ドラッグストア上場企業決算レポート

ツルハHD 2024年5月期決算発表レポ「売上高1兆円超えを達成。収益改善フェーズの3ヵ年中期計画は最終年度へ」

2024年6月24日に開催されたツルハHDの2024年5月期決算発表会のレポートをお届けする。(談・文責/編集部)

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売上高が1兆円を突破 営業利益も過去最高に

執行役員・管理本部長 村上誠氏:2024年5月期決算概要についてご説明いたします。よろしくお願いいたします。

決算ハイライトでございます。売上高1兆274億円、前年対比5.9%増、営業利益492億円、前年対比8.0%増と、売上高、営業利益とも過去最高、売上高は初めて1兆円を超えました。

事業概要でございますが、前期は人流の回復、季節品の好調などにより、コロナ関連商材のマイナスを吸収し販売が回復いたしました。また、化粧品の回復や食品を中心に適正売価設定による粗利率の改善も見られました。高騰が続いておりました水光熱費も落ち着きましたが、支払手数料、人件費などの増加により、販管費率は0.1%上昇いたしました。

売上高は13か月既存店が累計で前年比2.9%増、新店も順調に進捗し、全店で前年比105.9%と、ほぼ計画線で着地いたしました。売上総利益に関しましては、検査キット、マスク等の販売減など、コロナ関連商材の反動がございましたが、化粧品、食品、調剤などの寄与により、前年比106.4%、粗利率も前年比プラス0.2%の30.4%の着地となりました。

一方、販管費ですが、人件費等は計画どおりで進行をいたしましたが、水光熱費などが想定を下回ったことなどにより、営業利益は計画を上回る結果となりました。なお、純利益については、子会社ののれん減損を41億円計上したことにより、前年対比、計画対比ともに下回る結果となりました。

続きまして、13か月経過店舗の売上高前年比でございます。13か月既存店の売上高前年比の推移でございます。累計で2.9%と、やや計画を下回る結果となりました。人流回復等により客数は回復傾向、品単価は商品値上げの影響で上昇、一方、販売点数はマイナスという傾向が続いております。会社別の状況につきましてはご覧のとおりです。

調剤の売上は伸長するも粗利率はやや減少

続いて、商品群別の実績でございます。まずは調剤でございますが、薬局開局により処方箋枚数が増加し、売上は継続して伸長いたしました。粗利率については診療報酬改定、薬価改定の影響があり、累計で0.8%減という結果となっております。

OTCにつきましては、総合感冒薬、咳止め薬等の販売が好調でしたが、抗原検査キットの反動減もあり、売上前年対比はやや鈍化いたしました。

化粧品につきましては、人流回復、インバウンド需要等により売上は回復傾向が続いております。日用雑貨は、PB商品の伸びは堅調でございましたが、販売数量が前年割れをしており、やや低調な結果となりました。

食品については、消費者の価格志向の強さ、また値上げの影響で前年対比108.5%と高い伸びを維持いたしました。加えまして、適正値付けの浸透で粗利率が改善しております。その他につきましては、マスクの販売減少および健康食品の販売不振の影響で前年を割る水準となっております。

調剤店舗数、PB商品実績です。調剤店舗数は累計で子会社化を含む新店が104店舗、閉店23店舗、純増81店舗で、計936店舗となり、調剤店舗数の割合は35%となりました。プライベートブランドにつきましては、売上高前年比109%、PB比率も10.5%と上昇いたしました。特に食品につきましては前期比119%と、PBの売上の伸長に大きく寄与いたしました。他方、粗利率はマスクなどのコロナ関連商材の減少により1.7%減の41.8%となりました。

販管費、自社建て物件の増加で地代家賃を抑制。水光熱費の上昇も一服

続きまして、販売費・一般管理費です。販管費の計画、前年対比の実績でございます。

人件費につきましては、ベースアップ、最低賃金上昇の影響もあり、前年比106.7%となりましたが、計画対比では99.8%と適正なコントロールができたと考えております。

