隣接しており、アイメイクを強化
驚安のクッションファンデ、75%オフで500円
洗濯洗剤売場、「驚安プライス大集合!」のPOPの下で2段式のピラミッド型の什器で大量陳列
消耗品の売場では「毎日使うものだから」というPOPを複数箇所で展開。日常的に使う商品を厚く安く揃えていることを訴求
お菓子売場も低価格と大量陳列で買物客にアピール。POPには「スナック山脈」とあり、文字どおり山積みをウリにしている
和日配のコーナー、什器上のPOPのフレーズはよく考えられている
冷凍食品のコーナー、和日配同様什器の上でPOP展開。楽しさを演出

与えられた権限をいかに活用するかが重要

取材に対応していただいた佐々木氏はドン・キホーテに新卒採用で入社、勤続23年のベテランである。同社内でいかに小売業従事者としての腕を磨いてきたかを聞いた。

「当社は実力主義、成果主義の側面が大きいです。会社が社員に権限を委譲するので与えられた権限をどう活用するかはいつも考えなくてはいけません。

売場も担当するし、商品の仕入れも担当します。多くの仕事を経験し、いかに自分の与えられた権限をさらに、部下に渡し、みんなが自分の裁量を生かして、うまく店を回すか、それを考えて仕事をしてきました。

一番人数が多く店を支えてくれるのはメイトさん(アルバイト従業員)です。経験を積めばメイトさんにも権限を渡して仕入れから売場づくりまで担当してもらいます。彼女たち、彼らがいかに楽しんで仕事をし、地域の情報を持ってきてくれるか、そこが重要だとおもいます」

New MEGAドン・キホーテ東日本営業本部 第2支社 支社長 佐々木 雅法氏

いくつもの強みのある同社だが、大原孝治社長は「企業価値は社員の知恵の総量」だと語っており、働く者個々人の知恵を上げる仕組みこそ、最大の強みではないか。

店舗情報

    • 所在地
    • 千葉県船橋市習志野4-5-5
    • 営業時間
    • 9:00〜翌午前2:00
    • 売り場面積
    • 3,275㎡(約990坪)
    • 従業員
    • 正社員10人 アルバイト所属人数約120人