物販だけではなく店舗をメディアとして活用
ココカラファイン東京新宿三丁目店は、新宿駅東口から徒歩5分、人通りの多い新宿通り沿いに位置している。隣は老舗書店の紀伊國屋書店新宿本店。4層構造の売場はそれぞれにテーマを持っている。1階のテーマは「WOW!」。驚きと感動の空間。入口を入ってすぐ右手にはネットで話題の商品、これから売り出したい商品のコーナーを設置してショールーム的なスペースにしている。
オープン当初はインテリアショップのLAWYA(ローヤ)と提携、椅子やテーブルがこのスペースに展示されていた。これまでのドラッグストア(DgS)の枠組みを超えるという強烈なメッセージである。
〈取材協力〉
D2C(Direct to Consumer/メーカーから消費者への直販)スペースと呼ばれるが、商品によっては在庫があり店内で購入できる。在庫のない商品は、QRコードなどを通じて店内、もしくは店外からECサイトにアクセスして購入する。
取材時にこのスペースには玄米を炊いて数日寝かせることで独特の食感と風味が出る「寝かせ玄米」や富士フイルム発売の「アスタリフト」、女性の悩みを解決することをコンセプトにしたセレクトショップ「fermata(フェルマータ)」社の商品が展示されていた。
物販だけでなく、主にECで流通している商品、リアルで販売しているが販路が小さな商品の紹介、体験を提供することで、メディア(広告媒体)としても店舗を活用し収益を得る。広告媒体としては、D2Cスペースに加え店内外のサイネージも活用する。
店舗中央のアイランド型の什器にはそのときどきの話題の商品を陳列、また、取材時には壁面をワイドに使ったさまざまなマスクの陳列もあった。
1階には定番売場は置かず、すべてがプロモーション。トレンド商品、これからトレンドになりそうな商品を取り揃えて入店を促進する。
東京新宿三丁目店の「店舗のメディア化」、新商品の紹介の中で反響のあったものは他の都市型店舗にも横展開する体制になっており、この店には実験店、アンテナショップの役割もある。
「1階は常にわくわくする空間を意識して、一度入店すると各プロモーション売場がマグネットになって、お客さまが順次回遊するように売場をつくっています。また、上層階へ誘導するPOPも置いて店舗全体の回遊の起点となることも心掛けています」(岡野裕也店長)
マツキヨのPBが加わり接客販売がさらに進化
2階はヘルスケア、日用品の売場で「Casual&Warm」(カジュアル&ウォーム/日常的&温かい)がテーマ。東京新宿三丁目店のターゲット客は「働く女性」「観光客」「地域住民」となっている。
続きは月刊マーチャンダイジング 2021年5月号にて!