「自分の年齢でもいいのか?」が気になる主婦パート

主婦が働きたい店の特徴は「〇〇〇がきれい」?

パートタイマー不足に悩むお店は多いことでしょう。そこで今回は、年間400万人以上の主婦が利用する「しゅふJOBパート」などを運営し、働きたい主婦のニーズに応えてきたビースタイルの代表取締役会長三原邦彦氏に「主婦が働きたいお店」の特徴について聞きました。(文:ワークスタイルマネジメント 小林麻理)

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主婦にとって「ランチ」環境は超重要

まず、主婦が働きたいお店の「職場環境」については、次の事項が挙がりました。

・自転車や車通勤など、通勤しやすい環境であること
・清潔感があること
・トイレがきれいなこと
・休憩室など、ランチでくつろげる環境があること
・冷蔵庫など、お弁当を持参できたりする環境が整っていること
・社割など、生活に役立つ制度があること

従業員用の駐車/駐輪場スペースは場所が許せばぜひ設けたいところですが、立地の問題もありすぐには難しい場合もあるかもしれません。一方、清潔感を保ち、トイレをきれいにするといった店の清掃に関することができていなければ、すぐにでも着手したいところです。

また、ランチ環境に関する項目も注目です。「ランチ」を楽しく食べられるか、という点は主婦(女性)にとって重要なポイントだからです。お弁当をいれる冷蔵庫があるかを気にするのも、主婦ならではと言えます。

生活費の少しでも足しになればとパートに出ているのに、お昼や飲料を外で買う必要がある、というのに抵抗がある主婦の方もいることでしょう。休憩室の片隅に小型の冷蔵庫と電子レンジ1台を置くといった工夫はできそうです。

同様に生活費を少しでも切り詰めたい主婦にとって生活に役立つ「社割」は非常に魅力的というのも納得です。「働いてるからこそお得に買い物ができる」というのは、応募に際した動機づけにもなり、その後も店舗への帰属意識が沸きそうです。

「休みやすい」環境づくりは大変だけど……

主婦が働くさいに重要視するポイントとしては「子育てとの両立のしやすさ」も挙がりました。具体的には、次のようなものです。

・シフトの柔軟性がある
・出勤日数を週2日から選べたり、短時間勤務ができる
・子供が何かあったときには休みやすい雰囲気がある
・子供の成長にあわせて働き方に変化をつけられ、長く働ける

シフトの柔軟性は人員確保が必要であるなど、一朝一夕には実現できないことでもあります。まずは、前述の職場環境の見直しなどから始め、「働く人が集まらない、定着しない」→「人員に余裕がない」→「シフトに融通がきかず、休みもとりにくい」といった、人手不足の悪循環に陥らないようにする必要があります。

逆に、良い職場環境づくりをきっかけに、「人が集まりやすい、定着する」好循環を生み出すこともできるでしょう(図)。

三原代表は現状について、「勤務条件が選べてシフトの柔軟性が高い企業が増えています。一方、人気の商品を扱うなど人手不足感が少なかった店舗は、多様な働き方にあったシフトや時給になっていない傾向があり、これから採用に苦戦するかもしれません」と言います。

本当は、「若い人」がいいんでしょ!?

そして環境や条件面以外の面で、主婦から敬遠されるのは「『若手を採用したいけれど、仕方なく主婦を採用している』という雰囲気が感じられる店舗」だそうです。

そうした印象を与えてしまうのは「早番と遅番両方対応必要、10時-19時という遅い時間帯」といったシフトの面だけでなく「写真が若手ばかりで雰囲気も元気すぎる感じがする」といったように求人時に使用する写真が原因の場合もあるようです。

また、仕事を1度離れた主婦にとって「自分の年齢でもいいのだろうか」は非常に気になるものでしょう。ビースタイルが運営する「しゅふJOBパート」の調査によると、求人情報で書いてほしい内容の1位は「年齢」となっています。

ただし法令上、求人情報への年齢掲載は、原則できません。そこで考えられるのが、掲載写真などで主婦の方の活躍をアピールしたり、SNSなどを利用して店から情報発信するという方法です。 

三原代表は「取り組めることはまだまだたくさんあると思います。もちろん、考えこんでもアイデアは出てこない場合もあります。まずは、いま働いている従業員の方に意見を聞くことから始めてみてはどうでしょうか」と言います。

「働きたい、働いている主婦」の意外な本音を知っておくことは、人材募集における差別化のカギにもなりそうです。

取材協力/ビースタイル代表取締役会長 三原邦彦氏