販売促進費につきましては、チラシ販促の強化等により、前年比119%の伸びとなりました。地代家賃ですが、前年比103%と、自社建ての物件の増加が寄与し、伸び率を抑制できております。

水光熱費ですが、前年比100%と上昇が一服いたしました。減価償却につきましては前年比108%と、これは出店増加によるものでございます。

その他の経費ですが、前年比108%と、この要因につきましてはキャッシュレス手数料の増加等が原因となっております。

会社別、地域別の出店・閉店の状況でございます。開店128店舗、閉店69店舗、子会社等による増加5店舗の純増64店舗で、前期末の店舗数は2,653店舗となりました。出店は計画比2店舗、閉店は計画比で5店舗超過という結果となっております。地域別の状況につきましてはご覧のとおりです。

バランスシートにつきましては、ドラッグイレブンの株式追加取得により117億円の現預金が減少。また、冒頭に触れました子会社ののれん減損等により、無形固定資産が57億2,500万円減少いたしました。また、自社建ての出店の増加により、有形固定資産が増加しております。これで私からの説明を終わらせていただきます。

続きまして、中期経営計画と当期の取り組みについて、鶴羽社長よりご説明いたします。ご清聴ありがとうございました。

3ヵ年の中期計画は最終年度へ

代表取締役社長執行役員 鶴羽順氏:ここからは、私、鶴羽より、中期経営計画と当期の取り組みについてご説明いたします。よろしくお願いいたします。

2023年の5月期から始まりました3カ年の中期経営計画ですが、前期が終了いたしまして、いよいよ2年が経過いたしました。今期、2025年5月期が中期経営計画の最終年度となります。この中期経営計画の3年間を収益改善フェーズと位置付けまして、収益改善を最優先課題として、次なる成長の足場固めとして重点戦略の取り組みを行ってまいりました。この後、各項目の進捗についてご説明させていただきます。

重点戦略の一つ目、店舗戦略になります。

中計では今期末、店舗数2,750店舗の目標としております。出店済みの地域へ、さらなるドミナント出店を重点的に行いまして、出店精度向上を重視して取り組んでまいりました。今期も111店舗の出店計画があるものの、スクラップ&ビルドの推進または不採算店舗の閉店の前倒しによりまして、今期末の店舗数は2,677店舗と、実際に中計の目標を下回る計画でございます。

これは、中計でわれわれがこだわっております収益改善のために、1店舗当たりの収益性向上を目指した結果であることをご理解ください。新店の早期黒字化が近年の課題でしたが、こちらに関しましては物件選びの基準を高めるとともに、店舗の立ち上がり、オープン時の販売促進などを強化してまいりました。結果、早期にお客様への認知度を高めることによりまして、黒字化へのスピードが今期に入って回復傾向となっております。

また、店舗年齢は全店で6年7カ月と今はなっております。こちらは前期の期首は6年10カ月でスタートしておりますので、いわゆる店舗の若返りの傾向があるということになっております。スクラップ&ビルド、または全面改装によります、今申しました店舗の若返りに努めまして、今後も競争力を維持していきたいと考えております。

調剤売上は1,400億円突破を目指す

重点戦略の二つ目、調剤戦略になります。こちらは今期末、調剤売上1,400億円が中計の目標でございます。

調剤店舗数は、当初計画していた店舗数には届きませんが、この1,400億円の売上計画は達成の見込みでございます。これは中計作成時に、当初の予定より、いわゆる1店舗当たりの売上、収益性が結果伸ばすことができたと思っております。こちらも調剤開局後の認知度アップ策を強化いたしまして、調剤の新店の立ち上がりも良くなってまいりました。

患者様への利便性の向上ということで、いわゆる処方箋枚数の増加策といたしまして、処方箋の予約送信を強化してまいりましたが、こちらは全体の処方箋枚数の6%を超え、好調を維持しております。

また、セルフ処方箋受付機や受け取りロッカーなど、こういった取り組みを開始しました。その結果、処方箋枚数の伸びは前期も112%と好調を維持しております。

前期から調剤のレセコン、または薬歴システムなどの入れ替えをいたしました。これにより業務効率化を推進してまいりました。その結果、調剤における人件費率が前年より0.4%改善して業務効率化が図られております。

