心を動かし行動を変えるPOPのヒント4 ~前編~

「使用機会提案」POPや「認知促進」POPで心を動かし購買につなげる

ここでは、実際に編集部がまちで見つけた行動を変えるPOPを紹介する。いくつかの切り口ごとに紹介しているので、自店、自分の担当カテゴリーでの情報発信の参考にしていただきたい。(月刊マーチャンダイジング 2018年11月号より転載)

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ヒント1:使用機会の提案

膨大な情報があるなかで、購買行動へと促す手段のひとつは「こういう使い方があります」「こういう理由で商品が必要では?」といった使用提案である。納得すれば購入するし、考えていなかった、知らなかったが確かにそのとおりとおもわせられれば購入チャンスは格段に広がる。

時期への気付き

「さぁ、新学期が始まります」のPOPのもとで上履きをプロモーション販売するコーナー。定番にもあるが、シーズン期に大量販売が期待できる商品を売る「コレクション特売」。新学期の始まりをおもい出させると同時に、「さぁ」という行動を促す最初の言葉が効いている

いましかできない

取材時期は8月、夏休み、お盆と帰省、家族が揃う機会が増えるシーズン。家族揃っての「焼き肉パーティ」を提案している。夕飯で悩む料理のつくり手にとって背中を押されるPOP。「おかえりなさい」という言葉は、人の心を開いて、商品に感情移入しやすい言葉である

マルチ機能、万能性

使い勝手がよく、複数の用途を満たせる商品を具体的に使用提案すれば、購買行動を促すきっかけになりやすい。紹介しているPOPではピザを朝食、おやつに使えることを訴求。「明日の朝食で余ればおやつに」といった心理を期待する。ソーセージは煮る、焼くどちらでもおいしく、用途が多いことを訴求

替えどきはいま

キッチンの蛇口につける濾過器。交換、買い換えが必要なことはわかっているが、日常の使用のなかでそれほど切実に交換、買い換えの必要性を感じない商品はある。蛇口の濾過器のほかにひげそりの替え刃、ハブラシなどが該当する。「定期交換で〜」のワードは必要性を想起させる

ストレートな呼び掛け

昔からお茶漬けは時間のないとき、お酒を飲んだ締めに食べる日本のファストフードだった。時間のないときといえば、朝食が一番該当するとおもわれるが、ササッとお茶漬けを食べようという訴えはストレートに心に響く。「ササッと」という擬音も感情に訴える

ヒント2:サービス・商品内容の認知促進

いくらメーカーが懸命に開発しても、小売業が画期的な新サービスを考えても、現代は商品やサービスがありすぎて、自分に合ったものと出合えないままでいることは多い。商品、サービスの特徴を端的にわかりやすく表現する、案内するPOPが来店客とのマッチング(引き合わせ)を手助けする。

新サービスで新ニーズ開拓

総菜は基本つくり置きなので、便利だが新鮮さに欠けるというのが一般的なイメージだ。この食品スーパーでは店内にある鮮魚を天ぷら、フライ、唐揚げ、塩焼きの4つの調理法で総菜にしてくれる。中食と自炊の中間を狙ったサービスは知れば需要増の可能性はある

心細かなペットケア

ホームセンターの犬のシャンプー、グルーミングに関する案内POP。この店舗では犬のシャンプーや爪切り、耳掃除、デンタルケアなどのグルーミングを請け負う。犬の皮膚のカウンセリングとシャンプーのセット、グルーミングの3点セットなど、お得で専門性の高いサービスを告知。細かいサービスだが、店舗のロイヤルティーを上げるのに効果的な内容

除草剤の選択基準

アマチュアにとって除草剤の種類選びは難しい。このPOPでは「種類」「使い方」「持続性」「枯れ始め」「草丈」「特長」6項目で説明している。商品の特徴を切り分けて、比較できる案内をすることは、難しい商品のトライアル購入(初回購入)につながる

特徴をビジュアルで強調

首掛け式でパス部分が伸びるパスケースのPOP。身分証明書、定期券、入館証などを入れることが多いが、自動改札などはパス部分が伸びると便利。伸びないことで不便を感じているという潜在的ニーズもあり、写真一発で特徴を見せる表現は気付きやすいので、ニーズ開拓には効果的

多品目をコンパクトに説明

ヘアカラー売場はアイテム数は多いが、特徴や違いがわかりにくい課題の大きな売場だ(特別企画参照)。この売場は、ブランド、サブカテゴリーごとに商品特徴をコンパクトに説明している。手間はかかるが商品を探している人にとって購買につながる情報になる

比較で推奨商品を引き立てる

昔から伝統的に愛用されている婦人薬の2大ブランドの比較。推奨商品の方がライバル商品よりも優れていることを比較情報でアピールしている。新規客の獲得が必要な商品なので、比較することで具体情報も発信できて、ニーズ開拓にもつながる

新しい言葉で親近感

ディスカウントストアでの「パッケージサラダ」のプロモーション。定番のチルド什器をブロッキングすることで演出。パッケージサラダとは、カットした野菜で1種類の単体ものから複数種のミックスものまである。カット野菜という表現をパッケージサラダに変えることで、おかず感が増して、より食卓に近いイメージを与える

飲むタイミング

プロテインを飲むタイミングを4つに分けて解説。プロテインのヘビーユーザーには周知の事実だろうが、これから使用を考えている層には、商品の特徴や潜在能力を伝達する内容になっている。プロテインというカテゴリーの新規客獲得に有効なPOP

覚えきれないなら写メで

衣料用洗剤、洗濯用品売場で、洗濯する際の注意事項の表示が変わったことをPOPで案内。かなり細かいので、写メで撮影して資料にしてもらうという想定だろう。必要な資料はスマホで写真に撮って持ち帰るという習慣も広く普及しているので、この流れも考えるべきだろう