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時間帯別レシート購入金額割合、セブン・ファミマはランチ時間帯、ローソンは帰宅時間帯がピーク
来店時間帯別でレシートの購入金額割合の最高値は、セブン-イレブン(20.6%)および、ファミリーマート(20.0%)の2社はランチ時間帯12時~15時、ローソンにおいては、帰宅時間帯15時~18時(20.2%)となります。
また3社ともに、18時~21時においても《18.1%~18.3%》と2割近くのシェアを保ちますが、21時~24時になると《8.4%~10.4%》と10ポイント近くダウン。深夜時間帯になると《2.7%~3.0%》まで、下降します。
レシート1枚あたりの購入状況(平均レシート単価・買上点数)は、時間帯別で変化はあるのでしょうか。セブン-イレブンを例に分析します。
ランチ時間帯よりも、21時~深夜時間帯が平均レシート単価および買上点数が上昇する
セブン-イレブンを例に、時間帯別でレシート1枚あたりの購入状況(平均レシート単価・買上点数)をみると、図表1で購入金額の割合が下降していた、21時~24時が最高値となり、<平均レシート単価710円・レシート1枚あたりの買上点数3.2個>となります。レシートの購入金額割合が最高値となるランチ時間帯12時~15時は、<平均レシート単価586円・レシート1枚あたりの買上点数2.6個>であり、21時以降~深夜時間帯のほうが平均レシート単価、買上点数ともに上回っていたことがわかりました。
ファミリーマートおよびローソンの、時間帯別のレシート1枚あたりの購入状況の最高値についても、<ファミリーマート:21時~24時の平均レシート単価603円・レシート1枚あたりの買上点数2.9個>、<ローソン:深夜時間帯の平均レシート単価618円・レシート1枚あたりの買上点数3.2個>となり、同じ結果となりました。
次からは、主力商品カテゴリの「おにぎり」、「スイーツ」における全体のレシート購入金額の割合および、ローソン「バスチー」や「悪魔のおにぎり」などのヒット商品が与えたスイーツ・おにぎりカテゴリの影響について分析します。
おにぎりは、各社一定のシェアを保つ。セブンは定番商品リニューアル後の6月がピーク
まず、「おにぎり」のレシート購入金額全体に占める購入金額の平均割合をみると、セブン-イレブンは5.5%、ファミリーマートは4.8%、ローソンは3.5%となり、一定のシェアを保っています。
セブン-イレブンは2019年6月(8.9%)が最高値となります。背景には、夏のレジャーシーズンを前に同年6月に「リッチマヨ仕立てツナマヨネーズ(124円)」「二晩熟成紅しゃけ(151円)」他、定番5種類のリニューアルによる効果で、おにぎりの購入金額が増加していたことが考えられます。
また、おにぎりと言えば、ローソンから2018年10月に発売されシリーズ累計販売数が5,600万個(2019年9月末現在)を突破し、2019年の日経トレンディが選ぶ上半期のヒット商品となった「悪魔のおにぎり」があります。
発売後の「おにぎり」購入金額推移に、どのような影響があったのか調べてみました。
ローソン「悪魔のおにぎり」、発売後すぐに人気商品として定着
ローソン「悪魔のおにぎり」発売前月の2018年9月は、レシート購入金額全体に占める「おにぎりレシートの購入金額」の割合が(3.0%)、発売月10月には<おにぎり全体3.5%、うち「悪魔のおにぎり」0.3%>となります。SNSを中心に話題となり、発売13日で約265万個販売というニュースが流れ、11月には、<おにぎり全体4.2%、うち「悪魔のおにぎり」0.4%)>となりました。その後、<おにぎり全体3.1%~4.2%、うち「悪魔のおにぎり」0.2%~0.4%>で一定のシェアを維持。定番商品として定着していることがわかります。
次に、「スイーツ」のレシート購入金額全体に占める平均割合と、ローソン「バスチー」のレシート購入金額の推移をみます。
スイーツ金額シェア、ローソンのみ4%越え、バスチー発売・ウチカフェスイーツ10周年誕生祭が影響
「スイーツ」の、レシート購入金額全体に占める割合をみると、セブンイレブンは3.7%、ファミリーマートは3.4%、ローソンは4.8%で唯一ローソンのみ4%を超えています。
ローソンは2019年4月(6.9%)が最高値となり、同月3月発売の「バスチー」が影響していることがわかりました。(図表4-①)また、10月18日限定で、「Uchi Cafe Sweets [ウチカフェスイーツ]」10周年誕生感謝祭として、オリジナルスイーツ全品の半額セールを実施したことにより5.8%とシェアを伸ばしています。(前月4.3%)
バスチー発売の翌月、スイーツ購入金額、前月2ポイント以上の伸び、その後も定着
ローソン「バスチー」発売前月の2019年2月は、レシート購入金額全体に占める「スイーツレシートの購入金額」の割合が(5.5%)から、発売2か月後の4月には<スイーツ全体6.9%、うち「バスチー」1.3%>となり、「バスチー」の発売が、ローソンのスイーツレシート購入金額の拡大に寄与していることがわかります。
“第三のチーズケーキ”として、バスクチーズケーキ自体が各種メディアでも話題となっている中、セブン-イレブンでも10月に「バスクチーズケーキ」が発売されました。これにより、コンビニスイーツ全体が注目される相乗効果が生まれる可能性もあり、今後の動向に注目です。
コンビニエンスストアにおいては、スーパーやドラッグストアと比較すると、店舗数や(※)営業時間の長さ、コピーやFAX、ATMだけではなく、各種チケットや乗車券などの販売代行、宅配便やクリーニングの受け付け、光熱・水道費など公共料金の収納代行、様々なサービスにも対応しています。いつでも商品を購入することができるうえ、どこにでもあるため、利便性の高さにおいては優位性があると言えるのではないでしょうか。
しかしながら、根幹の24時間営業を巡っては、様々な議論が続けられ3社ともに時短営業を容認する動きがあります。コンビニエンスストア各社は、大きなビジネスモデルの転換期を迎え今後どのような価値を提供していくのか注目したいと思います。
(※)コンビニの店舗数は2019年6月時点で全国5万6485店(経済産業省「商業動態統計」)であり、小売業でコンビニ以外ではドラッグストア(1万6058店)やスーパー(5000店)が続きます。