乳酸菌飲料・ヨーグルト、購入状況は「微減」
まずは、弊社が独自に収集するレシートデータから、「乳酸菌飲料」と「ヨーグルト」の購入状況をみていきます。
上図は、「飲料」カテゴリーのレシートに占める「乳酸菌飲料」の構成比と、「食品」カテゴリーのレシート枚数に占める「ヨーグルト」の構成比を、2020年1-10月、21年1-10月で比較したものです。
「乳酸菌飲料」の構成比は、<5.6%→5.4%>、「ヨーグルト」の構成比は、<10.9%→10.3%>となり、いずれも微減していることがわかります。
「買い場」はスーパー、コンビニ、次いでドラスト
市場の活性化を図るためにも、消費者が求めることとは――、アンケートでさらに深堀してみていきましょう。
まず、「直近1年間で乳酸菌飲料(ドリンクタイプのヨーグルトを含む)の購入経験がある」と回答した2426人に、購入場所を尋ねると(選択肢・複数回答)、約9割が「スーパー(89.0%)」と回答し、それに次ぐ「コンビニエンスストア(44.4%)」と「ドラッグストア(41.9%)」が4割となりました。年代が上がるにつれて「宅配(4.6%)」利用者は増加し、「60代以上」では、(6.0%、N=315人)となり、利用者からは「ヤクルトの宅配専用の商品を購入するため」、「販売店の人にすすめられ、明治R1ヨーグルトを飲んでいる」といった理由が挙がりました。
また、購入する際に重視することは、「味・飲みやすさ(71.4%)」が最も多く、「価格(71.0%)」、「機能性・期待できる効果(60.9%)」が続きました。
次に、乳酸菌飲料の飲用頻度は、2426人のうち、3割以上が「週に4回以上(32.0%)」と回答し、「週に2回~3回(21.8%)」、「月に2回~3回(25.3%)」となりました。
年代別では「60代以上」が、「毎日乳酸菌飲料を飲む人」の割合は、(27.9%)で、全体平均値を<+7.3pt>上回り、習慣化している人が多いことがわかります。
免疫力強化・整腸機能・子供ウケ商品が上位に
次からは、年代別でどういった乳酸菌飲料が飲用されているか、乳酸菌飲料の機能性に対する消費者意識を分析していきます。
「直近1年間で飲用した乳酸菌飲料」を尋ねると(選択肢・複数回答)、2426人のうち「明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプ(48.9%)」 が最も多く、理由は、「免疫力をつけたいから毎日飲用(60代以上男性)」、「コロナで免疫力をつけるために飲用(40代女性)」など、あらゆる年代で“免疫力強化”が多く挙がりました。
次に、「明治ブルガリアのむヨーグルトLB81プレーン(45.3%)」が続き、「価格も安く飲みやすい(30代女性)」、「腸内環境を整える働きがあり、美味しくて日常的に飲めるから(60代以上女性)」など、おいしさと手軽さ、特定保健用食品として許可を受ける整腸機能が支持を集めました。
また、3割を越えた「アサヒ飲料 カルピスウォーター(32.7%)」、「ヤクルト ヤクルト400(32.3%)」、「日清ヨーク ピルクル400(31.1%)」は、特に30代~40代の子育て世代から人気で、「カルピスウォーターは、子どもが好きで、特に夏時期、水分補給としても買っています。容量と価格重視(30代女性)」や、「ヤクルトやピルクルなど、子どもがよく飲む。量がちょうどよく、甘さがあるものを重視して買うことが多い(40代男性)」といった理由が挙がり、「カゴメ 植物性乳酸菌ラブレ(15.8%)」は、「ラブレのプルーン味を、鉄分を摂取するためにできる限り続けて飲んでいる(50代女性)」、「肌の保湿効果があるから(40代女性)」など、40代以上の女性の支持が高いことがわかりました。
腸内環境を整える「善玉菌」の代表として、「乳酸菌」や「ビフィズス菌」がよく知られていますが、市販の乳酸菌飲料はその機能性ごとに、含まれる善玉菌が異なります。
機能性の認知は含まず、あくまでも「聞いたことがあるか」調べると、全年代で半数以上を越えたのは、図表3で上位に挙がった乳酸菌飲料として、CMでも馴染みのある「乳酸菌 シロタ株(74.6%)」、「R-1乳酸菌(67.4%)」、「ガセリ菌SP株(60.1%)」、「LG乳酸菌(58.8%)」となりました。
※乳酸菌 シロタ株=ヤクルト400など、R-1乳酸菌=明治プロピオR-1、ガセリ菌SP株=恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト、LG乳酸菌=明治 ブルガリアのむヨーグルト
「乳酸菌を取り入れ、免疫力を強化すること」がトレンド化
年代別では、「40代~50代」では、「カゴメ 植物性乳酸菌ラブレ(50.8%※40代~50代平均値)」に含まれる「ラブレ菌」や、「キリンiMUSE」に含まれる「プラズマ乳酸菌(50.2%※40代~50代平均値)」の認知度は、全体平均値よりも高くなり、「~30代」では、「森永乳業 シールド乳酸菌タブレットやチョコレート」などに含まれる、「シールド乳酸菌(30.0%)」の認知度は3割で、平均値よりも<+6.2pt>高いことがわかりました。
最後に、既に発売されている乳酸菌飲料の機能性を並べ、「魅力的に感じる乳酸菌飲料の機能性」を尋ねると、乳酸菌飲料の期待する機能性として浸透する「腸内細菌の種類と善玉菌を増やす(68.3%)」が約7割で、「免疫力を高める(58.9%)」は、「便秘や下痢の整腸作用(48.6%)」を<+10.3pt>上回り、全年代でもニーズが高く、今までの調査結果からも「乳酸菌を取り入れ、免疫力を強化すること」がトレンド化していることがうかがえます。
また、「体脂肪を減らすのに役立つ(37.3%)」、「ストレス緩和・睡眠の質向上(31.2%)」、「肌荒れ・肌トラブルの予防に役立つ(30.3%)」などの機能性においても3割が魅力的に感じると回答し、理由としては「コロナ太りで体脂肪が気になる(50代男性)」、「コロナで仕事環境が急変しストレスを感じやすく、不眠にも悩まされている(50代男性)」、「マスクで肌荒れがひどいため(30代女性)」などのコロナ禍で顕在化する悩みが多くみられました。
それらに効果を発揮する乳酸菌飲料は既に発売されているため、売り場での提案・機能価値の理解を広め、消費者の裾野を広げるだけではなく、ウィズコロナが常態化する中で、時代に対応した新商品の投入や施策により、新たなユーザー層を獲得することが市場の活性化につながると言えるでしょう。
[調査概要]
調査期間:2021年11月3日~11月4日
インターネットリサーチ エリア:全国
調査機関:mitoriz