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「抗菌・ウィルス」次のピークは11月、12月

第16回新商品登場で活況の洗濯洗剤。新付加価値で独走する「アタックZERO」

今年2月、P&Gが「アリエールジェル プラチナスポーツ」、「アリエールジェルボール 3D プラチナスポーツ」を新発売し、4月には花王が「アタックZERO」で10年振りの刷新を図るなど、洗濯洗剤各社の動きが活発化しています。そこで今回は、「洗濯洗剤」の購買データから買い方の変化を分析します。(調査期間:2018年4月~2019年5月)

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花王・P&G・ライオン3社が続々新製品投入で市場活況


「花王・P&G・ライオン」3社における洗濯洗剤の購入金額構成比をみると、2018年下期から各社新商品の投入がスタート、各社ともに新商品による構成比シェア拡大に成功しています。

まず8月に「速乾性や(ふっくらとした)触り心地」などの新たな価値を提案したライオン「トップ ハレタ」が発売、9月の購入金額構成比は25.6%で前月20.1%より、5.5ポイントアップしています。

その後、2019年2月にP&Gが主力の「アリエール」で“スポーツ”を切り口に「アリエール史上最強消臭洗浄力」を掲げる新商品「プラチナスポーツ」を投入。3月の購入金額構成比は37.6%で、前月35.4%より2.2ポイントアップしています。

同年4月には、花王が「アタックNEO」シリーズの販売を終了し、新洗剤「アタックZERO」を発売、アタック液体史上「最高の洗浄力」、通常ボトルのほか、片手で注入できる「ワンハンドプッシュボトル」や「ドラム式専用」商品を投入。4月における花王の購入金額構成比は、46.1%で、前月42.1%より4.0ポイントアップ。
全期間において花王が購入金額で1位のシェアを獲得し、洗濯洗剤市場を牽引しています。

シェア1位「アタック」、新商品登場でますます好調

次に、「花王・P&G・ライオン」3社における洗濯洗剤の主要ブランド別で購入金額の構成比をみます。

ブランド別では、花王「アタックNEO」が20%以上のシェアをキープ。新洗剤「アタックZERO」は、発売月4月で8.5%(アタック全体27.5%)、5月で8.0%(アタック全体23.3%)のシェアを獲得し、新洗剤においても既存顧客に受け入れられていることが伺えます。

一方、2019年3月発売のP&G「プラチナスポーツ」は数値としてはまだ現れていませんが、2014年同社から洗濯洗剤の新しい形態として発売された「ジェルボール(図表中はGBと記載)」は、「アリエール ジェルボール」および「ボールド ジェルボール」が、今では一定のシェアを獲得している実態があるため、今後の動向に注目です。

他にも、漂白剤や着色料を加えず肌に優しい「P&G さらさ」は、安心安全を求める消費者の心をつかみ、主力の「アリエール」よりも高いシェアを獲得する月も見受けられます。

また、ライオンは主力の「トップ」が大きな構成比を占めていますが、2018年9月発売の新洗剤「ハレタ」や、同月にリニューアル発売した「アクロン」、根強いファンを抱える粉末洗剤の「ブルーダイヤ」などが、数値として表れています。

近年では、「洗浄力」だけではなく、「抗菌」・「消臭」など、様々な機能を提案する洗濯洗剤が増えています。

機能別構成比は「抗菌・ウィルス」が最大

次に、洗濯洗剤の機能や商品特性別で購入金額の構成比をみます。

機能別・商品特性別で構成比をみると、「抗菌・ウィルス」がもっとも大きな構成比を占め、「(アタックZERO)のZERO洗浄」、「無添加・自然派」、「部屋干し用」、「消臭」と続きます。

「抗菌・ウィルス」については、梅雨時の6月~7月と、インフルエンザや風邪など、ウィルスや感染症のリスクが高まる11月~12月にかけて上昇傾向となり、「無添加・自然派」は、ほぼ一定の構成比でリピーターに支えられています。「部屋干し用」や「消臭」は、部屋干しによる生乾き臭を防ぐことや、ニオイ菌を断つというように消費者ニーズが高い機能ではありますが、「抗菌・ウィルス」機能と関連する部分もあるため、数値としては表れにくいことが考えられます。

購買チャネルNo.1はドラッグストア

次に、各社の主力洗剤「花王・アタックZERO」、「P&G・アリエール」、「ライオン・トップ」をセレクトして、店頭における購入チャネルをみます。

各社ともに、購入チャネルとしては「ドラッグストア」が最多となり、「スーパー」が続きます。「花王アタックZERO」のみがスーパーに次いで、「ホームセンター(13.2%)」、「P&Gアリエール」および、「ライオン トップ」は、「ディスカウントショップ」がそれぞれ、21.2%(P&Gアリエール)、15.3%(ライオン トップ)と続きました。

付加価値が購買喚起につながっている「アタックZERO」

最後に、今年4月に発売された新洗剤「花王アタックZERO」の購入者アンケートの結果から店頭販促状況をみます。

購入者アンケートの店頭販促状況をみると、従来品の「アタックNEO」は商品リニューアルに伴う「特売・セールされていた」が50.5%と半数以上の方が回答していますが、「目立つ販促説明(POP)があった(31.6%)」・「同じブランドの商品がたくさん並んで目立っていた(14.0%)」、「購入した売り場とは別に、陳列してあった(7.0%)」・「CMやタレント等、目立つ広告販促があった(5.3%)」などの店頭販促状況は、いずれも新洗剤「アタックZERO」が上回ります。

購買コメントをみると、「どこの売り場でも目立つPOPがあった(30代女性)」・「店内の催事コーナーで目立っていて購入(50代女性)」・「CMでみかけた商品がたくさん陳列されていたので購入(50代女性)」など、主力洗剤10年振りの刷新を消費者にアピールするための売場作りがされていたことや、「好きな俳優がやっていたCMを観て、機会があれば買おうと思っていた(30代女性)」など、旬の若手俳優を起用した広告戦略が購入のきっかけとなっていることや、「ワンハンドプッシュとドラム式専用という新しい形態に惹かれて試し買い(40代女性)」といった、付加価値が購買喚起につながっていることなどが、マルチプルID-POS「Point of Buy®」の購買コメントからわかりました。

今後、新洗剤「アタックZERO」がどのように浸透していくか、また、P&Gや花王に次いで、ライオンが7月に投入する“全部無臭化洗浄”を実現した「トップ スーパーNANOX ニオイ専用」の動向など、活発化する洗濯洗剤市場に注目していきたいと思います。

著者プロフィール

石井麻美
石井麻美

mitoriz(旧ソフトブレーン・フィールド)所属。広告代理店の企画営業や、制作会社でのメディアプロデューサーなど10年以上インターネットメディアに関する職に従事。2017年にソフトブレーン・フィールド株式会社に入社。入社後は経営企画部に所属し、POB会員メディアの企画運営および、POBデータを利用した調査リリース、および業界紙への記事執筆を行う。