店内調理に慎重姿勢を方向転換か?セブン−イレブンの「出来たて」商品開発

セブン−イレブンの「お店で揚げたカレーパン」が2023年の1年間で約7,700万個を販売、ギネス世界記録に認定された。カウンター内で揚げる「出来たて」を訴求するカレーパンをなぜ今、ギネス申請なのか?店内調理品に慎重だったセブンが前号の焼きたてピザに続き、「出来たて」の新たな次元を開拓する。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2024年10月号より転載)

誰でも同じ商品を間違いなく調理できる「出来たて」が前提

セブン−イレブンが「出来たて」をコンセプトにした商品開発を強化している。「作り立て」といってもいいし、セブン−イレブンではこれを「〇〇たて」と称している。工場生産のパッケージした商品ではなく、最終工程を店内で実施して提供する商品に注力している。

ペーパードリップで一杯ずつの抽出する「淹れたて」の「セブンカフェ」(2013年9月にコーヒーマシンの全店導入完了)、専用マシンで提供するフレッシュな「混ぜたて」を訴求する「セブンカフェスムージー」(2017年に実験開始、2023年3月本格展開)、冷凍生地を店内で焼成する「焼きたて」の「お店で焼いたピザ」は、今年8月時点で首都圏、九州、北海道エリアの約200店舗で販売している(本誌連載前号に詳説)。

「お店で揚げたカレーパン」はセブン−イレブンが次の成長戦略で期待する商品配送サービス「7NOW」との相性もよい。7NOWは24年度中に全国展開を目指しており、カレーパンの売上を押し上げる効果も期待できる

そして「揚げたて」では、本稿で詳説する「お店で揚げたカレーパン」や、既存の「ななチキ」「牛肉コロッケ」「からあげ棒」といったフライヤー(揚げ物)商品(2007年10月より関連商品を発売)をカウンターで提供している。

淹れたて、混ぜたて、焼きたて、揚げたてといった「出来たて」商品により、ワクワク感や特別感を訴求、集客効果につなげている。特にセブンカフェのコーヒーは1店舗1日当たり百数十杯を販売する商品に成長している。

特筆すべきは、淹れたても混ぜたても、人の手を介さない機械によって出来たてを実現、焼きたても揚げたても、時間をセットして冷凍素材を調理器具に入れるだけなので、従業員による出来上がりの「ブレ」が理論上は起こり得ないということだ。カレーパンを上手に揚げる「揚げ物名人」が生まれる素地はない。すなわちシステムにより出来たてを提供している。

「お店で揚げたカレーパン」のカレールーの製造工程。30種類以上のスパイスを工場でブレンド、ここでは1回でカレーパン1000個分を作る

この「〇〇たて」は、セブン−イレブンが先行したわけではない。むしろ他のチェーンと比較しても慎重に進めてきたといってよい。例えばセイコーマート(経営/セコマ)は店内厨房「ホットシェフ」を業界に先駆けて1994年にスタート。セコマのホームページには次のように記されている。

『始めた当初から変わらぬ思いは「出来立てはおいしい」という信念。忙しい毎日でもあたたかいお弁当やおにぎりを楽しんでもらえるよう、今日も店内のキッチンでごはんを炊いています』。

この「ホットシェフ」に対する正しい評価は、業界に先駆けたアイデアというよりも、商品を全店でブレなく提供可能とした開発力と運営力にある。北海道内1,094店舗中(7月末)、800店舗以上にキッチンを構えている。

カレーパン専用のパン粉を付けて専用機器で「加温」する。工場では「揚げる」のではなく「加温」して冷凍する。(加温の機器は撮影不可)

立ち上げ当初は、全ての店舗で同じ味と仕上がりを求めたため難しいチャレンジと見られていた。しかし、実質創業者の赤尾昭彦氏(故人)が製造機器の改善や食材供給体制の整備により、商品のブレを根気強く解消して現在に至っている。

セイコーマートでは「炊きたて」のご飯を盛り付けた弁当、「握りたて」のおにぎりといった出来たてを提供している。セイコーマートには、商品にブレがほとんどなくても、従業員の熟練度に頼る部分が少なからずある。セブン−イレブンは弁当やおにぎりの領域には手を出さない。誰でも同じ商品を間違いなく調理できる出来たてを前提に、おいしさを追求している。

その小さな「意思」の積み上げがチェーン全体の繁栄につながる

その揚げたて商品における近年のヒット作「お店で揚げたカレーパン」(税抜き149円)がギネス世界記録に認定された。2021年6月に一部エリアで販売をスタート、2023年1月から12月までの累計販売数が7,698万7,667個となり、2024年7月16日に「最も販売されている揚げたてカレーパンブランド(最新年間)(2023)(Best-selling freshly made curry breadbrand)(current)(2023)」として、ギネス世界記録に認定された。セブン−イレブンでは、初めてのギネス世界記録認定となった。

ギネス世界記録への申請には幾つかの要件がある。世界一であること、(他の誰かの)記録更新が可能なこと、標準化が可能であることなどだ。揚げたてのカレーパンを販売する専門店は数多くあるが、セブン−イレブンの店舗数2万1,592店舗(2024年7月末現在)からすれば、販売数世界一は確定した内容である。結果として、一般消費者に向けた販促効果、および加盟店への後押しになる。

年間販売数を1店舗1日当たりに換算すると10個弱になる。日販10個弱は単品として決して少なくはないがセブン−イレブンには1日100個以上「売っている店」もあり、チェーン本部としては、加盟店の努力次第では、さらに上積みが十分に可能な商品と見ているようだ。

コンビニ業態はセルフ販売であるが、セブン−イレブンのチェーン本部は、加盟店に対して、単品を売り込む「意思」に基づく売場づくりへの思いを、従業員一人一人が持つように指導している。例えば新作のスイーツに対して、日販何個、週販何個と加盟店オーナーのもとで目標を立てさせることで、担当者が陳列を工夫したり、POPを付けたり、装飾を加えたりと、あれこれ意思を持って販売に臨むことを薦めている。

特に「お店で揚げたカレーパン」については、お客に対して「ただ今、カレーパンが揚がりました〜!」と声掛けをする、あるいは、なじみのお客に対して時間をいただき、揚げたてのカレーパンの提供も可能だ。従業員の意思により、販売数量を高めることが期待できる。

誰が調理しても商品の品質にブレはないが、販売に関しては従業員の意思が大きく左右する。セブン−イレブンは、全体から見れば、その小さな「意思」の積み上げにチェーンの繁栄があると考えている。

カレーパン製造に必要な機能を1つの工場に集めて鮮度を強化

「お店で揚げたカレーパン」は、創業期からのベンダー企業である武蔵野フーズと開発を進めてきた。カレーパンを製造するには、パンを製造する製パン設備、カレールーを製造する加熱設備、カレーの香りを閉じ込める冷凍設備の計3つの設備が必要になる。

セブン−イレブンは、それら3つの設備を1つの工場に備えたインフラを構築、セブン−イレブンの専用工場として差別化を試みている。カレールーを他の製造工場から運ぶのではなく、同じ工場内で製造することで、自社の仕様へのこだわりと、高鮮度の追求が可能になる。

「おいしい商品には技術が必要です。スパイスはおいしさのポイントになりますが、香りが飛んでしまうところに一番の課題がありました。一般的にカレーは日を置いてなじむとおいしいといわれます。確かに時間の経過で、おいしさの深みが出ます。しかしながら、カレーパンは揚げたての食感と、香りの高いスパイスが大切。それをどう表現していくかに試行錯誤しました」(セブン−イレブン・ジャパン商品本部FF・冷凍食品部シニアマーチャンダイザーの米田昭彦氏)

スパイスの香りが飛ばないように、パン工場では数少ない、しっかりとした冷凍設備を求めた。このカレーパン製造の拠点になったのは、武蔵野フーズが2005年3月に竣工した「カムス第2工場」(埼玉県比企郡嵐山町)になる。2012年5月に増築して最新設備を導入、日本最大級の大型パン工場となり、食パン、菓子パンなどを製造している。セブンプレミアムの「金の食パン」も同工場で製造している。

カレーパンは同工場をモデルに計5拠点で製造するが、同工場が全体のおよそ5〜6割を担っている。カレーパンの製造能力は1時間に約3,500個程度になるという。全店で1日21万個を販売するので、工場も各地に拠点が必要になる。

セブン−イレブンでは、カレーパンから派生した「とろけるチーズカレーパン」(176円)の販売を7月から開始。将来的には季節によりカレールーの内容を変えるなど細部にも注力していく。セブン−イレブンでは前述したように「出来たて」の切り口で商品開発の開発に挑んできた。おいしさの追求も新たな次元に入ったようである。

セブン−イレブンが外食デリバリーの象徴「宅配ピザ」に参入する理由

コンビニの客数が頭打ちである。売上は商品の値上げで前年を上回るものの、客数が増えないことには業態の成長は見込めない。そこでセブン−イレブンが次期成長戦略に位置付けているのが配送サービス「7NOW」であり、客数と売上のアップに期待している。全国展開を目前に控えた今、新たに宅配ピザをフィーチャーしている。成功する目算はあるのか。その意図を考えてみる。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2024年9月号より転載)

焼きたてのピザとベーカリーで配送サービス「7NOW」を活性化

セブン−イレブンは、次期成長戦略に位置付ける配送サービス「7NOW(セブンナウ)」を2024年度中に全国展開する。2024年8月には関西2府4県、山口県、鳥取県、島根県、福島県を追加、計26都道府県で、約1万6,000店まで展開している。

