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人気のトクホは「体の脂肪に効果的なお茶」

第10回飲む人は3割近くが半年以上継続して飲み続ける「トクホ」

特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品で構成される、保健機能食品は2018年の市場は前年比5.4%増の7115億円と予想されています。特定保健用食品は、メタボ対策として生活習慣病予防を訴求する商品が市場をけん引しており、保健機能食品市場の約60%を占めていますが(2016年)、機能性表示食品への需要流出もみられ構成比は縮小していると言われる中、(富士経済)、今回は、「特定保健用食品」の清涼飲料(以下トクホ飲料)について、分析します。

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56.3%の人がトクホを飲んだことが無い

まず、当社の自主調査では、20代~60代の男女に、(N=3,975名)に、直近1年間でのトクホ飲料の飲用経験を調査しました。

直近1年間でトクホ飲料を「飲んだことがある」と回答した方は、36.5%となり、店頭で様々なトクホ飲料が発売されている中、意外にも「飲んだことがない」と回答した方は、半数以上の56.3%となります。その理由については、「効果を感じられるかわからない」や「通常の清涼飲料と比較した際の値段の高さ」などが挙がりました。

次からは、トクホ飲料を飲んだことがあると回答した1,452名を対象に、飲んでいる期間や頻度について調査をします。

まず、トクホ飲料を飲んでいる頻度は、「1か月~3ヵ月」が17.1%でもっとも多い結果となりましたが、3割近くの方が、半年以上長期間にわたって飲み続けていることがわかりました。

次に、トクホ飲料を飲む頻度については、「週に1回以上飲んでいる」が24.1%で、4人に1人が週に1回以上トクホ飲料を飲んでいます。「毎日飲んでいる」方の、10.3%と合わせると3割以上の方が、日常的にトクホ飲料を飲んでいることがわかりました。

人気のトクホは「体の脂肪に効果的なお茶」

実際にどのような銘柄のトクホ飲料が選ばれていたのか、代表的なトクホ飲料の銘柄をセレクトし、直近1年間での購入経験について調査をします。

直近1年間で、購入したことがあるトクホ飲料について、1位が「サントリー 伊右衛門特茶」が43.9%で、半数近くの方の購入経験があると回答しています。「価格も手ごろでおいしく、体脂脂肪を減らすのを助けてくれるところが気に入っている(40代女性)」や「毎日飲んでも飲み飽きない味、健康管理のために飲んでいる(50代男性)」といった、手頃な価格で日常的に飲んでいると言った声が目立ちました。

また、2位以下は、「花王 ヘルシア緑茶」34.8%、「サントリー 黒烏龍茶」が19.4%、「コカ・コーラ からだすこやか茶W」が14.3%と続き、高血圧などの血圧対策に効果的な8位「サントリー 胡麻麦茶」9.4%を除き、トクホ飲料の中でも、体の脂肪に効果的だと言われる(脂肪を分解する・減少させる)お茶系飲料が多くの支持を集めたことがわかります。

手に取りやすい容器と陳列位置で人気を集めた「伊右衛門 特茶」

ここからは、2013年からサントリー「伊右衛門 特茶」を販売するサントリー食品インターナショナル株式会社ジャパン事業本部 米谷氏に、近年のトクホ市場や消費者ニーズ、販促方法の変化についてインタビューします。

Q1.ここ数年のトクホ飲料の市場変化についてはどうお考えでしょうか?

2013年、「伊右衛門 特茶」発売当時のトクホ飲料は花王さんの「ヘルシア緑茶」、当社の「黒烏龍茶」および「胡麻麦茶」などでした。購入層は、メタボや体型が気になり出した中高年の方が多く、売り場では最上段の商品棚、低めのペットボトル容器で販売されていたニッチな市場でした。その中でも、「伊右衛門 特茶」は消費者が手に取りやすい500mlPETサイズで発売し、普段飲むペットボトルのお茶と同じ商品棚に並んだことで、他のトクホ飲料も同じくスリムラインの容器が一般的となり、日頃の健康を高めたい人が日常的に飲む飲料として、多くの方に親しまれました。これが、トクホ飲料市場拡大の要因だと考えられます。

その後、2015年に機能性表示食品制度が始まり、健康への効果を表示した飲料や食品が発売された相乗効果で、トクホ市場も活性化しました。近年は短期集中型のフィットネスジムや、糖質オフなど、ダイエットに対して消費者の選択肢が増えたことにより、トクホ飲料に対して消費者の期待価値が低下してきており、上昇傾向であったトクホ市場も2018年は7年ぶりに停滞気味となっています。特茶としても消費者ニーズの変化に合わせ、コミュニケーション手法も変化せねばと考えております。

Q2.「伊右衛門 特茶」が発売されたことにより、伊右衛門ブランドの売れ行きに変化はありましたか?

「伊右衛門 特茶」発売初年度は、通常の「伊右衛門ブランド」を購入している方の試し買いもみられましたが一時的なものであり、飲む目的が異なるため、カニバリは起きていません。「特茶シリーズ」としては、2016年の「特茶 カフェインゼロ」、2017年の「特茶 ジャスミン」の発売により、バリエーションが増えたことで飲み分けをするユーザーがみられ、「伊右衛門ブランド」全体で考えると売上は拡大しています。

Q3.消費者に継続購入の後押しとなるような、キャンペーンや販促事例があればお聞かせください。

継続購入を後押しするための施策として、昨年9月に「特茶スマートアプリ×FiNC」をリリースしました。既存ダイエットアプリは女性ユーザー9割を占めると言われる中、同アプリは、特茶をきっかけに普段ダイエットアプリへの関心が薄い男性ユーザーにもダウンロードをしていただき、男女比は半々となりました。アクティブ率も想定を超える高い数値となり、特茶の飲用や、運動、規則正しい生活の習慣化をアプリによりサポートすることで、健康意識を高める好循環を作り出すことができました。

取材協力)サントリー食品インターナショナル株式会社 ジャパン事業本部
ブランド開発第一事業部 米谷氏
※図表1~5:ソフトブレーン・フィールド株式会社「マルチプルID-POS購買理由データPoint of BuyⓇ」20代~60代のアンケートモニター3,975名を対象にした、トクホに関するアンケート結果より。(WEB調査、調査期間:2018年12月7日~12月10日)

著者プロフィール

石井麻美
石井麻美

mitoriz(旧ソフトブレーン・フィールド)所属。広告代理店の企画営業や、制作会社でのメディアプロデューサーなど10年以上インターネットメディアに関する職に従事。2017年にソフトブレーン・フィールド株式会社に入社。入社後は経営企画部に所属し、POB会員メディアの企画運営および、POBデータを利用した調査リリース、および業界紙への記事執筆を行う。