「おいしさ」「コスパ」「利便性」で缶より購入されるようになったペットボトルコーヒー

2017年に大ヒットしたサントリー「クラフトボス」は、ペットボトルコーヒーの新しい市場をつくり、タリーズ(伊藤園)や、UCC(上島珈琲)などコーヒーブランドが一気に市場に参入し、2018年春も各社から新商品が発売され人気をみせています。今回はペットボトルコーヒーについて独自データに基づき分析します。

ペットボトルコーヒーが缶コーヒーを上回り1位に

まずは、自主調査でPOB会員4,472名を対象に「コーヒーの購入に関する」アンケートを実施。「普段市販のコーヒーを購入する」と回答した男女2,486名に、自分でもっともよく購入するコーヒーの商品タイプについて調査をします。

自分でもっともよく購入するコーヒーの商品タイプについて、「ペットボトルコーヒー」が32.2%でもっとも高く、「缶コーヒー」が22.4%、「コンビニのカウンターコーヒー」が21.4%と続き、アンケートからもペットボトルコーヒーが受け入れられていることがわかります。

購入者の特徴をみると、「ペットボトルコーヒー」は男性が27.7%に対し、女性が8.5ポイント多い36.2%で女性からの支持を集めています。また、ボリュームゾーンはどちらも20~30代の若い年代です。一方で「缶コーヒー」は、男性が33.7%に対して女性が12.5%となり、男性からの支持を集めています。ボリュームゾーンは40~60代です。

6割が週に1回以上購入

次からは、普段ペットボトルコーヒーをもっともよく購入すると回答した801名を対象に、実際の購入頻度や購入理由などを深堀して調査をします。

まず、ペットボトルコーヒーの購入頻度は、「週に1~2回」が43.1%でもっとも多く、「週に3~4回」の9.6%、「ほぼ毎日」の4.6%を合わせると、6割近くが週に1回以上購入していることがわかります。

おいしさ、コスパ、選ぶ楽しさ、そして利便性が購入頻度を高めた

種類も豊富なペットボトルコーヒー。消費者の購入頻度は変化したのでしょうか。普段ペットボトルコーヒーをもっともよく購入すると回答した801名のうち、1年前と比較して購入頻度が高くなったと回答した方は、370名でした。その方を対象に、その理由について調査をします。

1年前と比較して購入頻度が増えた理由については、飲み飽きない「味やおいしさ」が46.5%、ペットボトル入りで大容量である「コストパフォーマンス」が44.6%、各社参入していることによる「種類の豊富さ」が36.8%、持ち歩きやすさなどの「蓋つき」が33.0%と続きます。

クラフトボスが大人気

次に、代表的なペットボトルコーヒーの銘柄をピックアップし、購入経験について調査をします。

購入したことがあると回答した「ペットボトルコーヒー」は、「缶コーヒーじゃない、ボス。」でおなじみ、サントリー「クラフト ボス」シリーズが多くの支持をあつめました。1位の「クラフトボス ラテ」は37.6%で、2位の「クラフトボス ブラック」が34.8%となり6/19に新発売された「クラフト ボス ブラウン」も12.7%と健闘しています。

「クラフト ボス」が圧倒的なブランド力をみせる中、コカ・コーラ「ジョージア ジャパン クラフトマン」や、UCC「BLACK COLD BREW」、伊藤園「TULLY’S COFFEE BARISTA’S BLACK」など、他社のブランドが続きます。

ほかにも、コーヒーとお茶を掛け合わせたアサヒ飲料「ワンダ TEA COFFEE カフェラテ×焙じ茶」や、「ワンダ TEA COFFEE カフェラテ×煎茶」や、デカフェコーヒー市場の拡大に注目し、原料にコーヒー豆ではなく、大麦を使用したキリン「世界のKitchenから 麦のカフェCEBADA(セバタ)」など、今までにはない新ジャンルのペットボトルコーヒー飲料も各社から発売され、市場の広がりをみせています。

