このカテゴリどこで買う?

ボディソープの買われ方

第3回ECサイトにシェア奪われる、リアル店舗の高価格帯ボディソープ

さまざまな業態が、取り扱うカテゴリの幅を広げ、お客様を奪い合おうとしています。あらゆるカテゴリの売上を狙うECの挙動も注視しなければなりません。本連載では、ソフトブレーン・フィールドのマルチプルID-POS購買理由データPoint of BuyⓇ(以下POBデータ)により、それぞれのカテゴリがどの業態でよく売れるのかと、その理由を分析し、次の一手を考えます。今回は、洗い上がりの好みや、様々な機能性など備えた商品が増えている「ボディソープ」をテーマに、独自のデータから消費者の購買行動を分析します。

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半数以上がドラッグストアで購入。拡大するか食品スーパー

まず2017年の「ボディソープ」購入チャネル(店頭・全国エリア)をみると、「ドラッグストア」が58.6%でもっとも多く、次いで「食品スーパー」が24.4%、「ディスカウントストア」が10.0%と続きました。

どの業態も過去3年間で数値に大きな変化は見られませんでしたが、「食品スーパー」のみ、わずかながら上昇傾向であり、2015年の23.2%から、2017年は1.2ポイントアップの24.4%となります。

人気は手頃なファミリータイプ。圧倒的シェアのビオレu

POB会員の購入レシート枚数からみる「ボディソープ」の売れ筋は、1位が「花王 ビオレu」が18.4%で、2位の「クラシエ ナイーブ」の7.6%を、10.8ポイント引き離していました。3位は「牛乳石鹸共進社 ミルキィボディソープ」が6.7%、4位がユニリーバ「ダヴ ボディウォッシュ プレミアム」が6.3%、5位がライオン「キレイキレイ」が4.5%となり、全体的にみて手頃な価格帯でファミリーユースタイプの商品が人気を集めています。

また、花王「ビオレ」は、1位の「ビオレu」、7位の「ビオレu うるおいしっとり」、8位の「メンズビオレ」、10位の「ビオレu さっぱりさらさら」の計4ブランドがランクインしており、洗い上がりの好みや、ラインナップの豊富さでシェアは3割となっています。

エリアで違う購入ブランド

図表3は、図表2をエリア別でさらに詳しく見ています。九州(含沖縄)エリアでは、全国で唯一1位が「花王ビオレu」ではなく、全国平均3位の「牛乳石鹸共進社 ミルキィボディソープ」が1位となります。また、北海道エリアでは、全国平均6位の「ライオン hadakara」が2位にランクインし、支持を集めています。そして、東北エリアでは、1位の「花王ビオレu」のシェアが28.4%となり、全国平均の18.4%を、10ポイントも上回る結果となります。

次からは、自社調査でPOB会員4026名を対象に「ボディソープに関するアンケート」を実施し、その結果をご紹介します。

「価格」だけではなく、機能性も重視

「ボディソープ」購入時に重視するポイントは、「価格」がもっとも高い58.8%となり、次いで「肌へのやさしさ」が38.3%、「泡立ち・泡質」が37.9%、「洗い上がり」が35.3%、「香り」が27.3%と続きます。

その裏付けとして、図表2でみた実際に購入されているブランドからは、手頃な価格でありながら、「弱酸性・低刺激」で「肌にやさしく」、「泡立ちや泡質」などの機能性が高い商品がランクインしています。

キーワードは「やさしさ」?ボディソープに求めるものとは

ボディソープに期待する効果は、「汚れをやさしく落とす」が65.6%となり、次いで「保湿力」が43.6%となります(図表5)。

図表3の「ボディソープ」購入ブランドでは、6位に、ボディソープだけで保湿効果が期待できるライオン「hadakara」がランクインしており、ボディソープに求める効果として「保湿力」が注目されつつあると言えます。

ほかにも、「洗った後の爽快感」が29.3%、「香りによるリラックス効果」が22.2%、「ニオイ対策ができる」が21.4%と続きました。

実店舗は300円未満、ネットショッピングは1,500円以上が中心価格帯

ボディソープの店頭での購入先として、「ドラッグストア」や「食品スーパー」が多くの方に選ばれていましたが(図表1 POB会員のボディソープ購入チャネル・店頭)、ボディソープをはじめとした重くてかさばる日用品の購入先として、「ネットショップ」を利用する方も増えています。アンケートでは、ボディソープの購入チャネルに「ネットショップ」を新たに追加し、チャネル別での購入価格帯を調査しました。

購入チャネルは、図表1と同様に、1位が「ドラッグストア」、2位が「食品スーパー」となりましたが、3位は「ネットショッピング」となり、4位の「ホームセンター」、5位の「ディスカウントショップ」を上回る結果となります。

購入価格をみると、ドラッグストアや食品スーパーなど、ネットショッピング以外の購入チャネルでは、「200円~300円未満」の低価格帯のボディソープを購入者する方が多い中、ネットショッピングを購入チャネルとする方の購入価格は、「1,500円以上」が20.5%、次いで「700円~1,000円」が、14.3%、「1,000円~1,500円以上」が13.7%となり、半数近く方が700円~1,500円以上の高価格帯を購入する方が多いことがわかります。

総じて実店舗に比べるとネットショッピングを利用する人の方が購入価格が高いといえます。実店舗の高価格帯ボディソープは、ECサイトにシェアを奪われているのかもしれません。

まとめ

  • ボディソープは「花王 ビオレu」が2位以下を引き離して最も購入されているが、エリアによって割合が異なる
  • ボディソープの購入時重視点は「価格」に次いで「肌へのやさしさ」「泡立ち・泡質」
  • ボディソープに期待することは「汚れをやさしく落とす」「保湿力」
  • ネットショップでの購入者は、他チャネルと比べて購入金額が高い傾向

 

POBデータとは

「マルチプルID-POS購買理由データPoint of BuyⓇ」データベース。

全国の消費者から実際に購入/利用したレシートを収集し、ブランドカテゴリや利用サービス、実際の飲食店利用者ごとのレシート(利用証明として)を通して集計したマルチプルリテール購買データのデータベース。消費財カテゴリ68種類 約6,000ブランド、飲食利用カテゴリ10種類約200チェーン(2018年1月現在)。

「セゾンポイントモール」会員と、「Ponta Web」会員、当社登録会員「キャスト」で構成された約20万人のネットワーク。マーケティング戦略に不可欠なデータを、“より精度を高く”を企業・メーカーに提供します。

著者プロフィール

石井麻美
石井麻美

mitoriz(旧ソフトブレーン・フィールド)所属。広告代理店の企画営業や、制作会社でのメディアプロデューサーなど10年以上インターネットメディアに関する職に従事。2017年にソフトブレーン・フィールド株式会社に入社。入社後は経営企画部に所属し、POB会員メディアの企画運営および、POBデータを利用した調査リリース、および業界紙への記事執筆を行う。