私と月刊MD

株式会社マツキヨココカラ&カンパニー 代表取締役社長 松本 清雄

このような時代だからこそ、業界の発展に向け、頑張ってもらいたい雑誌

月刊マーチャンダイジングにゆかりのある経営者の皆様から、創刊25周年を記念してお祝いの言葉をいただきました。今回は、株式会社マツキヨココカラ&カンパニー 代表取締役社長 松本 清雄氏のコメントをご紹介します!

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月刊マーチャンダイジング誌(月刊MD)が創刊25周年を迎えられたとのこと、心よりお祝い申しあげます。

日本チェーンドラッグストア協会の田中事務総長をはじめ、多くのメーカー企業様、卸売り企業様、小売り企業様のトップの皆様が発起人となられたことも、この月刊MD誌が業界発展に貢献された賜物と考えております。

さて、月刊MD誌が創刊されたのは1997年ということで、ドラッグストアという業態の勃興期でした。当社はその1年前に「ドラッグストア=マツモトキヨシ」のイメージ戦略をスタートさせる全国ネットでのCM展開を開始したことで、当社ブランドとドラッグストアという業態を日本全国に認知していただくことができたものと思っておりますので、そういう意味では、お互い業界の発展に一定の成果をあげることができたと考えます。

その後、我々ドラッグストアは、競争・競合する企業が大同団結し、日本チェーンドラッグストア協会を立ち上げ、一つの目標に向かって進むことができたのも、このような業界を支援いただいた御誌があってのことと感謝申しあげます。

月刊MD誌の創刊当時のことを思い起こしますと、私は店舗の一担当者として実務を経験している頃でした。1995年の入社と共に、業界売上高ナンバー1企業となり、500店舗構想の中で集客力の高い都市型での店舗展開に加え、都市部でお買い物いただいていた若いお客様が結婚して郊外に住む将来においても継続して当社の店舗をご利用いただきたいとの考えから郊外型ドラッグストアの出店を加速させており、当社の急成長期でもありました。

それらの甲斐もあって、1999年に店頭公開から東証二部を飛び越えて東証一部に上場できたことは、今でも感慨深いものがあります。

さて、月刊MD誌には、“店舗の現場で直ぐに使える実務にこだわった”「店舗現場主義」“売り方が変われば売れ方が変わる”という信念を貫く「仮説・実証・検証主義」、“経営トップから聞く”「トップ直結主義」という三つのコンセプトを持って取材・編集・発行され続けたことは、各店・各社の改善や成長にもつながり、その実績が読者の数にも表れているものと考えます。

代表の日野様の著書「ドラッグストア拡大史」の中で、2014年のマツモトキヨシホールディングス社長就任時、私が決断した大量閉店について触れていただております。私は入社以来、店舗やお客様に近く、ともに働くスタッフと同じ視点で、客観的に会社を見てきました。

そして、2011年に東日本大震災が発生した時にマツモトキヨシの社長に、2014年の消費税再増税の時にマツモトキヨシホールディングスの社長に就任しました。競合各社がM&Aや出店強化による規模拡大を図るなか、このような環境の中で、如何に将来の成長に向けた方針を打ち出すかが大きな課題でした。

そして、厳しい状況だからこそ「他社が成長を望む時期に、敢えて土台(基礎)を作り直し、収益の伴った規模の拡大を推進できる企業づくりを目指す」ことにしました。

また、“お店で働いているとき”に、“本部で指示を受けたとき”に、“お客様として利用したとき”に、おかしいと思ったことを修正しよう、そして、現場で現実に携わっている皆さんに力を借りて、その意見を吸い上げられる会社にしようと考え、各種の改善を図ってきました。

その成果が業績に表れたことは、全てのステークホルダーに感謝したいと思っております。正に、当社の改善も月刊MD誌のコンセプトの重要性を現実化したものとなりました。日野様ご本人も、「紙の業界紙・誌の未来は明るくない」とコメントされているようですが、本がネットで販売され自宅に届く、本がWEBで読めるなどのサービスが広まっても、生き残る本屋さんもありますし、紙の本そのものを好んで手にして読まれる方も多くいらっしゃいます。

これはどのような業界でも同じことだと思いますが、いかに「魅力のあるもの」「必要とされるもの」「他に変えられないもの」になるかだと思います。このような時代だからこそ、業界の発展に向け、御誌にはますます頑張っていただきたいと思います。

日野様、月刊MD誌にかかわるすべての皆さまのご健勝と、そして創刊50周年に向けてさらに飛躍されることを祈念申しあげます。