7NOWの実証実験は2017年に北海道の一部エリアで「セブン−イレブンネットコンビニ」としてスタート。2022年2月には、サービス名称を「7NOW」に変更した。これまで7NOWでは、リアルタイム在庫連携を活用した約3,000アイテムの品揃えや、最短20分での配送、ドローンやロボットといった配送手段の実証実験などを経ながら進化を続けてきた。

そして全国展開が見えたタイミングで打ち出したのがピザの宅配である。店内の焼成機でつくる焼きたてのピザは、水面下で実験を進めた後、本年2月29日オープンの「SIPストア(セブン−イレブン松戸常盤平駅前店)」でメディアに公開している。このSIPストアは、既存のセブン−イレブンに新たなコンセプトを注入した店舗として注目を集めており、詳細については本誌4月号を参照していただきたいが、焼きたてのピザを、7NOWの主力商品の一つに育成する意思を表明している。

今回は、一部店舗でテスト販売中の「お店で焼いたシリーズ」を7NOWによって最短20分で配送する取り組みを進めている。そのメインとなる商材「お店で焼いたピザ」のお届けを首都圏30店舗で実施してきた。8月には首都圏と九州、北海道エリアを合わせて200店舗体制に持っていく。

「お店で焼いたピザ」の左から「マルゲリータ」780円(税込み、以下同)と「照り焼きチキン」880円

商品は「マルゲリータ」780円(税込、以下同)と「照り焼きチキン」880円、この価格は店頭価格で、7NOWでのお届け商品には1〜2割程度の上乗せした金額を設定、さらに配送料110〜550円としている。大きさは宅配専門チェーンのSとMサイズの中間くらいで、およそ1〜2人分を想定している。

合わせて「お店で焼いたベーカリー」も、東北6県と茨城県、首都圏(1都3県)、東海3県、九州7県の840店舗(6月末)で実証実験している。商品はメロンパン、クロワッサン、チョコクロワッサン、カスタードデニッシュ、フィナンシェ、チョコクッキーがある。ベーカリーに使用する焼成オーブンはピザと共用できる。

なぜ今、お店で焼いたピザの投入か?宅配専門チェーンに負けない理由

7NOWの新たなコンセプト「お気軽デリバリー」は、短時間で、どんな場所にも、何でも届けてくれる、どんな場面でも使える価値を訴求する

そもそもなぜ「お店で焼いたピザ」なのか?

第1に7NOWの売れ筋の動向が理由にある。セブン−イレブンによると、7NOWの売れ筋単品トップ20を見ると、揚げ物が多く含まれているという。アメリカンドッグ、コロッケ、ななチキ、からあげ棒、揚げ鶏といった商品が上位にあり、店内で揚げた、いわゆる“アツアツ”の商品への要望が高いと認識している。そこで今回、「店内で焼く」という結論に至った。

第2の理由は7NOWの全国展開というタイミングにある。

商品開発を担当したセブン−イレブン・ジャパン商品本部次世代商品開発シニアマーチャンダイザーの赤松稔也氏は次のような経緯を語る。

「セブン−イレブンは、2008年にカウンター調理(フライヤー)商品の販売を開始、2013年に淹れたてのセブンカフェを導入、そして今回2024年に本格的なピザの開発が可能となり、この焼きたての象徴であるピザを、7NOWでお届けできるタイミングで打って出たいと考えました。」

恐らく7NOWの全国展開が完了した後、大掛かりな販促を掛けていくであろう。その際の象徴的な商品がマーケットでもなじみのあるピザなのである。

第3の理由に協力ベンダーの育成がある。ピザの供給はセブンプレミアムゴールド「金のマルゲリータ」(冷凍)と同じメーカーが担っている。このメーカーは、セブン−イレブン専用の工場を稼働させて、セブン−イレブンに商品を供給している。こうしたベンダーの協力があって「お店で焼いたピザ」を実現させている。

「金のマルゲリータ」は、家庭でのレンジアップを前提にした、パリッとした薄い生地を採用している。一方で「お店で焼いたピザ」は焼成後の時間を考慮して、もっちりとした食感を残した。多少冷めても、おいしく食べられる仕上がりにしている。お客がどのような環境で口に運ぶのかを今後も注視しながら改良を加えていくという。

第4の理由にデリバリーピザのマーケットにある。

日本の外食産業において、近代的なデリバリーサービスは、米国ドミノ・ピザ社とエリアフランチャイズ契約を締結し、1985年9月に日本法人(ワイ・ヒガコーポレーション)が始めたピザの宅配である。それまでは、そば店や中華料理店、寿司店による「出前」はあったが、デリバリーを「専門」とする近代的なサービスはなかった。店内の飲食が提供の基本にあり、出前はその「ついで」に位置付けられていた。

日本のドミノ・ピザは業界常識を打ち破り、デリバリーサービスを基本にした商品とサービス、システム開発を日本の特性に合わせて組んでいった。その後、ドミノ・ピザの成功を契機に、さまざまな業種でデリバリーサービスが生まれていった。セブン−イレブンは、デリバリーサービスの歴史をつくった象徴的な商品「ピザ」に挑戦する。

ピザ宅配の上位3チェーンである、ドミノ・ピザ、ピザーラ、ピザハットを合わせると店舗数は約2,000。拠点数から見るとセブン−イレブンの21,566店舗(6月末)の10分の1以下である。セブン−イレブンは宅配専門チェーンと比較しても、はるかに商圏は小さい。「宅配ピザ」の未開拓地に新たなマーケットを築くこともできる。

あるいは上位3チェーンの宅配エリアであっても、宅配ピザをオーダーした経験のない人は多い。一方で7NOWであれば、他の商品の“ついでに”試してみるきっかけにもなる。ピザの市場は子どもから大人まで幅広い。7NOWの利用が多い20代から40代の女性にもマッチする。7NOWとも非常に相性が良いのだ。

7NOWがピザに取り組む上で強みになるのが、店舗で品揃えしている約3,000アイテムの中の商品を一緒にお届けできること。アイスクリーム、冷凍食品、人によっては欠かせないお酒、ドリンク、日用品までピザと一緒に持っていける。

セブン−イレブンが仮に全店規模で「焼きたてのピザ」を提供し、成功していくと、他のコンビニチェーンにも波及していくであろう。

配達プラットフォームの複数活用で最短20分と配送エリア拡大を実現

実際に7NOWは、どのようなお客に利用してもらっているのか。実店舗の利用客層は、男性女性がほぼ半々、年代は40代、50代が多い。一方の7NOWは女性比率が65%、年代別では仕事や子育てで忙しい20代、30代、40代が多いことを特徴としている。

7NOWの利用の買われ方の特徴として、客単価が店頭販売の平均752円に対して、7NOWが約3倍の2,234円。買上点数が店頭販売の平均3.22点に対して、7NOWが約2.7倍の8.57点となり、まとめ買いの傾向をつかんでいる。

一方で、7NOWは加盟店の従業員が商品をピックアップする。そのためチェーン本部は「使いやすさ」に対して最大限に注力する。

店舗専用端末の特徴として第1に商品が探しやすいこと。カテゴリー順にピックアップすべき商品が表示されているため、従業員の動きに無駄が生じない。第2に端末に表示された画像の商品をスキャンするだけなので間違いがない。第3に上記端末による商品スキャンにより自動的に店の売上と連携が完了する。

「人手不足の状況下で、本当にこのサービスは、お店に浸透していくのかといった声も(加盟店から)最初はありました。ところが実際に7NOWを導入いただいた後では、こんなに簡単に操作できるんだったら支障はないと好評です」(セブン−イレブン・ジャパン企画本部ラストワンマイル推進部マネジャーの由井大輔氏)

今後も店舗の負担を1秒でも縮めるべく、システムは常に更新していく考えである。

ウーバーイーツは、7NOWのアプリから注文を得たセブン−イレブンの商品を、ウーバーイーツの配達員が届ける「UberDirect(ウーバーダイレクト)」を実施している。これは、取引先企業の自社サイトやアプリで販売する商品を、ウーバーイーツの配達ネットワークを活用することで配達できるサービスである。

セブン−イレブンは、これを7NOWに試験的に導入、ウーバーダイレクトの対応店舗を増加させてきた。セブン−イレブンは、提携する配送業者やウーバーイーツのような配達プラットフォームを複数活用することで、配送エリアを拡大。需要が高まったときのマッチングを、ほぼ100%にしている。それも全国展開を可能とした大きな要素といえるだろう。

ウーバーが袋詰め作業の新サービス開始「まいばすけっと」1,000店舗に年内導入

Uber Eats Japan(以下、ウーバーイーツ)は、新たなサービス「ピック・パック・ペイ」(以下、PPP)を、イオングループが首都圏で展開する「まいばすけっと」に導入。ウーバーイーツの配達員が従業員に代わり、ピック作業から会計まで行うサービスを、日本で初めて導入する。2024年6月から「まいばすけっと」20店舗でスタートし、2024年12月末までに1,000店での展開を目指していく。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2024年8月号より転載)

スムーズな店内作業に役立つ5つの機能で配達者の負荷軽減

ウーバーイーツについては2019年8月よりコンビニ大手のローソンが導入、レストランメニューの配達メインであったサービスを、いち早く小売業で実現、本年6月23日時点で6,000店舗を突破するなど、徐々に拡大させている。その一方で、少人数で運営する店舗にとって、ピック作業は負荷が大きく、導入が難しい店舗も多く、課題の一つとなってきた。

そこで今回、「まいばすけっと」が取り入れたのが配達員にピック作業から会計までをお任せする方式である。PPPを導入した配達の流れを簡単に説明する。

ウーバーイーツ専用のアプリを起動した配達員は注文者からのリクエストが入るまで待機し、「まいばすけっと」へのリクエストを受け取ると店舗へ向かう。通常であれば飲食店の調理品や、小売店の袋詰めされた商品を受け取り、注文者の住所に向かう。