クラフトボスは新しいコーヒーの飲み方を生み市場を開拓した

次からは、POB会員の購入レシートから、商品タイプの異なるブラックコーヒー3種を例に、それぞれの購入理由の違いや購入場所について分析します。今回ピックアップしたのは、ペットボトルコーヒーはサントリー「クラフトボス ブラック」、ボトル缶コーヒーは、伊藤園「TULLY‘S COFFEE BARISTA’S BLACK」、缶コーヒーは、UCC上島珈琲「BLACK無糖」です。

まず、サントリー「クラフトボス ブラック」は飲みやすさにおいて、他2商品とよりも抜きん出ており、多くの方が購入理由として選択しています。またすっきり感においてもポイントが高いことがわかります。

また、従来のコーヒーではあまりみられない飲用シーンで受け入れられたことが購入者のコメントからわかります。まずひとつは、仕事中です。従来は多くの方が、仕事の前後や、作業の区切りで手を止めて、コーヒーを飲むとスタイルを取っていましたが、「仕事の合間でちょっと喉が渇いたときに、少しずつ飲めるキャップ付きがよい。スッキリしていて長時間飲み続けられる(30代男性)」というように、「クラフトボス ブラック(ペットボトルコーヒー)」においては、デスクで仕事をしながら、少しずつ、長い時間飲むというスタイルで飲用されていることがわかります。

そしてもうひとつは、 “すばやく喉をうるおしたいとき”です。「すっきりとした味で暑い夏でも喉の渇きがうるおう(30代男性)」というように、暑い夏の時期や、お茶や水のように乾いた喉をうるおしたいときに、「クラフトボス ブラック(ペットボトルコーヒー)」が選ばれていることがわかります。また、「以前は仕事の合間にお茶系飲料を購入していたが、最近はこちらの商品を購入、蓋つきなので数回に分けて飲めるのがよい(40代女性)」のように、お茶系飲料からスイッチしたという方もみられます。

このことから、「クラフトボス ブラック」は、今までにはなかった新しいコーヒーの飲用スタイルをつくり、コーヒーを飲んでいなかった層にも受け入れられていることがわかります。

新ターゲット創造で購入場所にも変化

次に、POB会員の購入レシートからブラックコーヒー3種(銘柄は図表5と同じ)の購入業態について調査をします。

購入業態としては、3種ともに「コンビニエンスストア」がもっとも多く、「スーパー」が続きます。図表1で、自分でもっともよく購入するコーヒーのタイプとして、「ペットボトルコーヒー」が女性の支持を集めていましたが、その裏付けとして、「クラフトボス ブラック(ペットボトルコーヒー)」は、女性客が多い「スーパー」での割合が33.9%でもっとも多いことがわかります。

サントリー「クラフトボス」は、市販のコーヒーにペットボトルコーヒーという新市場を生み出しました。いわゆる「おじさんが気合を入れるための飲物」だった缶コーヒーとは異なり、「お水やお茶のように長時間かけて飲む」という飲用スタイルを生んで若年層や女性の日常に溶け込むことに成功したといえるのではないでしょうか。その理由は、コスパがいい(大容量)、すっきり飲める(味が濃くない)、蓋つき、といった、飲用スタイルに合わせた特徴を開発できたおかげといえそうです。

まとめ

  • ペットボトルコーヒーは市販のコーヒー市場で一番購入されており、若年層と女性に評価されている
  • おいしさに加えてコスパ、種類の豊富さ、蓋つきといった特徴が購入頻度を上げている
  • ペットボトルコーヒーは、新しい飲用スタイルを生んで市場を拡大した

 

POBデータとは

「マルチプルID-POS購買理由データPoint of BuyⓇ」データベース。

全国の消費者から実際に購入/利用したレシートを収集し、ブランドカテゴリや利用サービス、実際の飲食店利用者ごとのレシート(利用証明として)を通して集計したマルチプルリテール購買データのデータベース。消費財カテゴリ68種類 約6,000ブランド、飲食利用カテゴリ10種類約200チェーン(2018年1月現在)。

「セゾンポイントモール」会員と、「Ponta Web」会員、当社登録会員「キャスト」で構成された約20万人のネットワーク。マーケティング戦略に不可欠なデータを、“より精度を高く”を企業・メーカーに提供します。

高アルコールの「ストロング系」トライアル増加中!秘密は販促にあり?

