リフト値は、ある商品同士の関連性を示す数値である。
ある商品(A)を買った人が、別の商品(B)も一緒に買う確率がどれくらい高いかを示す数値だ。
一般的にリフト値が2以上であれば関連性が高いと言える。
本記事ではリフト値について分かりやすく解説する。リフト値を活用した戦略についても紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。
リフト値とは?
リフト(Lift)は「持ち上げる・向上させる」という意味だ。
小売業におけるリフト値とは「ある商品(A)を買った人が、別の商品(B)も一緒に買う確率がどれくらい高いかを示す数値」のことである。
リフト値の計算方法は後述するが、リフト値が高ければ高いほど、ある商品(A)が別の商品(B)を持ち上げていると言える。
商品の相関関係を見る数値
リフト値を用いることで、商品の相関関係を確認することが可能だ。一般的にリフト値が2以上であれば、2つの商品の購買は相関関係が強いと推測できる。
逆にリフト値が1以下であれば、相関関係は弱く、関連して陳列させるよりも、単体で販売した方が良いということになる。
リフト値で商品の相関関係を調査することで、店舗の売場レイアウトや売場構成、動線計画など、より効果的な販売戦略を立てていくことが可能となるだろう。
リフト値の計算方法
リフト値の計算式は以下の通りだ。
リフト値=商品A・Bの併売率÷全体における商品Bの買上率
(例)商品Aと商品Bの併売率が25%で、商品Bの買上率が5%(総レジ通過客の5%が購入)の場合
この場合のリフト値は25÷5=5である。AはBの購買率を上げ、BはAによって購買率が向上しているという相関性が成り立つ。
先ほど紹介した様に、リフト値が2以上であれば、相関関係が強いと考えられるので、AとBの相関関係は非常に強いということが言えるだろう。
リフト値を分析するメリット
リフト値は商品同士の相関関係を知るための数値である。それでは、リフト値を分析するメリットとは何だろうか?代表的なものを2つ確認していこう。
陳列の現状分析ができる
リフト値を用いて分析のメリットは、店舗の現状分析ができるということだ。
リフト値を分析すると、商品同士の相関関係が分かるようになる。何となく売れ行きが悪いと思っていた商品Bが、商品Aと一緒であれば売れ行きが良くなるということが分かるなど、強みや弱みを把握することが可能だ。
販売戦略の立案に使える
小売業においては、ただ闇雲に何も考えずに販売するということは結果に繋がらない。顧客の買い合わせに着目した販売戦略の立案にもリフト値は使うことができる。
商品B単体を売り込むために、特売コーナーを作ったり広告を打ったとしても、思ったような効果が出ないこともあるだろう。
そこでリフト値を分析して「商品Bは商品Aと一緒に買われている」ことが分かれば、商品Aを購入する顧客にターゲットを絞っての戦略立案が可能となる。
よりリフト値が高い商品の組み合わせを見つけることができれば、そこに注力して戦略を練ることができるのだ。
リフト値を活用した戦略の具体例
それでは、リフト値を活用した戦略とはどのようなものがあるのだろうか?具体例を2つ確認していこう。
売場構成の変更
精肉売場で挽肉の近くに餃子の皮を陳列する、青果売場で白菜の近くに鍋スープを置くという売場構成は、誰でも思いつくだろう。
リフト値を活用しての売場構成の変更は、意外であればあるほど効果が高いと言える。
リフト値の例として有名なのが、米国での「おむつとビール」の関係だ。かさばる紙おむつを父親がスーパーに買いに来る際、ついでに缶ビールを購入することが多いという事例である。一見すると関係ないと思われる紙おむつと缶ビールを、近くに並べる売場構成にしたところ、売上が上昇したとされる。
このようにリフト値の分析で、意外な相関関係が分かった際は、思い切って売場構成を変えてみるのも効果的な戦略と言えるだろう。
動線計画の立案
売場構成の変更と並んで効果的な戦略が、動線計画の立案である。
リフト値が高い商品同士が、あちこちに飛んでしまっている場合、顧客の動線上に関連性の高い商品がない場合が考えられる。顧客動線の分析も同時に必要となるが、動線の立案時にリフト値を念頭に置いて検討することで、商品同士の買い上げ率が上昇する可能性が高まるだろう。
まとめ|リフト値分析して「ついで買い」を促そう
リフト値を分析して把握することで、より効果的な販売戦略の立案が可能となる。中には意外な組み合わせの商品もあるだろう。
分析したリフト値から、関連性の高い商品に絞って戦略を立案することができる。リフト値の低い、つまり関連性の低い商品の戦略については、思い切って後回しにするということも有効だ。
売場構成や動線計画などを、リフト値の分析に基づいて立案することで、商品の「ついで買い」需要を高めることができるだろう。ぜひ実践してみてほしい。