ウーバーイーツの配達員は全国で10万人が稼働している。
リクエストを受けて「まいばすけっと」に到着

しかしPPPの場合は、ピック作業から会計までを、配達者自身が店の従業員に代わって行う。この一連の作業を配達員が希望しない場合は、最初の段階でリクエストを拒否することもできる。この後は通常と同様、注文者の住所に向かい、商品を受け渡し、配達を完了させる。

商品の価格は店頭価格に上乗せした金額を注文者に表示する。さらに店舗からの距離や時間、時間帯、天候などで変動するウーバーイーツが定める配達料が加算される。こうした価格設定は、セブン-イレブンが推進する「7NOW(セブンナウ)」と同様である。この新しいサービスのPPPを導入するに当たりウーバーイーツは、配達者による店内作業がスムーズに行われるように、以下の機能を追加した。

①商品(約3,000品目)のバーコードをアプリで読み取り、正しい商品かどうか確認する機能
②商品欠品の際、代替商品を注文者とアプリ上で確認できるチャット機能
③配達者が決済時に使用する、PPP支払い専用のデジタルカード
④PPPの開始をサポートする配達パートナー向け案内機能
⑤店内の商品位置をアプリ上で確認できる商品棚情報連携機能

①は、誤った商品をピックしないように、類似商品をスキャンした場合に、商品の間違いを指摘する機能を搭載。再度、正しい商品を読み込むようにアプリ上で指示が出る。

②は、注文者のオーダー画面と店舗の在庫が連携するものの、厳密にはリアルタイムの連携ではなく、リクエストを受けた後に、配達者が欠品を知るケースもある。その際、代替商品を注文者とチャットで確認できる機能を付けている。

また、注文者がオーダーをする際に、Aが欠品の際は代替商品Bでよいかを事前に登録する機能も加えており、注文者と配達者の互いのストレスを軽減させている。

③について補足すると、配達者は売場でピックする際に、商品のバーコードを読み取る作業、続いて売場のセルフレジ(セルフ優先で、それがなければ有人レジ)で、商品バーコードをかざし、PPP支払い専用のデジタルカードで精算する。

すなわち、バーコードの読み込みが1オーダーにつき2回発生する。課題として、イオングループの食品売場で一部導入しているスマホレジのように、1度のスキャンで精算まで完了するシステムへの移行も、ウーバーイーツ、「まいばすけっと」、イオンの3者での取り組みが必要であろう。

④は、新しい機能なので、配達者へオペレーションの周知徹底を図る必要がある。

⑤は、配達員のストレス緩和に影響は大きい。配達員は男性が多く、コンビニは使い慣れしていても、小型スーパーの「まいばすけっと」に、多くの配達員はなじみが薄い。商品を探す手間を軽減する必要な機能といえる。

売場で商品のスキャンを終えたら、次に店内のレジで一つひとつの商品を読み取らせる。店に負担をかけないように、できるだけセルフレジで行う

リアルとネットをシームレスにつなぐ“生活圏の創造”をイオンが推進

ウーバーイーツジャパンは今年8周年を迎える。Uber Eats Japanグロサリー・リテール事業代表のユリア・ブロヴキナ氏によると、同社の取扱高は前年比2ケタの成長を継続しているという。また、2019年に立ち上げたグロサリー・リテール事業は、スーパーマーケット、コンビニ、ドラッグストアと取り引きをして、2023年度に前年比180%を達成、最も成長しているサービスの一つだという。

「PPPが、高齢者や自由に外出できない方々にも食料品をお届けできる食料品アクセス問題の解決の一助になればと思っています。特に人員不足に悩む店舗を念頭に、これまで以上にウーバーイーツのオンラインデリバリーを利用いただけることを期待しています。全国に10万人を擁するウーバーイーツ配達パートナーにとって、PPPは報酬機会が増えることを意味します。すなわち、お客様、加盟店、配達パートナーにとってwin-win-win、いわば三方良しのサービスといえるのです」(ユリア・ブロヴキナ氏)

一方、PPPを導入する「まいばすけっと」に関して、イオンDX推進担当の菓子豊文氏は次のような意義を語る。

「イオンでは、『イオン生活圏の創造』と『デジタルシフトの加速と進化』を中期経営計画に掲げ、その一環としてデジタル売上の拡大を進めています。今回、クイックコマース分野での取り組みも加速させ、今後はグループトータルアプリ『iAEON』とも連携を図り、店舗・デジタルが融合されたシームレスな体験をお客様に提供します」

現在、イオングループでは、イオンネットスーパー「おうちでイオン」やオンラインマーケット「Green Baens(グリーンビーンズ)」などに取り組んでいる。

しかしながら、イオングループのEコマースの売上高構成比が10%に届いていない事業会社が多い。イオンリテールの食品売上で10%を超えた程度であり、グループとして20%はEコマースで確保しないと将来的に厳しくなるという危機感を抱いている。

今回のPPPはクイックコマースに位置付けられる。例えば急に体調を崩して買物に出られない利用者に対して、「まいばすけっと」から生鮮品や日配品を即座に提供できる。クイックコマースの利点である。一方で、計画的な商品の購入であれば「おうちでイオン」、東京都内の広い範囲であれば「グリーンビーンズ」といった選択肢を提案している。

「こうした取り組みが複層的に重なり、つながり合うことで、地域の生活者を起点として商品・サービスなどをシームレスに提供して『イオン生活圏の創造』を実現していきます」(菓子氏)

チェーンストアが実現する生活の豊かさは、買物における選択肢の多さとつながっている。価格帯や品種、品目、立地、コンビニ以降は時間帯が加わり、近年はEコマースへと広がり、リアルとネットをシームレスにつなげる“生活圏の創造”をイオンは推進している。

今回、PPPを導入した「まいばすけっと」は2005年に創業して以来、1,154店舗(6月26日時点)を展開、東京、神奈川を中心に2021年に千葉県と埼玉県に進出を果たしている。店舗面積は40坪〜80坪、3,500アイテムをそろえている。生鮮品と加工食品の構成比の高さから小型スーパーに分類されるが、営業時間が朝7時から24時までの店舗が多く、おにぎり、米飯弁当、サンドイッチ、調理麺を扱うことからコンビニ的な使われ方をしている。

2024年2月期の売上高は2,578億1,900万円(対前期比115.8%)、営業利益74億8,600万円(同396.5%)となり、売上高、営業利益ともに過去最高を出している。イオン取締役兼代表執行役社長の吉田昭夫氏は次のように評価する。

「『まいばすけっと』は、居住地からの至近性と、継続的に行ってきたオペレーションの最適化、そしてPB『ベストプライス』の安さから提供価値を高めている。今後は開発体制をさらに強化して出店を加速、首都圏でのシェアアップを早めていく」

平均日販は筆者推計64万8,000円(2024年2月期)、セブン−イレブンの69万1,000円(同)に迫る勢いで伸長している。「まいばすけっと」がPPPでどれだけ上乗せできるか、開発体制の強化とともに都市生活者のクイックコマース市場に訴えていく。

ミニストップが「ニューコンボストア」をオープン

ミニストップ創業以来の「ファストフード」と「コンビニエンス」を融合したコンボストアを展開しているが、コロナ禍を経た現在の環境変化や多様なニーズに応えるため、さまざまなチャレンジを集めた「ニューコンボストア」(ミニストップ神田錦町1丁目店)をオープンした。ミニストップによる次世代のコンビニづくりの全容をリポートする。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2024年7月号より転載)

「出来たて」を提供 おいしさで優位性を発揮

ミニストップ神田錦町1丁目店(東京都千代田区神田1-1)。店舗面積は約79坪、ファサードのカラーも、この店舗に限り、黄色を外して青色に統一した

ミニストップは、コンビニ大手3チェーンの次に来る中堅チェーンに位置付けられる。店舗数は国内1,856店舗(2024年2月末、以下同)、国内チェーン全店売上高は2,830億3,400万円。セブン−イレブンの国内2万1,535店舗と比較すると店舗数は10分の1以下であり、イオンを親会社に持つコンビニとしては、物足りないことは確かである。

セブン−イレブンの1号店は1974年5月、本年で半世紀を迎えた。一方のミニストップは1980年7月にジャスコ(現イオン)を母体にスタート、このときセブン−イレブンは既に1,000店舗を突破しており、「同じフォーマットで勝負するには出遅れた」と判断、別のフォーマットを模索する中で「コンボストア」を開発した。コンボとは組み合わせを意味し、ミニストップは「コンビニ+ファストフード(FF)」の新しい店づくりで他チェーンと差別化を試みた。

当時の資料を見ると、1号店のミニストップ大倉山店(横浜市・港北区)は、コンビニの売場とFFの売場を明確に分けて、レジを別々にして設置して運営していた。FFの売場には客席を設けて、ポークハムサンド(200円)、チキンサンド(250円)などを提供していた。

確かに「出来たて」の提供により、おいしさで優位性を発揮したかもしれない。買物だけではなく、店内飲食の利用動機も取り込めた。その一方で、設備投資の大きさ、作業人員の多さ、厨房を含めた店舗面積の広さなどが重しとなった。従業員教育にも時間を要して、出店速度も他チェーンに後れをとった。

その後、FFの売場やイートインを徐々に縮小して、規模的には大手3チェーンと大差のないレベルに落ち着かせている。それでも厨房設備はしっかりと残して、他チェーンでは提供できない商品を数多く提供してきた。

