お茶系飲料46円、コーヒー157円購入単価アップ
上図は、「お茶系飲料」「コーヒー」におけるレシート1枚あたりの購入状況を2019年と2020年で比較したものです。平均購入個数に変化はほとんどみられませんでしたが、平均購入金額は「お茶系飲料」が、195円から241円に増加し(46円アップ)、「コーヒー」は、311円から468円に(157円アップ)に大きく増加していていることがわかります。
「清涼飲料」、「野菜ジュース」、「炭酸飲料」など、他の飲み物カテゴリーにおいても、30円~40円程度増加していました。
飲料メーカー各社が大型ペットボトルの製品の値上げを発表したのは、2019年4月であったため、その要因を探るべく、全国のPOB会員を対象とした「飲み物の購買行動に関するアンケート(2021年3月18日~19日、N=2015人、平均年齢53歳)」を実施しました。
その結果、コロナ禍により自宅で過ごす時間が増えたことで、「自宅でお茶、コーヒーを飲む頻度が増えた」、「家族と共用するため、容量の少ない飲料よりも大容量のものを買うになった」といった声が多く挙がりました。他にも、新しい買い物様式の浸透により、密を避けるために特売やセールの機会が減少していることも、単価アップの要因として考えられることが推測されます。
また、お茶系飲料市場を牽引する緑茶飲料においては、2020年のオリンピック開催にともなう和文化への注目から、各メーカー緑茶市場の成長を予測し、同年の3月以降、「お~いお茶(伊藤園)」、「綾鷹(コカ・コーラ)」、「生茶(キリン)」、「伊右衛門(サントリー)」の4大緑茶ブランドのリニューアルが続きました。
その効果が消費者の購買行動にどう変化を与えたのか、次からは4大緑茶ブランドを例に、主力商品が同時期にリニューアルを実施した場合の消費者の購買行動を分析しました。
外出自粛・在宅勤務の影響で伸長したコーヒー市場
次からは、「コーヒー」における購買行動の変化を分析します。
「コーヒー」におけるレシート1枚あたりの平均購入金額を2019年と2020年で比較すると、「コーヒー<311円→468円:157円アップ>」と抜きんでており、「今までカフェでお茶をしていたが、自宅で過ごす時間が増え、ドリップ式のコーヒーを数種類購入するようになった」、「コーヒー豆も大容量タイプをストックするようになった」といった声がありました。
2020年は、新型コロナの影響で外出自粛や在宅勤務が広がったことにより、レギュラーコーヒーやインスタントコーヒーだけではなく、スティック飲料においては、350億円の市場規模が予想されるほど注目されています。他にも店頭では、ポーションやカプセルコーヒーマシーンに対応したカプセルなど、様々な用途や嗜好に対応した商品を手軽に購入することができます。
67.7%がスティックタイプ飲料を自宅に在庫
次からは、POB会員アンケートから、主にスティック飲料に着目し調査を進めます。
まず、スティック、ポーション、カプセルタイプの飲料を自宅に保有しているか尋ねると、およそ7割が「ある(67.7%)」と回答しました。その種類は(N=1364人)、最多回答は、「2種類(29.0%)」でしたが、半数近くが「3種類以上ある(46.0%)」と回答しました。
コメントからは、「レギュラーコーヒー、インスタントコーヒー、カフェオレスティックなど、コーヒーのラインナップを充実させている」、「在宅勤務中は、簡単に飲めるポーションやスティックのコーヒーなどを休憩時間に飲んでいる」など、複数の種類をストックし、仕事中やリラックスタイムなど、シーンに合わせて飲み分けをしていることがわかります。
また、豊富な種類から自分の好みにあった商品を見つけることができるため、2人に1人が「自分専用のものがある(48.8%)」と回答し、パーソナル化が進んでいることがわかりました。
ネスカフェ エクセラにみる、スティックタイプコーヒーのバラエティー
最後に、様々な商品のラインナップがあるコーヒーブランド「ネスカフェ エクセラ(ネスレ日本)」のレシートから、商品タイプ別の構成比を分析しました。注目のスティックはどれだけ購入されていたのでしょうか。
上図は、2020年の「ネスカフェ エクセラ」ブランドの購入レシート(N=10,282枚)の商品別の構成比を表したものです。主力は「ネスカフェ エクセラ(47.0%)」や「ネスカフェ エクセラ 詰め替え(11.3%)」などの、瓶や袋タイプがおよそ6割を占めています。
注目すべきは、スティックの構成比です。「ネスカフェ エクセラ ふわラテ(18.3%)」「ふわラテ ハーフ&ハーフ(6.6%)」、「ネスカフェ エクセラ スティック(4.5%)」、「ふわラテ まったり深い味(3.7%)」で(計33.1%)3割を越え、現代人のニーズ・コロナ後のライフスタイルの変化に応える飲料として、広く受け入れられていることがわかります。「カフェ気分を味わうために飲むようになった」など、家庭で簡単に本格的な味が再現できるところも魅力につながっているようです。
今回の調査結果から、新型コロナの感染拡大による飲み物の購買行動の変化として、在宅時間が増えたことにより、家族でシェアして飲むために、複数カテゴリーの大型ペットボトル購入機会の増加だけではなく、コーヒーの飲用シーンの増加にもつながり、イエナカ消費にあった購入が拡大していることがわかりました。
中でもコーヒーにおいては、レギュラーコーヒーやインスタントだけではなく、スティックなど、様々な製品から、仕事中やリラックスタイムなど、様々なシーンや嗜好に合わせて、自分好みのものを楽しんでいることがコメントからうかがえます。
また、新しい買い物様式の浸透により、「買い物に行く回数が減り、いろいろな種類の飲み物を買い置きをするようになった」といった声も多く、身近な場所で購入できる飲み物においても、ストックする傾向があるようです。自宅での飲用・ストックのしやすさだけではなく、持ち運びニーズにも対応しているスティックは、密を避けるためにキャンプなど、屋外でのレジャーが人気を集めていることから、さらに市場の拡大が予想されるでしょう。
(※POBデータ…ソフトブレーン・フィールドによる、 全国のアンケートモニター(以下、POB会員)から独自に収集する、日本初のレシートによる購買証明付き・購買理由データベース「マルチプルID-POS購買理由データPoint of BuyⓇ(以下、POBデータ)」。リアル消費者購買理由データベースとしては国内最大規模の月間300万枚のレシートを収集したもの(提携サイト含める))。
[調査概要]
・POBアンケート N=2015人
調査対象:全国のPOB会員アンケートモニター
調査日時:2021年3月18日~19日
調査方法:インターネットリサーチ
調査機関:ソフトブレーン・フィールド
・POBデータ分析は図表内に調査概要を記載。
①お茶系飲料とコーヒーの購入状況(レシート1枚あたり購入単価)
③「ネスカフェ エクセラ」ブランドレシート全体に占める商品別構成比