図解でカンタン!小売業超基礎講座

スーパー・コンビニ・ドラッグストアの「平均」を比較してみました

第1回どう違う?業種と業態

毎日の生活に無くてはならないのに、意外と知られていない小売業。本連載では、小売業の基礎知識を図解でやさしく解説します。(イラスト作成:ManatyDesign

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用語がわかると商売の見方も違ってくる

この「MD NEXT」は「小売業」を対象としたWEBメディアです(ここでは外食産業も対象に含みます)。では「小売業」とはいったい何なのでしょう?

wikiの説明を引用すると、「小売とは、生産者や卸売業者から仕入れた商品を、最終消費者に売ること。そして、小売を行う業者を小売業者と呼ぶ(一部筆者が編集)」とあります。ところが、一口で小売業といっても、総合スーパー、食品スーパー、コンビニエンスストア…などなど、いろいろな種類がありますよね。その分類の定義を知らないと皆同じ「お店」に見えてしまいます。まずはきちんとした分類の定義を理解しておきたいものです。

分類のしかたで、まず押さえておきたいのが「業種」と「業態」の違いです。

商売は、もともと「業種」単位で行われていました。

例えば、数十年前までは、毎日の食事の買物は、家庭のお母さんが肉屋さん、魚屋さん、八百屋さんを回って済ませていました。しかしいちいちこれらの店舗を回るのはとても大変です。そこで、肉も魚も野菜も同じ場所で売る「食品スーパー」が誕生したのです。このようにお客様、つまり「買い手」の都合に合わせて生まれたのが「業態」といえます。

代表的な業態をざっくりと解説してみます。

このほかにも、100円均一ショップ(ワンプライスストア)や、ディスカウントストア、ホームセンター、バラエティストア、ネットショップなど、さまざまな業態が存在しています。業態が増えることによって、お客様の便利さは増すと考えることができます。

さて、業態によって、平均的な店舗のありかたにも違いが出てきます。毎日の買物で使う、食品スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアをざっくりと比較してみましょう。

意外とご存じない方が多いのではないでしょうか?このような業態ごとの平均値を把握しておくことで、自分の中に一つ業態を見る軸ができ、小売企業のことを理解しやすくなります。

なお、日販が高いから優れた業態というわけでは全くありません。一昔前までは「安さ」や「売上」「店舗数」などが小売企業にとっての至上価値であるかのように言われてきました。それも価値の一つではあるのですが、安売り競争、出店競争によって業界全体が疲弊してきたことも事実です。

お客様にとって、どれだけわかりやすく便利に商品を提供することができているのか、安全・安心な商品を提供できているのか、従業員に働き甲斐のある仕事を提供できているのか、地域のコミュニティに貢献しているのかなど、これからの小売業はさまざまな側面で評価されるべきでしょう。

毎日の生活に小売業は欠かせません。もっともっと多くの人にその面白さを知っていただければと思います。

著者プロフィール

鹿野恵子
鹿野恵子カノケイコ

MD NEXT編集長。宮城県仙台市生まれ。早稲田大学法学部卒。アスキー、商業界、ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所を経て独立。一貫して流通小売業とITを軸にした活動を続ける。2018年より現職。2016年11月生まれの娘の育児を楽しみつつ働いています。twitter: @keikoka