中でも、「ハロハロ」シリーズなど店内で製造するコールドスイーツは人気で、7月、8月の夏休み期間には、順番待ちの子どもたちが店内にあふれかえる様子は、夏のコンビニ風物詩といわれるまでになった。

寡占化が進んだコンビニ業態にあって、現在でもミニストップが一定のポジションでチェーン展開できている理由は、このようなコンボストアのフォーマットに依るところが大きいといえる。

スーパーマーケット型商材拡充 トップバリュも充実

ミニストップは、2023年度より「ニューコンボストアモデル」の確立に向けて、商品改革やオペレーション改革を推進している。

「お客様のニーズや生活スタイル、価値観の変化が急速に進む今、提供価値の定義も進化させなければならない。コンボストアを構成する2つの要素、FFとCVSのそれぞれを磨き上げ、魅力的にしていくことが、ニューコンボストアの取り組みであり、この提供価値を引き上げることで社会課題の解決につなげていく」(ミニストップ 藤本明裕 代表取締役社長)

2023年度には、先行モデル店舗にて成果を実証した売場づくりや取り組みを「成功カセット」と呼んで、既存店への導入を推進している。ラーメンや菓子・スナック、ホビーなどの雑貨をはじめとする計76の成功カセットで売上を押し上げたという。

さらに、今期2024年度には、これまで新規事業として取り組んできた、Eコマースやクイックコマース、アプリや職域事業(オフィスに設置するミニコンビニ)の機能を統合させてOMOを実現していく。

そうした新たな売場づくりや「成功カセット」を集約させた直営のフラッグシップ店舗「ミニストップ神田錦町1丁目店」(東京・千代田区)を2024年5月20日に既存店をリニューアルオープンしている。ここで実現された売場を、立地特性、商圏特性に応じて既存のミニストップへ導入を図っていく。

この神田錦町1丁目店の特徴を大きく分類すると4つある。

第1にFFの世界観。具体的には、入り口正面にFF専用のカウンターを配置したこと。ここではキオスク端末を設置、モバイルオーダーにも対応、フルセルフで簡単に注文を受けられるようにした。出来たての商品を直接お客に渡す「対面提供」にこだわっている。売場全体の省人化を進める一方で、有人スペースとしての価値を高めていく。

デジタルサイネージをカウンターの背面に設置、ファストフード専門店の装いで注文を受けてからつくる出来たてを提供する

第2に専門店品質のFF。「創業から45年間、培ってきたノウハウを結集して、出来たての商品を専門店品質でスピーディーに提供する。全粒粉といった素材へのこだわり、野菜をふんだんに使用するなど、おいしさに健康の価値を加えていく。商品価値の訴求や提供方法も一新して、ミニストップが目指すFFの世界感を体験いただく」(藤本社長)

平台ではベンダーから仕入れた米飯類と、店内で調理した弁当とおにぎりを両軸で展開する

商品内容については、ツーオーダー(注文を受けてから作る)で提供する「ホットドッグ」(199円税抜き、以下同)を主食の核商品とした。ドッグパンは北米産主体のフランスパン専用粉とオリジナルブレンドの強力粉を使用し、国内工場で生産。そこに、あらびきポーク100%のソーセージを挟んでいる。

カウンターコーヒーは、加圧設定により多様な味が可能なエスプレッソマシンで提供。カフェラテはエスプレッソマシンで抽出。また周辺がオフィス街であるため、大人数向けポットサービスも用意している。

ミニストップはソフトクリーム専門店「MINI SOF(ミニソフ)」を展開しているが、そこで人気のスイーツドリンク「シェイクソフト」(いちご、マンゴー、バナナ、各540円)を主力商品として訴求、お客がシェイクする回数により食感が変わるといった楽しさを提供している。

また野菜を多く含んだサラダラップ(390円)、カンパーニュ(490円)、野菜のポタージュ(熊本県産にんじん、北海道産たまねぎ、各250円)などで健康を訴求している。

第3の特徴はコンビニ売場における「ワンストップショッピング」と「ショートタイムショッピング」。

既存店の品揃えと比較して、スーパーマーケット型の商材を拡充、お値打ち価格で訴求する。キャッシュレス化、フルセルフ化を通じて、新たなコンビニとしてのワンストップかつショートタイムのショッピングを提供していく。

「今の時代のコンビニは、即食需要だけではなく、暮らしの品を拡充して、お手軽価格で提供することでワンストップショッピングが求められている。買い回りしやすさを重視したレイアウトと、キャッシュレス対応、フルセルフレジ導入によるショートタイムショッピングも実現している」(藤本社長)

お手軽価格については、イオングループのPB「トップバリュ」商品を既存店の1.5倍にあたる1,000アイテム以上を導入、神田錦町1丁目店の全3,500アイテムのうち構成比で3割以上と品揃えを拡大している。

スーパーマーケット型の品揃えに関しては、農産70アイテム、畜産30、水産20の生鮮計120アイテムとした。畜産と水産はグループ企業「イオンフードサプライ」のプロセスセンターを活用、農産についてはグループと取引のある青果卸しから仕入れている。

第4にOMOの実現。ミニストップアプリ(160万ダウンロード、4月末時点)を媒介に、リアル店舗とデジタルを融合させていく。アプリでは購買分析からクーポンを配信、プレミアム会員にはロイヤルティプログラムを実施している。

Eコマースは、商品の自宅での受け取り、あるいは店頭での受け取りなどを可能にして、店外には留め置きロッカーも設置している。店舗から商品をお届けするクイックコマースは、これまで取り扱って来なかった即食カテゴリーの拡充の他、品切れを防止するオペレーション体制の確立を進めている。

コンビニ各社はミニストップに限らず、次世代の業態の在り方を模索、改革を進めているところである。セブン−イレブンも未来志向店舗「SIPストア」をオープンしている。各社はコロナ禍で加速した人々の意識と行動の変容にスピードを持って対応していく。

SIPストアで成果の出た商品を水平展開!セブン−イレブン2024年度の7つの施策

セブン−イレブンは単一ブランドとしては、国内最大の売上と店舗数を誇るチェーンである。規模だけでなくチェーンストアとして、さまざまな「革新」に挑んできた。しかしながら近年は、売上、店舗数に停滞感が生まれている。グループとしては海外シフトも見え始めた。そんな中で、国内セブン−イレブンは、どのような成長戦略を描くのであろうか。具体的な施策を見ていきたい。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2024年6月号より転載)

成長戦略は商品の磨き込み生産性向上、DXの3本柱

[図表1]コンビニ2024年2月期 決算数値

コンビニ大手3チェーンの2024年2月期実績は、おおむね好調な数値に着地した(図表1参考資料)。コンビニ業態は人の移動に支えられている。人の動きがあればあるほど、コンビニ業態にとってチャンスが増える。見るべき数字は既存店「客数」の前期比。「客単価」は値上げの影響が大きく、チェーンの実力とはいえないが「客数」だけはアフターコロナの回復度合いを計ることができる。

本稿ではセブン−イレブンの決算会見における2023年度の振り返りと24年度の施策について解説を加えながら見ていきたい。

まず現状認識について、セブン−イレブンが示したのが、国内実質賃金は22ヵ月連続でマイナス(2024年1月まで)となりインフレに対して賃金が上がらない状況が継続していること。また、コロナ禍でテレワークが定着して直近でも約22%のテレワーク率になっている(2022年7月、パーソナル総合研究所調べ)。人口減少、少子高齢化が続き、65歳以上の構成比率が30%を超えており、その構成比は年々高まり、消費動向においては経済性志向が高まっている。

そうした状況下、セブン−イレブンの2024年度成長戦略は次の3つ。

第1に商品の磨き込み。商品の味、品質の追求に加え、新商品・サービスを拡充し来店促進を図る。

第2に従業員の生産性の向上。本部・加盟店を含めて人手不足の状況下では生産性の向上が必須。継続して実施していく。

第3に新たな買物体験を提供するDX(デジタルトランスフォーメーション)の強化、である。

これら戦略の施策について、1つ目は「客層を拡大する施策」。今来店していないお客の来店を促すために、マーケットニーズに対応した品揃えを拡充し、潜在ニーズの顕在化を図っていく。また、期待を上回る、買い合わせ商品の提案を行う。

2つ目は既存のお客の「来店頻度を高める施策」。新たな商品開発を推進する。これら2つの実現に向けて、マーケティング、商品開発、プロモーション、売場づくりに一気通貫で取り組んでいく。

3つ目は「DXを活用した施策」。作業を効率化させる省人化設備の導入などによる加盟店支援により、同じ作業でも短時間で済むような施策を進めていく。加えて、AI発注により発注精度を向上させていく。

これらの施策を通じ、新たなお客の獲得、既存のお客の来店頻度の向上、店舗の生産性の向上を実現して、既存店売上伸び率+2.5%、商品粗利率+0.2%、営業利益2,600億円の達成に向けて取り組んでいく。

カウンター商品の新機軸 焼成パンとスムージー

2024年度のセブン−イレブンは、(写真右側)焼成パンをホットフード商品として投入、売上のプラスオンを図っていく(SIPストアにて、筆者撮影)

前述の3つの施策について、各々具体的な取り組みには次の7つ。

第1に客層を拡大する施策の一つが「冷凍食品の強化」だ。冷凍食品を単なる買い置きや弁当のおかずとして取り扱うだけではなく、即食ニーズ、おいしいものを食べたいというニーズに応えられるようにする。

冷凍食品市場全体がこの15年間で1.7倍拡大しているのに対しセブン−イレブンの販売金額は20倍に増えている。これはプライベートブランド(PB)の強化と売場の拡大による。

