同じ条件の商品なら左より右に置いたものの方が有利な理由とは?

お客様の視線の「上下」「左右」に気を付けて売場を作ろう

商品を発見しやすい、買いやすい店を作るためには「お客の視線」を理解しておかなければならない。売場作りの基礎の基礎といえる「上下の法則」と「左右の法則」を紹介する。

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 棚の上下で粗利ミックスする「上下の法則」

棚の上段と下段で陳列する商品の属性を変え、棚の上下で粗利ミックスするのが「上下の法則」だ(図表1)。

まず、水平な目線から下に30度の視界の範囲内を「ゴールデンゾーン」に設定する。ゴールデンゾーンから外れた上の部分と下段部分は死角になりやすい場所だ。

ゴールデンゾーンはもっとも目につきやすく、手に取りやすい場所なので、利益率の高いいわゆる「売り筋」商品(売り込みたい商品)を陳列する。

ただし、PI値の高い「売れ筋」商品は、陳列量を多く取れば、下段に陳列しても視認性が高まり、陳列場所のマイナス面を克服できる。

また、お客が手に取ったときの重さなどを考えると、上の部分には「小さいもの・軽いもの」を陳列すべきで、「おおきいもの・重いもの」は下段に陳列すべきだろう。

写真はドラッグストア ゲンキーのパスタ売場である。最下段に突き出し陳列什器を配置し、陳列量を多くすることで、一番売り込みたい商品であるプライベートブランド(PB)が自然と目につきやすくなる。

なお、通路幅の広さとゴールデンゾーンの広さは関連している(図表2)。通路幅が狭ければ、ゴールデンゾーンも狭くなり、棚の上下は死角になる。通路幅が広ければゴールデンゾーンは広くなることも、上下の法則を考えるときに忘れてはならないポイントだ。

同じ条件なら右側が有利な「左右の法則」

同じ条件で陳列されている商品では、日本においては右側に陳列してあるものの方が有利であるという法則。

日本人は右利きが多いため、同じ棚に同じ条件で隣同士に並んでいる商品では、右側にある方が手に取りやすいからである。この法則を利用して、お客が視認しやすいトップブランド商品の右隣に、これから育成したいブランドもしくはPBが配置されている。ブランド育成をする際にはよく使われる法則である。

写真2は同じくゲンキーの菓子売場。アメリカの小売業では「コンペア&セーブ(比較してみてください)」というPOPを張り付けて、トップブランドのナショナルブランド(NB)とPBを並べて販売する手法がよく見られる。このゲンキーの売場でも、売れ筋のNBの右隣に自店のPBを陳列し、価格差をPOPでアピールしてブランドスイッチを訴えている。

[写真2]左右の法則に基づいた売場。NBのトップブランドの右隣に自社PBを展開して比較を促す