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ラベルを剥がす手間が省けて環境にもやさしい

第28回ラベルレス飲料、販路広がるも「購入あり」が2割にとどまる理由

飲料メーカー各社が、ラベルのない「ラベルレス」のペットボトル飲料の販売を拡充させ、売上が好調だといいます。消費者は廃棄時にラベルを剥がす手間が省くことができ、メーカーはプラスチック樹脂量の使用量を減らせることからSDGs(持続可能な開発目標)にも合致し、ニーズが高まっています。そこで今回は、POB会員に「ラベルレス飲料に関するアンケート調査(N=3033人、2021年5月12日~14日実施)」を実施しました。ラベルレス飲料の認知や購入行動の実態に迫ります。

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ペットボトル購入ユーザーでは認知率50%超

最初にアンケートでは、ラベルレス飲料の認知度を「普段ペットボトルを購入する」と回答した人(N=2,015人)、「普段ペットボトル飲料を購入しない」と回答した人(N=1,018人)における比較調査しました。

ラベルレス飲料の認知度は、「普段ペットボトルを購入する」と回答した人(N=2,015人)のうち、半数以上が「知っている(53.0%)」と回答し、「普段ペットボトル飲料を購入しない」と回答した人(N=1,018人)においても、およそ3割が「知っている(33.6%)」と回答していたことから、「ラベルレス飲料」の認知度や注目の高さがうかがえました。

「購入する機会がない」、「商品をみたことがない」

次からは、ラベルレス飲料の購入状況を調査しました。

まず、ラベルレス飲料の購入経験を尋ねると、3,033人のうち、およそ2割が「購入経験あり(21.7%)」と回答し、前述では認知度の高さがうかがえる結果でありながらも、購入率は2割にとどまりました。

その理由としては、店頭で「ラベルあり」で販売されるペットボトル飲料が主流の中で、「ラベルレス商品を購入する機会がない」、「商品をみたことがない」といったコメントがありました。

実際に購入経験がある人(N=437人:複数回答)の購入理由は、4割以上が「ラベルを剥がす手間が省ける(40.9%)」が最多回答となり、それに次ぐ「目新しさ(28.2%)」、「日頃からエコを意識(22.8%)」が、「安かった(26.7%)」という価格よりも上回り、購入回数は、「リピート購入している(51.1%)」と回答した人が、「1回のみ購入(48.5%)」と回答した人を、2.6pt上回りました。

購入チャネルは半数以上がコンビニ

次に、ラベルレス飲料の購入チャネルを尋ねると(N=437人、ラベルレス飲料の購入経験がある人:複数回答)、半数以上が「コンビニエンスストア(53.0%)」と回答し、「スーパー(35.9%)」、「ネット(26.5%)」、「ドラッグストア(7.7%)」が続きました。

ラベルレス飲料は、法律で義務づけられている原材料表示を個々のボトルでは省き、代わりに飲料が入っている段ボール箱に一括表示するため、「箱売り」が原則で、インターネット通販での取り扱いが主流になっていましたが、最近では、原材料などの法定表示を記載した首掛け式ラベルや、小面積のタックシールなどに貼付することにより、店頭での単品販売が可能となり、徐々に流通し始めています。そのため、今回の調査ではネット購入よりも、コンビニエンスストアやスーパーの店頭販売が上回ったことが考えられます。

次からは、ラベルレス飲料の購入意欲を調査していきます。

まず、購入を希望する同一商品(価格・成分・容量など)のペットボトル飲料が「ラベルあり」「ラベルレス」で販売していた場合、どちらを購入するか尋ねたところ、3,033人のうち、6割以上が「ラベルレス飲料を購入したい(62.3%)」と回答し、「ラベルありを購入したい(37.7%)」を、24.6pt上回りました。

そして、「ラベルレス飲料を購入したい」と回答した理由を尋ねると(N=1,890人、複数回答)、「無駄が少ない・ごみが減らせる(76.8%)」、「ラベルを剥がして捨てる手間が省ける(63.9%)」が上位回答となり、各社ボトルのデザイン性にもこだわりがあるようですが、「おしゃれ・デザインがよいから(4.1%)」にとどまりました。

一方で、「ラベルありを購入したい(37.7%)」と回答した人の理由を尋ねると、(N=1,143人、複数回答)、ラベルがあったほうが「何の飲料かわかりやすい(76.3%)」が7割で、「メーカーやブランドがわかりやすい(40.2%)」、「原材料などの内容がわかりやすい(32.7%)」が続きました。コメントでは、ラベルあり/なしに関わらず、結局安いほうを選ぶといったコメントが一定数みられたほうか、「ストックして置いておく際に、何の商品かわからなくなる事があるから、ラベルがあった方を選んでいる」といった声もありました。

今回の調査結果から、ラベルレス飲料の販売好調の理由として、「イエナカ」時間増加にともなう、生活者の不便・不満の解消につながったことや、ケース売りのネット販売から、身近で購入しやすい店頭販売に販路が拡大し、消費者への認知や購買が広がる動きがあることがわかりました。

現在はブランドが確立している既存商品のラベルレス飲料が発売されていますが、新商品のラベルレス飲料や、ラベルをみて商品を選ぶ人、高齢者の方など、ラベルレスでもわかるような工夫や販促が、定番化にあたり今後の課題と言えそうです。

[調査概要]
POBアンケート N=3033人
調査対象:全国のPOB会員アンケートモニター
調査日時:2021年5月12日~14日
調査方法:インターネットリサーチ
調査機関:ソフトブレーン・フィールド

※POBデータ:フィールド・クラウドソーシング事業を展開するソフトブレーン・フィールド株式会社が、全国のアンケートモニター(以下、POB会員)から独自に収集する、日本初のレシートによる購買証明付き・購買理由データベース「マルチプルID-POS購買理由データのこと。

著者プロフィール

石井麻美
石井麻美

mitoriz(旧ソフトブレーン・フィールド)所属。広告代理店の企画営業や、制作会社でのメディアプロデューサーなど10年以上インターネットメディアに関する職に従事。2017年にソフトブレーン・フィールド株式会社に入社。入社後は経営企画部に所属し、POB会員メディアの企画運営および、POBデータを利用した調査リリース、および業界紙への記事執筆を行う。