冷凍食品の売場は平台2台を標準としているが、都市部を中心に売場面積が狭く、平台を入れられない店舗がある。そうした店舗には売場の中央に設置できる「中島冷凍什器」に変えて、従来の約3倍のフェース面積での品揃えを実現していく。

また、2023年度はイトーヨーカ堂のオリジナル冷凍食品「EASE UP」を導入、グループの商品力を活かした。2024年度は、新たな冷凍食品として、パンやデザート、高付加価値の商品、市場で売れ筋のNB商品も品揃えしていく。

さらに、既存店舗の品揃え拡充、狭小店舗の売場拡大のために、2024年度は中島冷凍什器を約3,000台導入するなど、100億円以上の規模の投資を実施。これらによって+1.0%以上の日販効果を見込んでいる。

第2に客層を拡大する施策の一つとして「新しいカウンター商品を導入」する。既に焼成パン(メロンパン、クロワッサンなど)のテスト販売を約600店舗で実施している。売上が好調なだけでなく粗利益率にも貢献している。

フローズンで納品された焼成パンを、店舗で1次焼成してカウンター什器に陳列、お客からの注文により店舗にて2次焼成、でき上がり後、お客へ提供する。

テスト店の状況を見ると、平均販売数は1日当たり約30個(4,000〜5,000円)、日販押上げ効果は約0.7%。2024年度は約50億円を投資し、約3,000店まで拡大、導入店舗において、1.0%以上の日販効果を見込む。

第3の施策は来店頻度を高める効果があるものとして「スムージーを導入可能な店舗の全店(1万8,000店舗)へ拡大」する。30億円を投資して、日販効果1.0%以上を高めていく。スムージーのような健康系商品は、お客の来店頻度を高める効果があるという。引き続き、これまでの商品に加えて、シュガーフリー・添加物フリーなど、健康を訴求した商品を提供していく。

第4の施策は来店頻度を高める「地域フェア」を引き続き実施する。地産地消の考え方に基づいた商品を開発して、連携した自治体からも評価されてきた。

経済環境が厳しくなっており、地域フェアにおいても、2024年度は値頃感を今まで以上に追求していく。その点では、2023年度11月に埼玉県で取り組んだ埼玉県産豚肉を使用した「炭火焼豚みそ丼」640円(税抜き)は成功した事例として学ぶところが大きいという。

品質の良い原材料を使用と値頃感のある価格で商品を提供、こうした「埼玉ノウハウ」を全国に拡大、各エリアで年2回以上、約50回の地域フェアを実施、1.1%以上(2023年度は0.9%)の日販効果を目標にする。

第5の施策は「DX」。加盟店の人時は2020年を100とした場合、2023年までの4年間で94.7%まで削減している。4年間で最低時給は111.3%まで上昇しているが、お会計セルフレジ(セミセルフレジ)で1日90分削減、新検品システムで1日25分削減、AI発注で1日32分削減といった、さまざまな取り組みによって人時の削減を推進、セブン−イレブンにおける人件費の上昇を105.4%に抑制できた。

AI発注については、発注機にタグ情報を提供するシステムを搭載し、仮説を立て、発注しやすい仕組みを取り入れて「機会ロス削減」に貢献している。

SIPストアは売上好調 新たな試みを水平展開

第6の施策はDXの中でも「7NOWの拡大」。1万2,000店舗まで拡大させ、売上も順調に伸長させている。このアプリでは店舗とリアルタイム在庫連携を図っており、注文した商品が欠品して届かない事態は基本的に起こり得ない。7NOWの研究開発については、米国セブン−イレブンとも連携して進めている。

第7の施策はセブン−イレブンのグループ力を結集した店舗「SIPストア」。これについては前号の本連載記事で詳説した。ここではその概要と最新情報を記す。本年2月29日に千葉県松戸市にオープンしたSIPストアは、少子高齢化、人口減という状況にあり、地方ほど買物が困難になっている中で高まっている、ワンストップショッピングニーズに応えるべく、グループの力を結集したテスト店に位置付けられている。

通常店舗と比較して、面積は約1.8倍、売場尺数は約1.5倍、アイテム数は約1.7倍、品揃えは通常店の約3,000SKUに対して、グループで取り扱う商品を加えて約5,300SKUまで拡充している。

「(SIPストアに改装する前と比較して)売上は好調であり、特に生活デイリー商品(生鮮食品、日配食品など)は約3.1倍、ホットフード商品(揚げ物や焼成パンなどのカウンターフーズ)は約3.0倍、冷凍食品(什器11台で展開、専用商品150アイテムを品揃え)が約1.9倍となりました。SIPストアについては(店舗それ自体を)拡大することではなく、既存店舗にSIPストアの取り組みをいかに水平展開できるか、そのために引き続きテストを実施していきます」(セブン−イレブン・ジャパン代表取締役社長の永松文彦氏)

以上のような施策により、国内セブン−イレブンは成長を目指す。

コアコンピタンスを掲げて差別化を図る、2024年度セブン−イレブンの商品政策

セブン−イレブンが2024年3月27日に会見を開き24年度の商品政策を明らかにした。国内2万1,300店舗、売上5兆3,000億円を左右するセブン−イレブンの商品政策は、食品市場の方向を見る上で重視すべき内容といえる。一方でコンビニが牽引してきた中食市場に、今やさまざまな業態が参入、競争が激化している。そうした危機感のもと、セブン−イレブン・ジャパン取締役常務執行役員 商品戦略本部長 商品本部長の青山誠一氏は何を語ったのか。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2024年5月号より転載)

「基本商品」の磨き込みに注力して来店頻度の向上を強く意識

商品政策に関係する経済環境の変化について、セブン−イレブンは次の4点を挙げた。第1に、少子高齢化が進行し、人々の移動距離がますます縮まっていく。第2に、消費者物価指数が2023年は前年比+3.1%と41年ぶりの高水準。第3に、実質賃金は22ヵ月連続のマイナス(1月まで)。第4に、食に関する志向の変化として経済性志向が健康志向を上回る。

ただし、各種調査から、お客の価値観は「節約志向」と、その一方では「贅沢志向」があり、継続する物価高の中で、経済性のある商品を打ち出すだけでなく、付加価値のある商品提案が必要であるとしている。

もともとコンビニは、店舗経営上、低価格志向だけでは成立しない業態であり、高価格帯から低価格帯までバランスの良い品揃えが求められる。セブン−イレブンは、それを「松竹梅」対応と呼んで実践している。

松は「期待感(価値訴求)」、竹は「基本商品の磨き込み」、梅は「経済合理性」を重視、例えばカップラーメンの松竹梅対応として、松はセブンプレミアムゴールド「すみれ札幌濃厚味噌」298円(本体価格、以下同)、竹はセブンプレミアム「蒙古タンメン中本 旨辛味噌」220円、梅はセブンプレミアム「醤油ヌードル」138円を挙げている。

「二極化するお客様の価値観の変化にあって、2023年夏は歴史的な猛暑の中でも、カップラーメンは前年を超える実績を残している」(青山氏)

こうした近年の課題に対応しながらも、セブン−イレブンは外部環境の変化に大きな転換を迫られている。

「今はインフレになり、またコロナ禍を経て、行動様式そのものが大きく変化し、食品スーパー、ドラッグストア、ネット通販といった業態が中食市場に参入し、強化している。業態を超えたニーズ争奪戦の中、今一度2024年度は基本商品をきちんと磨き込み、それをお客様に知っていただく、企業としての強み、コアコンピタンス(競合にまねできない商品)を追求していく1年にしたい」(青山氏)

特にセブン−イレブンが問題視したのが中食市場におけるコンビニの伸び悩みだ。2022年の「惣菜白書」(日本惣菜協会)によると、2014年は中食市場9.3兆円のうち、コンビニは2.80兆円(シェア率30.1%)、食品SMは2.23兆円(同23.9%)、5年後の2019年は中食市場10.3兆円のうち、コンビニ3.36兆円(同32.6%)、食品SMは2.74兆円(同26.6%)、それが、コロナ禍を経て、2022年は、中食市場10.5兆円のうち、コンビニ3.28兆円(同31.2%)、食品SMは3.08兆円(同29.3%)となった。

中食市場は過去最高の売上になるものの、コンビニはコロナ禍の間、シェアで食品SMに詰められ、さらに売上を落としている。本来はコンビニが牽引すべき中食であるが、現在その役割を担っているのは食品SMだ。

その反省に立って、あらためて自社の強みを知るために「お客様がセブン−イレブンを選ぶ理由についてのアンケート(電通マクロミルの調査)」を実施したところ、「お弁当・お惣菜・おにぎりのクオリティが高いから」が上位を占めた。

八代目儀兵衛監修の各種おにぎり。米のブレンド比率への追求が、おいしさを高めている(商品は3月末、都内で購入)

それにもかかわらず「差別化商品はまだ知られていない」とセブン−イレブンは見ている。というのは、現在発売中の「八代目儀兵衛監修」のおにぎりの認知度(マクロミル社2023年11月ネット調査)は、「詳しく知っている~聞いたことがある」までで18.3%に過ぎず、同様にカップデリの認知度は43.6%と満足できる数字ではなかった。

商品が多少高くても納得させる開発の基本姿勢を明確にする

そこで2024年度の商品政策として、顧客接点の強いカテゴリーの、おいしさ、便利さを知ってもらい、お客の来店頻度を高めていくことを強く意識、「基本商品」の磨き込みに注力していく。

「中食マーケットが大きく伸びている中で、女性の就業者、単身世帯が増えている。その半面、料理をする時間がない、あるいは調理定年と呼ばれる、家庭で料理をしない方々も増えている。時間を掛けずにおいしいものを食べたい、といった背景の中、カップデリを打ち出してきた」(青山氏)

