「小売業はイチローである」。イチローのように、内野安打やシングルヒット、盗塁のような日々のコツコツとした「店内作業」を繰り返し、徹底することが最大の差別化策であり、競争優位戦略である。
「凡事徹底が非凡を生む」という言葉がある。だれにでもできる平凡な店内作業を、全店全従業員が徹底することは、とてつもなく非凡なことである。つまり、小売業の教育は、一握りの天才をつくる教育よりも、現場従業員の平均点を上げる教育の方がはるかに重要である。組織としての平均能力の高さこそが、小売企業の最大の差別化戦略である。
「100の指示より1の徹底」である。ダメな組織ほど、社長、副社長、専務、常務、部長etc.と、ありとあらゆる方向から膨大な異なった指示が現場に降り注いでいる。しかも、命令者はそのときの気分で指示を出し、命令の出しっぱなしで報・連・相を要求しないから、現場は「やらなくても怒られない」ことがわかると、馬耳東風になり、「100の指示が来るが何もやらない」というダメ組織の典型になる。
たとえば、マニュアルどおりの「レジ対応」という行動を全店全従業員で徹底することが、どれほど困難なことであるかを再確認すべきである。報・連・相こそが「組織仕事」のすべてである。