糖尿病用品・ケージフリー卵・PBデプスアソートメント・マルチブランド戦略

【ウォルグリーン・CVS・ホールフーズ・クローガー】アメリカ小売業 ヘルスケアPBの売り方4つの潮流

日本より先を行くアメリカ小売業のPB開発。特にヘルスケアの啓蒙の意識が高く、関連するプライベートブランド(PB)の商品開発や売り方は非常に参考になる部分が多い。本稿では2018年6月14日~19日まで、ニューフォーマット研究会で実施したアメリカロサンゼルスとラスベガス視察ツアーから、小売業各社のプライベートブランドの商品開発事例や売り方事例をご紹介する。(月刊マーチャンダイジング2018年8月号から転載)

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ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスの糖尿病用品売場

米国No.1のドラッグストア(DgS)、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)。PBはヘルスケア、食品、ビューティケアが中心。同社はPBに注力する方針で、現在売上の25%程度がPBとされている。種類は豊富だ。

同社は日本にはない「糖尿病(=Diabetes)」の棚とPBをつくっており、売場での啓発活動も行っている。WBAのヘルスケアPB「Well at Walgreens」には、血糖測定計や血圧計など、測定器まで揃っている。

インシュリンの保冷ケースやメディカルIDブレスレット、血糖値測定器や血糖値測定機用の針、ケトン体試験紙までPBで展開。

食品PB「NICE」。ジャンクな菓子ではなく、健康志向の菓子を訴求している。

CVSヘルスに見るPBデプスアソートメント

CVSは、米国の最大規模のDgSチェーン2強のうちの1社。WBAに比べるとPBは少ないが、たとえば、ウイークリーピルケースだけで複数種類何色もあるなど、特定のカテゴリーではPBだけでデプスアソートメントを形成している。ポイントを絞って強化しているカテゴリーがあるようだ。

写真は、日焼け止めのPBデプスアソートメント。すべてPBである。

「うおのめ」ケア売場も、NB商品が一部交じっているがほぼPB。

ハンドサニタイザー(手用消毒ジェル)のPBも種類が豊富だ。

ホールフーズの情緒的卵訴求

アマゾンに買収されてからは比較的安価な商品も増えているホールフーズ。新業態の365はミレニアル世代がメインターゲットになっており価格も比較的安価。動物愛護の観点から、ケージフリー卵がPRされている。卵に情緒的な価値を付加した例と言える。

写真は、4種類の卵1ダースパック。上3つはケージフリープラスで、一番下はオーガニックの上にオメガ3脂肪酸入りのプレミアム卵だ。

ケージフリー卵とは従来のケージ飼いと比較して、配慮した方法で飼養された鶏由来の卵のこと。卵での情緒価値訴求は、日本ではあまり見られないあまりない要素だ。ちなみに売場ではNBの卵も豊富に扱っている。

マルチブランド展開するクローガー(ラルフス)

種類も多く売上比率で26%程度あるクローガー。店頭では健康訴求の「simple truth」がプッシュされている。トマト缶だけで複数種類のPBが並ぶ。

売場に多かったのは健康志向PB「simple truth」だが、その中でもサブブランド「simple truth organic」はニーズがあるのか競合を意識してか、とくに推しているようだ。