惣菜の差別化商品となった「カップデリ」は、品質向上と品揃えの拡充を図り、2019年を100とした場合に、2023年は371と大きく伸長している。その代表的な商品が「タコとブロッコリーのバジルサラダ」。一般的な惣菜工場では、タコを茹でて商品化する。しかし、茹でると表面が固い食感になり、うま味が抜けていく。そこで、セブン−イレブンの専用工場では、タコを茹でずに蒸すことにより、タコのうま味を残し、柔らかい食感にしている。こうした製造工程の変更は、専用工場比率の高さにより実現できている。

カップデリと一緒に購入されている商品は、1位おにぎり、2位揚げ物、3位惣菜、4位弁当の順。カップデリを購入したお客の買上点数は、セブン−イレブンの平均を100とすると、カップデリ平均が172、客単価は、セブン平均を100とすると、カップデリ平均が183となる。1食完結型の「米飯弁当」よりも、惣菜を軸とする食事提案の方が、買上点数も客単価も高めることができる。ビュッフェのような提案を継続していく。

前述のように「認知度」が低かった八代目儀兵衛監修のおにぎりについては、「おいしいという評価がアンケート調査により大きく増加した。ただし、コストアップ要因があり、価格を改定した結果、“割高”という評価もあったものの、その評価が少し低下したことで、おいしさを高める重大性をあらためて感じた」(青山氏)と、多少高くても、おいしさで納得させるセブン−イレブンの基本姿勢を明確にしている。

おいしさだけでなく、おにぎり製造ライン(炊飯、供給部、成型部、包装機)の管理衛生レベルを強化、首都圏では3月5日より8時間の鮮度延長を実施、夏までに全国で消費期限を延長する。これにより廃棄ロスが低減されるため、加盟店による積極的な発注も期待できる。

韓国で大ヒットしたコスメをセブンの店頭で全国展開

健康生活をうたい、高頻度の購入を促すスムージーの専用マシン

おにぎりや惣菜といった基本商品の磨き込みだけでなく、新たな売上の創出にも取り組んでいく。既に多くの店舗に導入しているセブン−イレブンのスムージーは、冷凍果実、冷凍野菜を使用して、おいしさと健康を両立させる。また、ケールやブルーベリーなどの規格外品、従来は捨てていた部位を使用するため、フードロス低減にもつなげている。導入店を2024年7月末まで約1万8,000店舗まで拡大する。

セブン−イレブンのID-POSによると(2023年6月実績)、全会員平均来店客数が月8.2回であるのに対して、「月に1回以上スムージーを購入した会員の来店回数」は月15.5回、「月に2回以上」は月22.3回となり、スムージーを購入するお客の来店回数が明らかに高い。すなわち、スムージーがセブン−イレブンの利用を習慣化してもらえる効果があると分かった。

2024年5月より順次パッケージ変更、カロリーを表示、「1/3日分の緑黄色野菜が摂れる 44.7g/1食」「食物繊維入り 3.1g/100kcal」といった健康意識に訴求する表示に改めていく。

もう一つは韓国コスメ。「今までセブン−イレブンとして取り組めていなかったコスメについて、韓国コスメの取り扱いを始める。化粧品といえば、フランスが主流であるが、2022年度の日本の化粧品輸入金額はフランス(764億円)を抜いて、韓国が(775億円で)トップに立った。若い方々が韓国に旅行に行って、韓国コスメを購入しているが、われわれは韓国ナンバーワンブランドと組んで日本で展開する」(青山氏)

韓国の大手コスメチェーン「オリーブヤング」。今回取り扱うCLIOはオリーブヤングのナンバーワンコスメブランドである。(写真は月刊MD2024年3月号 ユン・モンラク氏の記事より)

韓国の主要H&B店舗数と市場シェアの両方で1位のチェーン「OLIVE YOUNG(オリーブヤング)」があり、韓国の化粧品は約85%がオリーブヤングで販売されている。そこで販売されているナンバーワンブランドが「CLIO」の商品だ。セブン−イレブンはCLIO社と共同で、日本未発売の「twinkle pop」の韓国コスメを「twinkle pop by CLIO」として、5月下旬よりセブン−イレブン店舗で販売する。

韓国でもCLIOは2022年11月に販売されており、発売から2ヵ月で全商品が完売。非常に高い反響を呼んだ商品だという。コスメは目的来店性も高く、客数増、客単価増の底上げに貢献できるかもしれない。

「コンビニは、人々が移動する中で利用されてきた。人の動きが変わった今、今までと同じではなく、新しい取り組みにより、来店頻度を高めていくことが重要である」(青山氏)。時代の変化に合わせた、新たな需要創造に期待したい。

データドリブン経営に軌道をとるために押さえておきたい4つのポイント

月刊MD2024年5月号ではデータドリブン経営を特集。特集の提言として、DgS、ディスカウントストアのコンサルティングで名をはせる筆者が語る、「データドリブン経営」の重要性と押さえたいポイントを紹介。小売業はKKD(勘・経験・度胸)からどう脱却を図るべきなのでしょうか。(佐々木桂一/談・文責/編集部)(月刊マーチャンダイジング2024年5月号より転載)

その「売れている」のは本当か?

小売業にとって最終的に重要なのは「数字」だと言う人は多いが、そう言う人に限って目に入る単純な数字しか見ていない、ということは少なくありません。大半の小売業社が、定量的に数字を分析するというプロセスを経ておらず、いまだKKD(勘・経験・度胸)に頼った経営を続けているのです。

「売れている」とはどういうことでしょうか。1個売れたら、それは「売れている」ということになるのでしょうか。あるいはそれが100個であれば「売れている」ことになるのでしょうか。トップマネジメントから現場の従業員まで、会話のなかにその基準がなく、そのことがこの業界がいつまでも低収益構造に甘んじているもっとも根本の原因だと、私は考えます。

放っておくと、小売業は経験と勘で動いてしまいかねません。そうではなく、逆の順番に、まずは数字をベースに考え、最後に人間の感情や経験、感覚を出すべきなのです。

(1)デジタルに適応できる合理的な人材を仕分ける

現在の小売業は、外部から採用したIT人材がデジタルの立役者になっていて、現場で実務をしながらシステム志向の考え方ができる人材はそう多くはありません。

でも、私がコンサルをしている企業では、コードが書けない人をゼロから育てて、自動補充システムを内製化することができています。非デジタル人材を育て上げて、システムの内製化をすることは可能です。

小売業が使う業務システムは、データをデータベースに蓄積し、画面に表示させる程度の、非常に基本的なもので十分です。最近でしたら、YouTubeで学び、インターネット上にころがっているプログラムを組み合わせることで十分に基礎的なものはつくれるようになります。

私がいま指導している企業の半分には、それまでプログラムを書ける人はいませんでしたが、いまではたくさんの従業員がコードを書き、業務システムをつくれるようになっています。

もちろんはじめはみんな「自分にはできない」と言います。でも、一度簡単なコードを書かせてみて、画面に何か表示されるとうれしくなるものです。それを繰り返してつくれる範囲を増やす。そうすると、もともと論理的な思考を持っている人は才能を開花させることができます。しかし、そのような人たちは、会社のなかではあまり評価されていないことが多いのです。

コンピュータは一つひとつステップを積み上げれば動くものです。マネジメントのPDCA(Plan、Do、Check、Action)も、愚直に積み重ねなければ動きません。人の選定がまず間違っているのです。彼・彼女たちをきちんと評価することが重要です。

ところが、小売業でこれまで成果を挙げてきた人というのは、手順を踏まずに、結果オーライのケースが多く、再現性に乏しい。問題解決をプログラムを書くようにアルゴリズムで考える人とそうでない人を分けるべきです。これができないと、デジタルの内製化は難しいのではないかと思います。

仕分けをするためには、最初にいまやっている仕事のフローチャートを書かせてみましょう。JIS規格のフローチャートの書き方を学んで、自分のやっている仕事を書いてくるように言います。半分の人は、ああだこうだと言って書こうとしません。

残り半分が書くには書くのですが、JIS規格に応じて書けるのはさらにその半分でしょう。それを応用して、フローを変えてみてと言うと、書ける人は全体の1割程度でしょうか。多くの企業では大幹部になればなるほど書けなくなります。

日本の小売業がデジタルを使えない原因のひとつはそこにあると私は思います。

(2)再現性のために「基準」を重視する

KKDの商売は、再現性がありません。ですからひとつの事業を当てても、ほかの事業に横展開することができません。たまたま当たっただけで、成功の本質がわからないのです。ですが、再現性がないと、仕組みとは言えません。いままでの小売業には、そういった思考がなかったのです。

例えば在庫ひとつにしても、この商品の在庫は何個持つべきなのかという会話が徹底されていません。カットするのはなぜか。棚割についても、卸売業に提案をしてもらうと、数字とは関係なく、卸売業者が売りたい商品や、リベートがたくさん出る商品がフェースを取ってしまいます。

商品部で、どういう売れ行きを示した商品を定番として維持すべきなのか、あるいは死に筋としてカットすべきなのか、そういう基準が決まっていない企業がほとんどです。

私はまずは基準を決め、店舗の端末でJANコードをスキャンすると、偏差値が表示される、というような仕組みをつくります。その偏差値が60以上であれば売れているといっていい、40を下回っていたら売れていないと言っていい、というものです。

教育をして、数字で会話をする文化をつくってからでないと、最終的にデジタルにはたどり着かないと思います。

(3)「正しい」数字を共有する

さらに大切なのは、データが正確かどうかということです。数字が正確でなければ、すべてのデータドリブンの仕組みは崩壊します。粗利を知りたくても、在庫が間違っていれば正しい数字は出てきません。サービス残業をしていると、正しい労働生産性が算出できません。つまり、サービス残業を現場に強いている企業は、人時生産性を上げることも永遠にできない、ということなのです。