さまざまな業態が、取り扱うカテゴリの幅を広げ、お客様を奪い合おうとしています。本連載では、ソフトブレーン・フィールドのマルチプルID-POS購買理由データPoint of BuyⓇ(以下POBデータ)により、それぞれのカテゴリがどの業態でよく売れるのかと、その理由を分析し、次の一手を考えます。今回は、ストロング系やほろよい系などさまざまな商品が登場している「缶チューハイ」をテーマに、独自のデータから消費者の購買行動を分析します。

ビールの次に買われている缶チューハイ

ビール系飲料の出荷量が13年連続で減っている中、飲みやすく値段が安価な高アルコールの缶チューハイが好調です。今後ますます需要が高まる夏に向けて、今回は缶チューハイについて分析します。

まずは、自主調査でPOB会員3,627名を対象に「缶チューハイについて」アンケートを実施し、「普段お酒を自分で購入して飲む」と回答した男女1,983名に、自分でもっともよく購入するお酒のジャンルについて質問しました。

自分で購入するお酒のジャンルについて、「缶チューハイ」は9.9%(n=395)で「ビール」に次ぐ人気となり、「第三のビール」や「発泡酒」よりも上位となります。

ちなみに「缶チューハイ」を購入する属性は、ボリュームゾーンは男性が30代~40代、女性が20代~30代で、60代の飲用率は低い傾向にあります。また男性よりも女性で多く購入されています。

1/4の人が「8度~9度」のアルコール度数を好む

アルコール度数の高いストロング系缶チューハイが市場を牽引する中、缶チューハイの飲用歴別に缶チューハイの好みの度数を分析しました。

缶チューハイの好みの度数の平均は、「4度~7度」が47.3%でもっとも多く、次に「8度~9度」が25.1%、「1度~3度」が20.3%と続きます。

缶チューハイの飲用歴別での特徴は、飲用歴の浅い「~1年未満」の方では、「8度~9度」が平均よりも11.3ポイント高い36.4%となります。ストロング系缶チューハイの人気を受け、CMや店頭などでも目にする機会が多く飲料歴の試し買い購入が多いことが考えられます。次に「1年以上~3年未満」の方では、「1度~3度」の低アルコール缶チューハイを選ぶ方が平均よりも16.4ポイント高い34.6%となり、「3年~10年以上」の方になると、飲み慣れた「4度~7度」の缶チューハイを選ぶ方が約半数を占めますが、ストロング系チューハイや、低アルコールの缶チューハイも受け入れられています。

好きなフレーバーは2大柑橘が50%を超えて人気

スーパーやコンビニの店頭でも迷ってしまうほど各社から様々なフレーバーの缶チューハイが発売されています。人気のフレーバーについて質問しました。

缶チューハイの好きなフレーバーは、1位が「レモン」で53.2%、2位が「グレープフルーツ」で50.1%となり、定番人気フレーバーが半数以上を占める結果となり、3位~5位までは、「桃」・「ぶどう」・「オレンジ」などのフルーツ系が上位を占めます。

缶チューハイで一番売れているのは「キリン 氷結」

次からは、POB会員の購入レシートから缶チューハイの売れ筋商品を調査します。(調査期間2018年4月~6月)

まず、POB会員の購入レシート枚数からみる「缶チューハイ」の売れ筋全国1位は、「キリン 氷結」が17.0%で、中部・九州/沖縄以外の地域でレシート枚数1位となります。「フルーツの味が際立っていて美味しい(60代女性)」や「氷結はどれを飲んでも美味しいので、他社製品は手に取らない(50代男性)」など、搾った果実の味と香りを大切につくられたおいしさと、多彩なラインナップで支持を集めました。

2位は、「サントリー -196℃ ストロングゼロ」が15.0%で、「アルコールが強めだが、果汁感もあり飲み応えがある(30代男性)」や「食事と一緒でも、単独でも美味しく飲める缶チューハイ(50代男性)」と、アルコール9%の飲みごたえと、果実を丸ごと使った贅沢な味わいでありながら、甘さ控えめで食事と一緒においしく飲めるという声がありました。

