私と月刊MD

ウエルシアホールディングス株式会社 名誉顧問 石田 健二

25年前には想像できなかった日本のDgS躍進振りに感無量の思い

月刊マーチャンダイジングにゆかりのある経営者の皆様から、創刊25周年を記念してお祝いの言葉をいただきました。今回は、ウエルシアホールディングス株式会社 名誉顧問 石田 健二氏のコメントをご紹介します!

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創刊25周年おめでとうございます。

正に新世紀初頭、日本でチェーンドラッグストアの成長発展が本格化する直前のタイミングでの創刊でした。

1960年代零細小売薬業から脱皮して薬局チェーン化を目指す企業数社が誕生発展し、その流れが全国に拡がって薬局チェーンの時代が到来、しかしその競争の原点は薄利多売、折からの高度経済成長の波に乗って全国チェーンも数社生まれましたが企業としての存立基盤は巨大な薬粧品メーカーによる流通支配下でのメーカー製品小売業の域を超える存在ではありませんでした。

そんな時代背景の中でAJD、NIDなどVCグループ活動中心に流通先進国アメリカ視察、研修が繰り返され、薬局近代化の流れはドラッグストア業態開発へと大きく前進しました。

そして全国各地に生まれたドラッグストア(以下DgS)成長発展の実態は業界紙等の紙面で広く紹介され、中でも月刊マーチャンダイジング誌の、要点を適格に捉えた取材記事はDgS企業経営者は元よりそのチェーン化に燃える各社中堅スタッフに価値ある情報を提供したと記憶しています。

私自身も1955年イシダ薬局をスタートアップし1970年代“クスリのイシダ”をチェーン展開する中でアメリカ流通視察を繰り返し、アメリカのチェーンドラッグ各社から多くを学び且つDgS業態開発へのエネルギーを与えられて、他社に先駆けて1979年HACスーパードラッグ1号店をオープン、同業各社も競って薬局からDgSへ、業種店から業態へと大きく舵がきられました。

そしてその潮流を編集方針の中心においた月刊MDは現地取材を誌面で繰り返し特集し、当初試行錯誤を続けていたDgSがスーパーマーケットやコンビニエンスストア等と並ぶ日本の生活小売業として今日、確たる存在へと発展する大きな役割の一端を担って頂いたと思っています。

そうした過程の中で月刊MD主幹の日野さんから「挑戦」という大それた題名を与えれて2008年11月~2009年10月まで11回にわたって日本の小売薬業が薬局薬店という伝統的業種店から生活者に視点をおいたDgS業態小売業へと成長発展していった過程を、挑戦者の一人として個人的な体験を踏まえながら寄稿連載していただきました。

更に2010年7月には約1年に及んだこの連載記事を1冊の本にまとめ且つアメリカ流通視察でのエピソードも加えて「ドラッグストア誕生物語」の表題で出版する事ができました。

あれから13年、現役を退き卒寿を迎えた今でも毎月送られてくる月刊MDを読みながら25年前には想像もつかなかった日本のDgSの今日の躍進振りに目を見張り、感無量の思いで過しています。

平成から令和へと時は更に移り生活者のライフスタイル、ヘルスケア志向の新たな高まりはDgSに更なる変化と対応をもとめています。

DX(デジタルトランスフォーメイション)の進化、AIがもたらす最新の経営技術をDgSの次なる革新の武器としての情報武装は、欠くことが出来ない挑戦と思われます。

月刊MDの次なる役割に期待したいと願っています。