流通用語集

ダブルチョップDouble Chop

メーカーと小売業が共同開発した商品のことを指す。NB(ナショナルブランド)メーカーが、特別にそのチェーンのために同じ中身、もしくは仕様を一部変更したものを、パッケージを変えてその小売店のブランドネームで販売し、双方の企業名が併記されることからダブルチョップと呼ばれる。Chop(チョップ)とは商標のこと。SB(ストアブランド)と同じ意味である。


[例①]
パッケージの表面に「小売業」、裏面に「有名メーカー」の名前を表記する

パッケージ(表面)にはスギ薬局のSBである「エスセレクト」という小売業のブランド名が表記されている。ところが裏面の製造者は、カルビー株式会社になっている。

ダブルチョップの1つ目のケースでは、「表面」は小売業のブランド名が表記されるが、「裏面」の製造者の欄にはNB(ナショナルブランド)メーカーの名前が表記される。

つまり小売業のオリジナル商品として共同開発しているが、実際に商品を作っているのは有名NBメーカーである。

チョップ(商標)が表と裏に二つあるという意味で「ダブルチョップ」という言い方をする。

[例②]
表面にメーカーと小売業の名前を併記する

表面にファミリーマートとカルビーの商標が併記されている。 共同開発していることを前面に押し出している。

ダブルチョップの2つ目のケースでは、表面に小売業とメーカーの名前が併記されている。「ポテトチップス うすしお味」を、ファミリーマートとカルビーが共同開発していることが「一目見て」分かる設計となっている。

ダブルチョップ(SB)のメリットは、PB(プライベートブランド)と、NB(ナショナルブランド)両方の特徴を備えていることにある。

両方の特長を持つため、小売店のブランドネームが世間に浸透していない場合でも、メーカー名が併記されていることでユーザーに「安心感」を与え、購買促進に繋がる。


■小売業側のメリット

「PB」とは、ユニクロやニトリのようにSPA(製造小売業)がつくる開発商品のことである。
原材料の調達からモノづくりの段階まで小売業側が仕様書発注を行って、主導権を握って開発する「本当の意味での小売業の開発商品」をPBという。

PB商品ほどの主導権を持たない「ダブルチョップ商品(SB商品)」の小売業側のメリットは、有名メーカーが製造責任を持ってくれるので、不良品を作るリスクが少なくなる点に要約される。

小売業が店舗数を増やし、ある程度規模を拡大した段階で、最初にチャレンジする小売業の商品開発はPBではなくダブルチョップ(SB)というのがセオリーである。

■メーカー側のメリット

メーカー側も1000店、2000店の規模の店舗網を持つ小売業(チェーン店)と契約すれば、
余分に作った商品が残って廃棄するリスクを回避できる。

つまりメーカー側にあるダブルチョップのメリットは、
最初から売り先(販売チャネル)がチェーンストアの店舗で決まっているので計画的に商品を生産して供給することが出来る点に要約される。

また2つめのメリットとしては、NBとSBの両方でカテゴリーのシェアを取っていくことが出来る点が挙げられる。

            

上記の写真に代表される「うすしお味」は、ポテトチップスカテゴリーにおけるNo.1ブランドである。メーカー(=カルビー)は、有名NBと小売と共同開発のSBの両方のフェースを取れば、利益を両取りできる。

このようにNBとSBをミックスして陳列し、結果的に自社シェアを高めるメーカー側の方法を「デュアルブランド戦略」という。

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参照
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