3位は、「サントリー ほろよい」が7.6%となり、「アルコール度数も控えめで、軽く楽しく飲むのに丁度いい(40代女性)」、や「かわいいパッケージと甘くて飲みやすい味が揃っているのでリピートしています(40代女性)」アルコール度数3%の飲みやすさと、かわいいパッケージが女性の支持を集めました。

ブランドスイッチ促す「贅沢絞り」、販促効果高い「ザ ストロング」

次に、2018年春に発売された“果実系”「アサヒ贅沢搾り」と“ストロング系”「キリン ザ ストロング」についてPOB会員のレシートデータから新商品の効果検証をします。

まずは、購入理由から分析します。それぞれの購入理由から購入者の特長を分析すると、『アサヒ 贅沢搾り』は、普段から果実系の缶チューハイを好むユーザーにも贅沢な果汁感は高評価であり、果実系缶チューハイの他ブランドからスイッチし購入したというコメントがみられました。

 

「果汁分が多く味が濃厚なため、飲んだ時の満足感が高くリピート購入。(40代男性)」

「キリン『本搾り』シリーズを購入することが多いが、同じ系統の商品で安価だった当該商品を選択して購入。(40代男性)」

「果汁率にこだわって缶チューハイを買っている。お試しで購入(50代女性)」

「果汁が多くて、グレープフルーツというフレーバーが気に入ったから。食事にも合うし、飲みやすい(60代女性)」

 

一方で、「キリン ザ ストロング」は、テレビCMに加えてスーパーやコンビニなど売場で購入を後押ししているのが特徴的であり、40代~50代男性の支持が高いことがわかります。

「買う予定はなかったが、CMで話題になっていた商品のため一度飲んでみたくなり購入(40代男性)」

「キリンのストロングシリーズの新製品が各種陳列されており、目を引いたので試し買いした(40代男性)」

「会社途中のコンビニによりお酒売り場で新製品らしいこの商品が目に入り購入した。炭酸が強くのどごしが良いのが気に入った(40代男性)」

発売時に売れた「贅沢絞り」、じわじわ伸びた「ザ ストロング」

次に、「アサヒ 贅沢搾り」および「キリン ザ ストロング」の発売月前後(2018年3月~6月)で、POB会員 「RTD飲料」アサヒ・キリンの売上シェアの変化についてみます。

まず「アサヒ」の3月~6月までのシェアをみます。3月のレシート枚数シェア45.3%のうち、「贅沢搾り」が16.6%となります。4月、5月は減少傾向で、4月は「28.9%(贅沢搾り12.4%)」、5月は「アサヒ26.9%(贅沢搾り6.8%)」、6月は微増の「30.7%(贅沢搾り4.5%)」となり、「贅沢搾り」は発売月にもっともレシート枚数のシェアを伸ばしました。

次に「キリン」の4月~6月までのシェアをみます。「キリン ザ ストロング」の発売月4月は58.6%のうち、「キリン ザ ストロング」が12.5%となります。「贅沢搾り」とは違い、発売月以降、徐々にレシート枚数を増やし、5月は「73.1%(キリン ザ ストロング13.7%)」、6月は「69.3%(13.6%)」となり発売月のシェアを下回ることなく、推移していることがわかります。要因としては、5/14に「発売から1か月で165万ケースを突破」したという販売好調のリリースと共に、CMでも目にする機会が増え、5/20週になると「LINEのキャンペーンで当選したので引き換えてみようかなと思って購入した。普段あまり買わないので良い機会だと思った。(20代女性)」や、「ローソンのお試し引き換え商品で見かけて、購入したことがない商品だったので、試し買い。(30代女性)」など、LINEやローソンのクーポンがきっかけでトライアル購入に繋がりました。

