売上高9,500億円の最大級DgSグループ誕生なるか

[解説]平成最後の大ニュース。マツキヨHD・ココカラファインが資本業務提携に関する検討と協議を開始

平成最後の金曜日、2019年4月26日にドラッグストア(DgS)業界をゆるがすニュースが飛び込んできました。業界第4位のマツモトキヨシHD(以下マツキヨHD)と、同7位のココカラファインが資本業務提携に関する検討と協議を開始したというのです。取材活動から見えてきた、この2社の共通点について解説します。(編集部)

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2社から発表されたプレスリリースをまとめると

・地域のお客様の健康と美容の増進、生活の充実に最大の価値を置くという共通の理念を持っている
・都市および都市周辺部に多くの店舗を展開するという共通の特徴を有している
・店舗の展開エリアを相互に補完できる関係にある

ということから、

・互いの各種リソースやインフラ、ノウハウなどの経営資源を相互に活用することにより、さらなる発展を目指す

ことにした、ということです。

発表によると、2019年度上期中の合意と最終契約の締結を目指していくとしています。

マツキヨHDは2018年度売上高約5,588億円(2018年3月期)で、店舗数1,654(2019年3月末現在)。一方のココカラファインは同売上高約3,909億円(2018年3月期)、店舗数1,354(2019年3月末現在)。

2018年決算によれば、マツキヨHDは売上高ランキング4位、ココカラファインは7位でしたが、もしこの資本業務提携が現実のものになれば、単純に売上高をプラスしても9,500億円となり、日本のドラッグストアグループとしては最大級の規模になります。

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なぜこの2社が提携を検討することになったのでしょうか。3つのポイントがあったと本誌では予測しています。

①「都心・住宅地」「関東・関西」で展開エリアがすみわけられている

マツキヨHDはオフィス街をはじめとする都心の店舗の強さが特徴です。一方ココカラファインは、都市を含む4種の立地パターンを持っていますが、以下の塚本厚志社長のインタビューにもあるように、なかでも住宅地に強いという特徴があります。

──ココカラファインは、都市、商店街、住宅地、郊外の4つの立地パターンがありますね。

塚本 おおよそですが、都市型が170店、商店街型が320店、住宅地型が400店、あと郊外型が210店という構成(2018年12月現在)で、ココカラファインは「住宅地」に立地する店舗が一番多いのが特徴です。

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また出店地域も、マツモトキヨシが1,654店舗中約900店を関東に出店しているのに対し、ココカラファインは関西の出店が厚いことからも、出店エリアのすみわけは容易にできそうです。

②売上構成比率が似ていて商品政策が近い

マツキヨHDとココカラファインは売上高構成比が似ているのも特徴です。

2018年決算を見てみると、医薬品はマツキヨHDが31.9%、ココカラファインが33.9%、化粧品がマツキヨHDが40.5%、ココカラファインが29.8%となっています。食品の取り扱いはマツキヨHDが9.7%、ココカラファインが11.0%とどちらも10%前後でそれほど積極的ではありません。

商品政策が似ていることから、共同でPBを開発する際の戦略立案の際に方向性を決めやすいのではないかと想像できます。

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③ともに攻めのIT投資を行っている企業である

マツモトキヨシは売上・顧客データ分析に基づく売場作りや、マツキヨアプリを使った顧客獲得施策、ワントゥワンマーケテイングに接客的に取り組んでいることで知られています。同社のポイントカード会員、LINEの友だち、公式アプリのダウンロード数を合計したグループ会員数は、延べ5,100万人超(2017年9月末現在)まで拡大しています。

またココカラファインもクラブカードの会員が700万人を超え、カード会員に「ココカラアプリ」を利用してもらう活動を進めている途中です。

このように両社とも、DgS業界の中においては、攻めのIT投資を行っている企業ということができるでしょう。双方の会員データを集約することで、相当大規模なデータ基盤ができるのではないかと考えられます。

以上のことから、この2社の提携に関しては、オペレーションレベルは同水準にありつつ、立地・出店の面ではすみわけができており、提携における相当なシナジー効果が得られるのではないかと本誌では予測しています。