私が指導に入る企業では、サービス残業をゼロにすることから始めます。さらに有給休暇の取得率も5割を目指すことにしています。そうすることで、はじめて人の生産性の精度が上がってくるのです。

リベートも、単純な数量リベート(何個売れたら何円キックバックするなど)は、メーカーにとっても販促として意味があるかもしれませんが、数量ではないリベートが増えていくと、結局原価に跳ね返ってしまいます。

坪当り粗利高も日本は算出できない企業が多いようです。これはメーカーや卸に棚割をつくらせていて、ロケーション管理ができていないからです。店舗側で売場を勝手に変えることもしばしばです。とくにDgS業界は、売れなければ返品すればいいという考えの甘さもあります。

これは、小売業側にとっては都合がいいことかもしれませんが、メーカーにとっては不都合なことです。メーカーにとってより都合がいいフォーマットが現れたら、DgS業界のように、自分たちの損を押し付けるようなビジネスをやっていると、そっぽを向かれてしまうことでしょう。

まだスーパーマーケットがリベート中心のビジネスしかやっておらず、DgSに優位性があるということもありますが、これから2024年の物流問題をきっかけに、精度高くやらねばならなくなるので、データを活用する必要はもっと高まります。今年が変化の潮目になるように思います。

(4)データドリブンとコンピュータは別物であると理解する

私がもっとも危惧しているのは、皆DXといっていろいろな投資をしていますが、リーダーシップをとるべきトップが何をすべきかを理解していないということです。

基幹系やEDIなど、様々なデジタルの仕組みが小売業で活用されるようになりましたが、小売業の労働生産性は1980年代と比較して上がっているのでしょうか。SIerは儲かっていますが、小売業は儲かっていません。技術の使いどころを間違っているのではないかと思います。

私はデータドリブンであることと、コンピュータを活用することは、分けて考えるべきだと思います。データを取得するときに、まずはコンピュータからと考える企業は少なくありません。しかしそうではなく、皆さんが普段から使っているような、万歩計や体重計のようなものを使っても、十分データドリブン経営は可能なのです。

私がコンサルに入るときにやっているのは、従業員に万歩計を付けて歩数を確認することです。あるDgSでは、売場面積が200坪、1日8時間労働で、1万5,000歩でした。いろいろな店舗で実験をすると、同じチェーンのなかでも1万5,000歩の店もあれば、6,000歩で済んでいる店もあるというように、店ごとのばらつきがわかります。何が原因なのかと考えたところ、バックルームの配置や、レジの状態、補充頻度などが影響していると気付きました。毎日1万5,000歩歩いているのを、1万歩にするのも、間違いなくデータドリブン経営です。

コンピュータはあくまでも便利にするためのツールであり、考え方とは関係ありません。システムづくりはコンピュータと直接は関係ないのです。数字を可視化し、状態を可視化する。そして、それを継続的にできるかどうか。決してデータドリブン経営は、高度な数字の話ではないのです。

 

《筆者》

リテイリングワークス株式会社
代表取締役
佐々木 桂一氏

「正確な効果検証」=「因果推論」で、販促のムダを削減する方法とは

クーポンや割引など、何かしら施策を打った場合、掛けた費用に対して、どのような効果が得られたのか「効果検証」することが、施策のブラッシュアップには必須だ。しかし、現在行われている効果検証は多分に問題をはらむ。「施策を打たなくても実現していた差」を取り除き、より正確に効果測定できる手法を、サイバーエージェントの主席データサイエンティストで計量経済学の専門家、安井翔太氏に解説してもらった。(月刊マーチャンダイジング2024年5月号より転載)

2つのグループの適切な比較は意外に難しい

経済学、統計学の有力な手法に「因果推論」というアプローチがある。簡単に言えば、2つのグループをより正確に比較するための手法で、効果検証の有効な手段として用いられる。

[図表1]クーポンあり、なしの単純比較

例えば、特典クーポンの効果を知りたいとする。この時クーポンの効果は、それを配ったときと、配らなかったときの2つの状況を比較することでわかる。仮にクーポンを受け取った田中太郎さんは3,000円の購入があり、クーポンを受け取らなかった山田花子さんは同様に1,000円しか購入がなかったとする。この時に、それぞれの売り上げを比較し「3,000円-1,000円だからこのクーポンの効果は2,000円だった」と結論づけたとしよう(図表1)。

これはよく行われる比較の一例であり、一見正しい比較にも見える。しかし、厳密にクーポン効果を測定するなら、“理想的には”クーポンを受け取った田中太郎さんとクーポンを受け取らなかった田中太郎さんを比較することで効果を測定したい。

なぜなら、田中太郎さんと山田花子さんでは、年間購入金額(優良顧客か否か)や価格敏感性(割引を好む、価格には鈍感)、他の販促を受けたか、受けなかったか、クーポン対象商品を前回いつ購入したか、など属性が異なる可能性が限りなく高く、純粋な比較にならないからである。もし山田花子さんが3日前にクーポン対象商品を購入していたら、今回のクーポンの効果が下がるのは当然である。

[図表2]因果推論の根本問題

しかし、同じ人で同じタイミングでクーポンのあり、なしを比較することは、タイムマシンでもない限り不可能である。これを「因果推論の根本問題」と言う(図表2)。因果推論とはこのような問題において、なるべく属性の違いを取り除いた純粋な比較を可能にする技術となっている。

データを乱す不正確要素「セレクションバイアス」

単純な引き算では、比較する対象(田中太郎さんと山田花子さん)の属性が違うので、純粋な効果を測定できないことを先に見た。それなら、同じ人を同じタイミングで、クーポンのあり、なしで比較測定すればよいのだが、これはタイムマシンがなければできないことも先述のとおりだ(因果推論の根本問題)。

[図表3]理想的なデータ

これらの問題を少し補足すると、ユーザーIDごとにクーポンあり、なしで売上を見た場合、図表3「理想的なデータ」では、ユーザーIDごとにクーポンのあり、なしのデータを同じタイミングで取得できるので、その差分が効果になる。しかし、これはあくまで、架空のデータで実在しない(因果推論の根本問題)。

[図表4]実際に得られるデータ

従って、実際に得られるのは、図表4のとおりユーザーIDごとのクーポンあり、なしどちらかのデータとなる。歯抜けデータなので二者間の単純比較はできない。

[図表5]平均で計算した効果
[図表6]セレクションバイアスの問題

それなら次善策として平均を取って測定してみる(図表5)。しかし、ここでも大きな問題が生じている。それは、クーポン発行者から得た売上の中には、クーポンを発行しなくても実現していた売上の差が含まれているのである(図表6)。

例えば、図表6の例においては、クーポン取得者は優良顧客でクーポンなしでも月間2,000円の買物をしており、クーポンが無いユーザーよりもそもそもの売上が高くなっている。これにより、単純に平均を比較してしまうと、本来の効果よりも大きい効果が推定結果として得られてしまうことになる。これは理想的な同一人物間での比較ではなく、田中太郎と山田花子といった別人の比較を行ったから起きた結果と言える。

このような、施策を打たなくても実現していた効果を「セレクションバイアス」と呼び、これはビジネスで扱うほぼ全てのデータに含まれ得る要素である。小売でよく見られるのは、年間の購入金額が10万円や15万円もある優良顧客へ離反を防ぐため頻繁にクーポンを送るなどの販促を打つことだ。

ここでそのままクーポンを受け取ったユーザーと、受け取らなかったユーザーで売上の平均を比較すると、セレクションバイアスが働いて非常に効果があったように見える。ところが、セレクションバイアスを除去した手法で分析すると販促効果はほぼないことが分かることも多い。

つまり、優良顧客は販促を打たなくても、購入金額は減らないということだ。ムダな販促投資が行われているケースが非常に多い。

セレクションバイアスをいかに除去して、純粋なデータを取るかが正確な効果検証の命運を握っている。

AIを活用して、A/Bテストを擬似的に再現する

ここからは、実際にセレクションバイアスの影響を限りなく小さくした効果検証の方法を見てみよう。まず、施策の対象を「ランダムに」選ぶことができれば、セレクションバイアスが生じないようにデータをとることが可能だ。

[図表7]対象をランダムに選択することで純粋なデータ比較が可能

こうすることで、比較する2つのグループ間、例えば、クーポンを発行したグループと発行していないグループ間のユーザー属性もランダムに均等に配分され、比較の中には純粋に効果だけが残る(図表7)。

このように、施策の対象をランダムに選んで2つのグループを比較する効果検証は学術的にはRCT(ランダム化比較試験)といい、ビジネスにおいてはA/Bテストと呼ばれる。

小売業の販促担当者と、このような話をすると、施策をランダムに打つことへ抵抗を示されることが多い。その理由のひとつに、不公平性の問題がある。ランダムなクーポン発行は、もらえる人、もらえない人という差別を生むので、お客への誠実さを欠くのではないかという懸念である。

もうひとつは、ランダムに大量の対象を選び、販促などの施策を届けることは、一定のデジタル技術を要するので、その技術がないという社内事情である。

総合すると、現状小売のリソースでA/Bテストを行うことは非常に困難なので、サイバーエージェントでは、AIを活用してA/Bテストを擬似的に再現することで、より正確な効果検証を実施している。

[図表8]あるグループの11月のクーポン配信時の効果検証が目的

具体的に説明すると、ある属性を持ったユーザーグループの売上がある(図表8縦軸)。このグループに対して8月、9月、10月にはクーポンを配信せず、11月にクーポンを配信する。このときの効果検証がミッションだったとする。