夏に向けたトライアル継続獲得がシェア向上に

アサヒは「贅沢搾り」発売の3月に新商品投入によるレシート枚数シェアを一時的に伸ばしましたが、4月以降はRTD飲料内でシェアを奪い合う状況となり、結果的にはアサヒ全体のシェアを伸ばすことには苦戦しているようです。一方でキリンは「キリン ザ ストロング」発売の4月に新商品投入によるレシート枚数シェアは、アサヒ「贅沢搾り」ほどの大幅な伸びをみせることはありませんでしたが、結果的には、3月は54.7%であったシェアが、発売3か月経過した6月は69.3%であり、「キリン ザ ストロング」のようにドライ系(高アルコール缶チューハイ)は新規ユーザーの獲得に成功し、キリン全体のシェアを押し上げています。

 

まとめ

  • アルコール度数の高いストロング系缶チューハイが市場を拡大させており、缶チューハイの新規消費者にも評価されている
  • 「アサヒ 贅沢搾り」は新商品投入時シェアを伸ばした。その後「キリン ザ ストロング」が継続的な販促によってシェアを伸ばした

 

POBデータとは

「マルチプルID-POS購買理由データPoint of BuyⓇ」データベース。

全国の消費者から実際に購入/利用したレシートを収集し、ブランドカテゴリや利用サービス、実際の飲食店利用者ごとのレシート(利用証明として)を通して集計したマルチプルリテール購買データのデータベース。消費財カテゴリ68種類 約6,000ブランド、飲食利用カテゴリ10種類約200チェーン(2018年1月現在)。

「セゾンポイントモール」会員と、「Ponta Web」会員、当社登録会員「キャスト」で構成された約20万人のネットワーク。マーケティング戦略に不可欠なデータを、“より精度を高く”を企業・メーカーに提供します。

ECサイトにシェア奪われる、リアル店舗の高価格帯ボディソープ

さまざまな業態が、取り扱うカテゴリの幅を広げ、お客様を奪い合おうとしています。あらゆるカテゴリの売上を狙うECの挙動も注視しなければなりません。本連載では、ソフトブレーン・フィールドのマルチプルID-POS購買理由データPoint of BuyⓇ(以下POBデータ)により、それぞれのカテゴリがどの業態でよく売れるのかと、その理由を分析し、次の一手を考えます。今回は、洗い上がりの好みや、様々な機能性など備えた商品が増えている「ボディソープ」をテーマに、独自のデータから消費者の購買行動を分析します。

半数以上がドラッグストアで購入。拡大するか食品スーパー

まず2017年の「ボディソープ」購入チャネル(店頭・全国エリア)をみると、「ドラッグストア」が58.6%でもっとも多く、次いで「食品スーパー」が24.4%、「ディスカウントストア」が10.0%と続きました。

どの業態も過去3年間で数値に大きな変化は見られませんでしたが、「食品スーパー」のみ、わずかながら上昇傾向であり、2015年の23.2%から、2017年は1.2ポイントアップの24.4%となります。

人気は手頃なファミリータイプ。圧倒的シェアのビオレu

POB会員の購入レシート枚数からみる「ボディソープ」の売れ筋は、1位が「花王 ビオレu」が18.4%で、2位の「クラシエ ナイーブ」の7.6%を、10.8ポイント引き離していました。3位は「牛乳石鹸共進社 ミルキィボディソープ」が6.7%、4位がユニリーバ「ダヴ ボディウォッシュ プレミアム」が6.3%、5位がライオン「キレイキレイ」が4.5%となり、全体的にみて手頃な価格帯でファミリーユースタイプの商品が人気を集めています。

また、花王「ビオレ」は、1位の「ビオレu」、7位の「ビオレu うるおいしっとり」、8位の「メンズビオレ」、10位の「ビオレu さっぱりさらさら」の計4ブランドがランクインしており、洗い上がりの好みや、ラインナップの豊富さでシェアは3割となっています。

