ペットボトルコーヒーが缶コーヒーを上回り1位に
まずは、自主調査でPOB会員4,472名を対象に「コーヒーの購入に関する」アンケートを実施。「普段市販のコーヒーを購入する」と回答した男女2,486名に、自分でもっともよく購入するコーヒーの商品タイプについて調査をします。
自分でもっともよく購入するコーヒーの商品タイプについて、「ペットボトルコーヒー」が32.2%でもっとも高く、「缶コーヒー」が22.4%、「コンビニのカウンターコーヒー」が21.4%と続き、アンケートからもペットボトルコーヒーが受け入れられていることがわかります。
購入者の特徴をみると、「ペットボトルコーヒー」は男性が27.7%に対し、女性が8.5ポイント多い36.2%で女性からの支持を集めています。また、ボリュームゾーンはどちらも20~30代の若い年代です。一方で「缶コーヒー」は、男性が33.7%に対して女性が12.5%となり、男性からの支持を集めています。ボリュームゾーンは40~60代です。
6割が週に1回以上購入
次からは、普段ペットボトルコーヒーをもっともよく購入すると回答した801名を対象に、実際の購入頻度や購入理由などを深堀して調査をします。
まず、ペットボトルコーヒーの購入頻度は、「週に1~2回」が43.1%でもっとも多く、「週に3~4回」の9.6%、「ほぼ毎日」の4.6%を合わせると、6割近くが週に1回以上購入していることがわかります。
おいしさ、コスパ、選ぶ楽しさ、そして利便性が購入頻度を高めた
種類も豊富なペットボトルコーヒー。消費者の購入頻度は変化したのでしょうか。普段ペットボトルコーヒーをもっともよく購入すると回答した801名のうち、1年前と比較して購入頻度が高くなったと回答した方は、370名でした。その方を対象に、その理由について調査をします。
1年前と比較して購入頻度が増えた理由については、飲み飽きない「味やおいしさ」が46.5%、ペットボトル入りで大容量である「コストパフォーマンス」が44.6%、各社参入していることによる「種類の豊富さ」が36.8%、持ち歩きやすさなどの「蓋つき」が33.0%と続きます。
クラフトボスが大人気
次に、代表的なペットボトルコーヒーの銘柄をピックアップし、購入経験について調査をします。
購入したことがあると回答した「ペットボトルコーヒー」は、「缶コーヒーじゃない、ボス。」でおなじみ、サントリー「クラフト ボス」シリーズが多くの支持をあつめました。1位の「クラフトボス ラテ」は37.6%で、2位の「クラフトボス ブラック」が34.8%となり6/19に新発売された「クラフト ボス ブラウン」も12.7%と健闘しています。
「クラフト ボス」が圧倒的なブランド力をみせる中、コカ・コーラ「ジョージア ジャパン クラフトマン」や、UCC「BLACK COLD BREW」、伊藤園「TULLY’S COFFEE BARISTA’S BLACK」など、他社のブランドが続きます。
ほかにも、コーヒーとお茶を掛け合わせたアサヒ飲料「ワンダ TEA COFFEE カフェラテ×焙じ茶」や、「ワンダ TEA COFFEE カフェラテ×煎茶」や、デカフェコーヒー市場の拡大に注目し、原料にコーヒー豆ではなく、大麦を使用したキリン「世界のKitchenから 麦のカフェCEBADA(セバタ)」など、今までにはない新ジャンルのペットボトルコーヒー飲料も各社から発売され、市場の広がりをみせています。
クラフトボスは新しいコーヒーの飲み方を生み市場を開拓した
次からは、POB会員の購入レシートから、商品タイプの異なるブラックコーヒー3種を例に、それぞれの購入理由の違いや購入場所について分析します。今回ピックアップしたのは、ペットボトルコーヒーはサントリー「クラフトボス ブラック」、ボトル缶コーヒーは、伊藤園「TULLY‘S COFFEE BARISTA’S BLACK」、缶コーヒーは、UCC上島珈琲「BLACK無糖」です。
まず、サントリー「クラフトボス ブラック」は飲みやすさにおいて、他2商品とよりも抜きん出ており、多くの方が購入理由として選択しています。またすっきり感においてもポイントが高いことがわかります。
また、従来のコーヒーではあまりみられない飲用シーンで受け入れられたことが購入者のコメントからわかります。まずひとつは、仕事中です。従来は多くの方が、仕事の前後や、作業の区切りで手を止めて、コーヒーを飲むとスタイルを取っていましたが、「仕事の合間でちょっと喉が渇いたときに、少しずつ飲めるキャップ付きがよい。スッキリしていて長時間飲み続けられる(30代男性)」というように、「クラフトボス ブラック(ペットボトルコーヒー)」においては、デスクで仕事をしながら、少しずつ、長い時間飲むというスタイルで飲用されていることがわかります。
そしてもうひとつは、 “すばやく喉をうるおしたいとき”です。「すっきりとした味で暑い夏でも喉の渇きがうるおう(30代男性)」というように、暑い夏の時期や、お茶や水のように乾いた喉をうるおしたいときに、「クラフトボス ブラック(ペットボトルコーヒー)」が選ばれていることがわかります。また、「以前は仕事の合間にお茶系飲料を購入していたが、最近はこちらの商品を購入、蓋つきなので数回に分けて飲めるのがよい(40代女性)」のように、お茶系飲料からスイッチしたという方もみられます。
このことから、「クラフトボス ブラック」は、今までにはなかった新しいコーヒーの飲用スタイルをつくり、コーヒーを飲んでいなかった層にも受け入れられていることがわかります。
新ターゲット創造で購入場所にも変化
次に、POB会員の購入レシートからブラックコーヒー3種(銘柄は図表5と同じ)の購入業態について調査をします。
購入業態としては、3種ともに「コンビニエンスストア」がもっとも多く、「スーパー」が続きます。図表1で、自分でもっともよく購入するコーヒーのタイプとして、「ペットボトルコーヒー」が女性の支持を集めていましたが、その裏付けとして、「クラフトボス ブラック(ペットボトルコーヒー)」は、女性客が多い「スーパー」での割合が33.9%でもっとも多いことがわかります。
サントリー「クラフトボス」は、市販のコーヒーにペットボトルコーヒーという新市場を生み出しました。いわゆる「おじさんが気合を入れるための飲物」だった缶コーヒーとは異なり、「お水やお茶のように長時間かけて飲む」という飲用スタイルを生んで若年層や女性の日常に溶け込むことに成功したといえるのではないでしょうか。その理由は、コスパがいい(大容量)、すっきり飲める(味が濃くない)、蓋つき、といった、飲用スタイルに合わせた特徴を開発できたおかげといえそうです。
まとめ
- ペットボトルコーヒーは市販のコーヒー市場で一番購入されており、若年層と女性に評価されている
- おいしさに加えてコスパ、種類の豊富さ、蓋つきといった特徴が購入頻度を上げている
- ペットボトルコーヒーは、新しい飲用スタイルを生んで市場を拡大した
POBデータとは
「マルチプルID-POS購買理由データPoint of BuyⓇ」データベース。
全国の消費者から実際に購入/利用したレシートを収集し、ブランドカテゴリや利用サービス、実際の飲食店利用者ごとのレシート(利用証明として)を通して集計したマルチプルリテール購買データのデータベース。消費財カテゴリ68種類 約6,000ブランド、飲食利用カテゴリ10種類約200チェーン(2018年1月現在)。
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