PB売上目標は順調に推移 今期末の目標は商品売上構成比率12%

重点戦略の三つ目、PB戦略になります。今期末、PB売上構成比12%が中計の目標でございます。前期は、原材料高騰によりまして新規商品の開発遅れ、または既存商品の原価高騰によりまして廃盤なども多く、商品のSKUの増加というのはなかなか予定どおりに進まないことも実際ございました。

ただし一方で、このPBのグループ各社への導入がさらに進みまして、また既存商品の育成、売上増が寄与したこともありまして、PBの売上目標自体は順調に推移をしております。前期のPB全体売上の前年比は109%でした。

また、カテゴリー別に見ますと、食品SKUが143プラスとなっております。それによって、売上も前年比、食品は119%と、PBの中では伸びました。大手メーカー様との共同開発も行っております。これは今後も増加の予定でございます。

こうした結果、前期末のPB売上比率は10.5%となっております。目標の今期末12%に向けて、予定どおりの進捗と評価をしております。

アプリDL数は940万件を突破 MA導入で1to1マーケティングに拍車をかける

重点戦略の四つ目、DX戦略になります。基幹系システムの刷新にここ数年取り組んでまいりました。多少のスケジュールの遅れはありましたが、いったんのゴールをまさに今迎える予定でございます。

そうした結果、各部署の作業や分析の効率化が今後図られるものと考えております。また、お客様に対してデジタル顧客設定の出発点をスマホのアプリとわれわれは位置付けまして、このアプリのダウンロード数を伸ばすことにここ数年注力してまいりました。

ダウンロード数は前期の実績は940万件を超えました。デジタル会員比率は45%となり、こちらも順調に推移していると考えております。デジタル会員に向けたMAツール、マーケティングオートメーションの導入によりまして、個別にお客様に対応した販促の実施を開始しております。こういったことによりまして、お客様の離脱率の改善、または来店促進につながる施策を実施しております。

営業利益率、ROEとも中計目標を達成の見込み

重点戦略の五つ目、財務戦略になります。こちらは今期末、営業利益率5%以上、ROE10%が中計の目標でございます。それに対しまして、営業利益率5%、ROE10.4%の着地予定で今期は計画をしております。

配当は、引き続き50%以上を維持し、今後もIRやSRを通じた市場との対話の強化、または開示の充実を図ってまいります。

こちらは今期の、2025年5月期の通期計画になります。ご覧のとおりになりますが、売上高1兆800億円、営業利益額535億円、営業利益率5.0%、これは中計の売上高、営業利益率の目標達成はもちろんのこと、過去最高益を目指して努力してまいります。既存店売上高は通期で2.6%を見込んでおります。上期、下期の内訳も記載しております。ご確認をお願いいたします。

こちらは今期の出店計画です。出店111店舗、閉店87店舗、純増は24店舗。これは先ほど申しましたとおり閉店が多く純増が少ないのは中計でこだわっている収益改善のため、1店舗当たりの収益性向上を目指した結果でございます。

こちらは人的資本経営のマテリアリティの前期の結果と今期の目標を記載しております。ご確認をお願いいたします。

イオン、ウエルシアとの経営統合の協議を開始

こちらは2月28日にイオン、ウエルシアホールディングスとの資本業務提携契約を締結したページでございます。

こちらは既にリリースしているとおりですが、3社間でグローバル規模におけます地域生活者の高次なヘルスケア、ウェルネスの実現を目的といたしまして、各社の持つ経営資源を最大限に活用し連携することによって、いろいろな分野でシナジーを発揮して、日本最大のドラッグストア連合体を創生していくということになります。そして、働く従業員の限りない成長機会を創出することを目指して、経営統合の協議を現在開始しております。

必要とされる法的な手続きなどがいろいろありますので、これをクリアした上で、できるだけ早く統合できるように努めてまいります。

以上、私からのご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。

(談・文責/編集部)

資料出典:
https://www.tsuruha-hd.com/content/files/ir/result/material/2024/20240621.pdf