理想的な効果検証は、先にクーポンを配信したときの11月のデータを検証し、次にタイムマシンで過去に戻り、クーポンを配信しなかったときの11月のデータを検証し両者を比較することだが、これは実際には実行できない(図表8)。

仮にA/Bテストを実施する場合、ランダムに選んだユーザーに対して11月にクーポンを配る事になる。そしてクーポンを配られたユーザーと配られないユーザーの2つのグループを比較することで効果検証を行う。

[図表9]AIにより疑似A/Bテストを実施

しかし、先述の通り現状では対象をランダムに選び施策を届ける事には様々な問題が存在する。そこでサイバーエージェントの用いるアプローチでは、比較したい対象グループのデータ(図表9の介入群/施策ありのグループ)と類似した傾向を持つデータを別のグループから探し、そのグループのデータ(図表9の統制群/施策なしのグループ)から介入群の売上を予測できるAIモデルを作成する。

例えば、先のクーポンの効果検証を北海道でやるとすれば、それに近い青森のデータを持ってきて、8月、9月、10月の期間において青森の売上データから北海道の売上データを精度高く算出(予測)するAIモデルを作成する。このAIモデルは、青森の売上データを入れると、北海道の売上データの予測結果を返してくれる。そして、それを学習した8月、9月、10月はクーポンが配信されてない時期なので、AIはクーポンがない場合の売上の予測をすることになる。

これにより、青森で11月にクーポンを配信しなかった実績データをAIモデルに入力することで、北海道で11月にクーポンを配信しなかったときの売上を予測することができる。

実際には、北海道では11月にクーポンを配信しているため、AIの予測と実際の売上の差分が効果ということになる。

なお、上記の北海道、青森という地名はあくまで考え方を示した例で、サイバーエージェントでは効果検証をするための統制群(施策なしグループ)のデータをAIが探し出すアルゴリズムも独自に開発している。これにより、より精度の高い効果検証を実現している。

LINEのクーポン効果をAI活用で、より正確に検証する

ここからは、先に見た効果検証手法の実例を紹介しよう。LINEの販促は盛んに行われ一定の効果を挙げている。ここではLINE公式アカウントによる効果検証の実例を紹介しよう。

[図表10]LINEによるクーポン施策

この事例では、図表10で示したように、ある小売業が、友達登録したLINEユーザーに月間に、割引クーポン1回、ポイント還元クーポン2回、計3回のクーポンを配信する。(※なお、割引率、還元率によって結果は異なるが、以降は特定の割引率、還元率での分析結果である)

[図表11]LINEユーザーとノンLINEユーザーを比較

これを月末の2回目のポイント還元クーポンの発行から月初の割引クーポン発行に切り替わるタイミングで購入金額がどの程度変化するかを測定し、割引とポイント還元ではどちらの効果が高いかを検証しようとするものだ(図表11)。

ここではA/Bテストは実施されていないため、友達登録していないNonLINE Userデータを元に算出した予測値を使って効果を検証する。そのために、LINEで友達登録して実際にクーポンを受け取っているLINE Userのグループと友達登録していないNonLINE Userとを比較する。

この事例においては、LINE Userは常に何かしらのクーポンが配信されている状態にある。よって、還元クーポンから割引クーポンへと切り替わるタイミングで分析を行うこととした。

[図表12]効果検証の結果

これにより、還元クーポンが配信され続けた場合と、実際のデータとの比較が行われる。その結果が図表12である。横軸は時系列、縦軸は購入金額(その日時点の累積の売上効果)を示している。これによれば、ポイント還元から割引に切り替わった時点で購入金額は上がっている。

そしてその後、ポイント還元のクーポンが配信されたタイミングで効果の上昇は止まっている。そしてまた割引クーポンが配信されたタイミングで効果は上がって行く。割引クーポンが配信されるタイミングで効果が増えることから、割引の方が効果的であることがわかる。

また、還元クーポンが配信されるタイミングでは効果が増加していない。これは比較している対象が還元クーポンを配信し続けた場合であることから、ある意味当然の結果と言える。そしてそれをしっかりと分析結果として得られていることから、この分析方法の再現性が高いことを示している。的確な分析ができていなければ、ここまで明確なデータは出ない。

「何もしなくても購入した人」への販促を極力減らすことができる

ドラッグストアも大規模化し、メーカーとの共同企画も含め、年間の販促費用は相当な額に達している。この中には「販促しなくても購入した人」への販促(ムダ打ち)も相当含まれている。先に述べたような効果検証を的確に利用すれば、このような販促のムダ打ちが発生している部分を発見し、効果のあった販促だけを残し、さらに成果を積み上げることができる。欧米の大手小売業では既に実際のA/Bテストを多用し、販促効果を正しく検証することで精度を上げている。

[図表13]クーポンのコストと売上効果の比較

例えば、ユーザーをヘビーユーザーとライトユーザーの二つのセグメントに分割し、それぞれで効果検証を行えば、セグメントごとに販促の効果とコストを捉えることが可能になる。図表13はサイバーエージェントが実際のクーポン施策を分析した、ライトユーザーとヘービーユーザーのクーポンコストと売上効果の比較である。

ヘビーユーザーにコストの大半を費やしているが、売上効果のほとんどはライトユーザーから得られている。サイバーエージェントが効果検証を行ったある小売店では、クーポンのコストを半分以下に減らしてもほぼ同じ効果が得られることがわかった。

ヘビーユーザーはとくに販促を打たなくても、すでに習慣化しているなどの理由から購買する傾向があるのでこのような結果がでる。ヘビーユーザーに限らず、サイバーエージェントが行った効果検証を見ると、販促のムダ打ちは実は多い。これは、セレクションバイアスを可能な限り除去して効果検証することの重要性を物語っている。

例えば、年間1億円の販促費を使っているとして、仮に50%のムダ打ちが生じているとすれば、5,000万円が浪費されていることになる。そして、不正確な効果検証のままでは、莫大な費用が「何もしなくても購入した人」へと費やされ続けるのである。

これを改めれば相当のムダ打ちを是正することが可能で、その分、潤沢な資金が残る。その資金を正確な効果検証で明らかになった効果の高い販促に再投資すればさらに大きな売上へとつながるのである。

 

《取材協力》

AI Lab
経済学領域 リーダー
安井 翔太氏

NFI定例セミナー「「レイアウト」「ISM」「PB戦略」研究」(2024/7/17 13:00~16:30)開催ご案内(リアル・リモート)

今回のテーマは、「売場レイアウト」と「ISM(インストアマーチャンダイジング)」の研究です。とくに、小商圏時代、EC時代の売場レイアウトと、ISMの原理原則を解説します。また、前回に引き続き、エイジスリテイルサポート研究所の三浦美浩・所長をゲスト講師として招き、有力企業の「PB戦略」「ブランディング」の最新情報を発表していただきます。

2024年7月定例セミナーは、「リアル」と「リモート」の併用セミナーとします。

今回のテーマは、「売場レイアウト」と「ISM(インストアマーチャンダイジング)」の研究です。とくに、小商圏時代、EC時代の売場レイアウトと、ISMの原理原則を解説します。

また、前回に引き続き、エイジスリテイルサポート研究所の三浦美浩・所長をゲスト講師として招き、有力企業の「PB戦略」「ブランディング」の最新情報を発表していただきます。

月刊MDで毎年実施している「顧客満足度調査」で、顧客満足にもっとも影響を与える項目は「他チェーンにはない特徴、工夫」です。他店との「差別化」が顧客満足度に大きな影響を与える時代です。ブランディング、PB開発が、これからのリアル小売業の最大の経営テーマですので、その事例も発表します。

また、PBの在庫コントロール力を高めるための不可欠の技術である単品ごとの「ユニット・コントロール」(数量管理)についても解説します。

※座席数が限られているため、リアルでの参加の方は先着順とさせて頂きます。

開催概要

・開催日:2024年7月17日(水) 13:00~16:30(会場受付開始:12:30)
※昼食は各自お済ませの上ご来場下さい。
※セミナー開催中の途中入場はお断りします。
※リモートでの途中退席は申込責任者に報告します。

・会場:エッサム神田ホール1号館6階(601)(※案内図をご参照ください)
・実施方法:リアルとZOOMによるリモートセミナー
(ZOOMセミナーアクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:20,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:2024年7月8日(月)

スケジュール

[13時~14時50分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

小商圏、EC時代のレイアウト、ISMの原則

(1)ショートタイムとワンストップを両立するレイアウト、ISMの事例研究
(2)「ブランディング」「PB開発」の成功事例研究
(3)PBの在庫管理のための「ユニットコントロール」(数量管理)の原則 他

[15時10分頃~16時30分頃]

エイジスリテイルサポート研究所 三浦美浩 所長

有力企業の「PB戦略」「ブランディング」研究

(1)PB開発のトレンド(価格帯別PB戦略など)
(2)PB開発の成功事例研究
(3)PB開発による粗利ミックスの原則

※講演時間は予定よりも短くなることも長くなることもあります。

会場案内図

会場詳細

〒101-0045
東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2
エッサム神田ホール1号館6階(601)
URL:https://www.essam.co.jp/hall/access/#access_1

【アクセス】
●JRでお越しの方
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●東京メトロ銀座線でお越しの方
神田駅3番出口より徒歩0分

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①会場へお越しの方は開催会場をご確認の上、お間違えの無いようご注意ください。
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③リモートの場合はZOOMウェビナー形式で行います。7月12日(金)までに、お申込書に記載された受講者のメールアドレス宛に受講用URLを記載したメールを送付いたします。

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