エリアで違う購入ブランド

図表3は、図表2をエリア別でさらに詳しく見ています。九州(含沖縄)エリアでは、全国で唯一1位が「花王ビオレu」ではなく、全国平均3位の「牛乳石鹸共進社 ミルキィボディソープ」が1位となります。また、北海道エリアでは、全国平均6位の「ライオン hadakara」が2位にランクインし、支持を集めています。そして、東北エリアでは、1位の「花王ビオレu」のシェアが28.4%となり、全国平均の18.4%を、10ポイントも上回る結果となります。

次からは、自社調査でPOB会員4026名を対象に「ボディソープに関するアンケート」を実施し、その結果をご紹介します。

「価格」だけではなく、機能性も重視

「ボディソープ」購入時に重視するポイントは、「価格」がもっとも高い58.8%となり、次いで「肌へのやさしさ」が38.3%、「泡立ち・泡質」が37.9%、「洗い上がり」が35.3%、「香り」が27.3%と続きます。

その裏付けとして、図表2でみた実際に購入されているブランドからは、手頃な価格でありながら、「弱酸性・低刺激」で「肌にやさしく」、「泡立ちや泡質」などの機能性が高い商品がランクインしています。

キーワードは「やさしさ」?ボディソープに求めるものとは

ボディソープに期待する効果は、「汚れをやさしく落とす」が65.6%となり、次いで「保湿力」が43.6%となります(図表5)。

図表3の「ボディソープ」購入ブランドでは、6位に、ボディソープだけで保湿効果が期待できるライオン「hadakara」がランクインしており、ボディソープに求める効果として「保湿力」が注目されつつあると言えます。

ほかにも、「洗った後の爽快感」が29.3%、「香りによるリラックス効果」が22.2%、「ニオイ対策ができる」が21.4%と続きました。

実店舗は300円未満、ネットショッピングは1,500円以上が中心価格帯

ボディソープの店頭での購入先として、「ドラッグストア」や「食品スーパー」が多くの方に選ばれていましたが(図表1 POB会員のボディソープ購入チャネル・店頭)、ボディソープをはじめとした重くてかさばる日用品の購入先として、「ネットショップ」を利用する方も増えています。アンケートでは、ボディソープの購入チャネルに「ネットショップ」を新たに追加し、チャネル別での購入価格帯を調査しました。

購入チャネルは、図表1と同様に、1位が「ドラッグストア」、2位が「食品スーパー」となりましたが、3位は「ネットショッピング」となり、4位の「ホームセンター」、5位の「ディスカウントショップ」を上回る結果となります。

購入価格をみると、ドラッグストアや食品スーパーなど、ネットショッピング以外の購入チャネルでは、「200円~300円未満」の低価格帯のボディソープを購入者する方が多い中、ネットショッピングを購入チャネルとする方の購入価格は、「1,500円以上」が20.5%、次いで「700円~1,000円」が、14.3%、「1,000円~1,500円以上」が13.7%となり、半数近く方が700円~1,500円以上の高価格帯を購入する方が多いことがわかります。

総じて実店舗に比べるとネットショッピングを利用する人の方が購入価格が高いといえます。実店舗の高価格帯ボディソープは、ECサイトにシェアを奪われているのかもしれません。

まとめ

  • ボディソープは「花王 ビオレu」が2位以下を引き離して最も購入されているが、エリアによって割合が異なる
  • ボディソープの購入時重視点は「価格」に次いで「肌へのやさしさ」「泡立ち・泡質」
  • ボディソープに期待することは「汚れをやさしく落とす」「保湿力」
  • ネットショップでの購入者は、他チャネルと比べて購入金額が高い傾向

 

POBデータとは

「マルチプルID-POS購買理由データPoint of BuyⓇ」データベース。

全国の消費者から実際に購入/利用したレシートを収集し、ブランドカテゴリや利用サービス、実際の飲食店利用者ごとのレシート(利用証明として)を通して集計したマルチプルリテール購買データのデータベース。消費財カテゴリ68種類 約6,000ブランド、飲食利用カテゴリ10種類約200チェーン(2018年1月現在)。

「セゾンポイントモール」会員と、「Ponta Web」会員、当社登録会員「キャスト」で構成された約20万人のネットワーク。マーケティング戦略に不可欠なデータを、“より精度を高く”を企業・メーカーに提供します。