使用率は1割程度だが、リピート購入が多い
まず、POB会員の「シャンプーカテゴリ」のレシートから、「ボタニカルシャンプー」のレシート枚数および総購入金額の割合をみます。
調査期間中の「シャンプーカテゴリ」総レシート枚数は約2.7万枚(27,302枚)、総購入金額は約2,000万円(¥19,967,854)。そのうち「ボタニカルシャンプー」のレシートは9.4%(2,598枚)で、購入金額の割合は12.4%(¥2,475,767)となり、レシート枚数および購入金額ともに、店頭購入における「ボタニカルシャンプー」の割合は1割程度でした。
しかしながら、通常のシャンプーと比較すると高価格帯でありながらも、購入者のコメントをみると「いつも使っている」や「詰め替え用を購入」といったリピート購入や、「定番棚から購入した」といった声もあり、販売チャネルには美容院やネットなどの店頭以外も考えられるため、消費者にも“ボタニカルシャンプー”というカテゴリは認知され受け入れられていることが伺えます。
店頭の販促活動が購入の後押しになった「ビオリス」
次に、POB会員のレシートからボタニカルシャンプーのトレンドをみます。
POB会員が購入していたボタニカルシャンプーのブランドは、1位がコーセーコスメポート「ビオリス(32.1%)」で10ポイント以上の差をつけ、2位がネイチャーラボ「ダイアン(18.7%)」、3位がI-ne「BOTANIST(17.4%)」、4位がコーセーコスメポート「ジュレーム(12.4%)」と続き、1位から4位までのブランドで8割を占めています。
また、購入チャネルをみると全体的に「ドラッグストア」が多くの方に選ばれていましたが、1位の「ビオリス」は特徴的でした。(図表3)
「ビオリス」の購入チャネルは、「ドラッグストア」が60.1%に対し、「スーパー」が29.9%で、3割近くの方がスーパーで購入し、2位「ダイアン(8.3%)」、3位「ボタニスト(8.1%)」よりも、20ポイント以上の差をつけています。スーパーでの「ビオリス」購入者のコメントをみると、「イオンのお試しクーポンで試しに購入」や「イオンで前回購入した際にクーポンをもらったので購入」など、チェーンと連動した販促活動が購入の後押しになっていたことがわかります。
定番として受け入れられているボタニカルカテゴリ
次に、主要メーカーのブランド別で購入金額構成比の推移をみます。
2018年3月時点での主要メーカー別の構成比は、1位が「コーセーコスメポート」で、主要ブランドは同年3月に新発売の「ビオリス」と、2013年より発売されている既存商品の「ジュレーム」です。「ビオリス」の投入により、購入金額構成比が3月15.7%から、4月43.5%に跳ね上がっています。その後は、縮小傾向となりますが、既存商品の「ジュレーム」により、購入金額のうち3割~4割の構成比を占め、2019年2月「ビオリス」の新ライン投入により、再び4月には同社の構成比を押し上げています。
また、「コーセーコスメポート」に続き、大きな構成比をみせる「I-ne」は、主要ブランドの「BOTANIST」が、ボタニカルシャンプーの先陣であった認知度で既存商品の根強い人気をみせていますが、「ビオリス」の新商品発売月は構成比が下がる傾向がみられます。
これまでの分析の中で、POB会員のレシートから購入金額の構成比をみると、「コーセーコスメポート ビオリス」の発売により、ボタニカルシャンプーカテゴリに変化が起きていると言えそうです。
ボタニカルシャンプーを牽引し認知度も高い「BOTANIST(I-ne)」が大きな構成比を占めていますが、好調な「ビオリス」と、既存商品の「ジュレーム」の根強い人気もあり「コーセーコスメポート」がボタニカルシャンプーの購入金額の構成比を拡大させていることがわかります。
「ビオリス」の購入者コメントをみると、発売当初の2018年は、「以前からCMを見て気になっていた」や「最近ボタニカルシリーズが流行っているので、使ってみたかったから」といったコメントが多数でCMや広告による“試し買い購入者”で構成されていたことがわかります。
これが1年後の2019年になると、「いつも購入している」や「しっとり仕上がり、香りもよい」などといった“リピート購入者”や“商品に対する満足度”を挙げたコメントが目立ち、定番商品として受け入れられたことがPOBデータからわかりました。
※1:植物由来で作られた成分を多く配合したシャンプー
※図表1~4:ソフトブレーン・フィールド株式会社
「マルチプルID-POS購買理由データPoint of BuyⓇ」
全国の消費者から実際に購入/利用したレシートを収集し、ブランドカテゴリや利用サービス、実際の飲食店ごとのレシートを通して集計したマルチプルリテール購買データのデータベース