この度は、月刊MDご創刊より25周年を迎えられましたことを御祝い申し上げますと共に、これまでの日野眞克先生の業界発展へのご尽力に対し、心より敬意を表します。
月刊MDとクスリのアオキの関わりは、前社長の青木保外志の頃に遡ります。日野先生が月刊MDを創刊されました1997年は、まさに、第一次ドラッグストア成長期の頃であり、弊社が富山・福井両県に1号店を出店し、チェーン化に踏み出した頃とも一致いたします。
月刊MDは、当時まだ少なかった、ドラッグストア業態の理論や技術に特化した大変貴重な冊子であり、その理論の実証に当たっては、ツルハドラッグ様と共に、弊社も積極的に売場を提供いたしました。
医薬品や化粧品のみならず、機能性を中心とした食品の現場検証を重ねるなど、現在のフード&ドラッグの端緒となる取組みも数多く、25年続く業界のバイブルとなるお手伝いをさせていただけたのではないかと思っております。
この間新たにドラッグストアと取組むメーカー様も増えwin-winの関係が築かれておりますのも、日野先生のご功績の一つであると敬服いたしております。
私自身は、弊社が経営難に陥った2010年、代表取締役兼営業本部長として会社を牽引する立場に就きましたが、製薬メーカーに勤めていた私はドラッグストアについての知識が浅く、一から学ぶ必要がありました。
そんな中、月刊MDを精読し、店舗フォーマットなどの基礎的な学びを貴書より得ると同時に、現在のクスリのアオキの経営方針となる「フード&ドラッグ」に舵を切るきっかけとなりました。
2010年6月号の今月の視点にありました、『「来店頻度」を高める商品群、「買上点数」を増やす商品群』の記事に、実験結果と共に来店頻度を高める食品導入の利点が記載されており、ここから知恵をいただき、パン、牛乳、冷食や酒などを扱い、当時は「食品強化型ドラッグストア」とも言っておりましたが、そのフォーマット作りに邁進し、全店改装を実施しました。これが功を奏して、既存店売上高の前期比が大きく伸びて業績もV字回復を実現することができました。
その後、2010年代後半には同質化競争に陥り、地盤の北陸地域に大手競合ドラッグストアの進出も相次ぎ、再び経営難に直面し、現在進行中の新中期経営計画・Vision2026を策定する際、悩みながら生鮮強化や調剤強化に進むべきではと考えていたところ、日野先生のこれからは「フード×ドラッグ×調剤」が最強フォーマットになるという見解に触れて背中を押していただきました。自信をもって既存店に生鮮導入の改装を一気に進め、今期の既存店売上高の前期比が大きく伸び成果が出始めております。
このように、どんな時代でも私の考えに最も合致し、感銘を受けたのは月刊MDでありました。クスリのアオキは月刊MDと共に成長してきたと言っても過言ではありません。
これもひとえに日野先生との出会いがあればこそのことであり、スーパーマーケットやホームセンターが勢いを伸ばしている時代に、先見の明でドラッグストアの可能性を見出し、専門誌の創刊を決意されましたことに、改めて感謝申し上げます。
25年前には、ドラッグストアの売上は2兆5,000億円もいかず、経済産業省の商業動態統計にも取り上げられないような存在でしたが、今や、2025年度末に10兆円を目指すほどの規模となり、コンビニエンスストアの売上に迫る規模へと成長して参りました。ニュー・フォーマット研究所の名前にありますように、25年間たゆまず現場より改革を発信し続け、ドラッグストア業界を牽引し続けてこられた日野先生と、今後もお互いを高め合い、共にドラッグストア業界を盛り上げていけましたら、これほど嬉しいことはありません。
結びに、貴研究所の今後のご隆盛とともに、我が国におけるドラッグストアの更なる躍進に向けてご活躍されますことを願い、挨拶とさせていただきます。