DgS店長の教科書2020〈保存版〉

交差比率を使えば、儲かる商品がわかる

いくら店舗数が増えても、小売業の勝負は1店舗ごとの強さで決まる。ドラッグストアの店長は、与えられた商圏、商品、人材などの店舗資源を最大限活用して予算をクリアしなければならない。そのためにはミニ経営者として数値を理解し、現場を管理する必要がある。今回は「儲かる商品」判別の指標となる数値「交差比率」を解説する。(月刊マーチャンダイジング2020年3月号より抜粋の上転載)

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粗利益率がどれほど高くても回転率が悪ければ儲からない

粗利益率50%、平均の倍近くの「超儲かる」商品があったとしよう。しかし、それが年間2個しか売れなければ儲かる商品といえるのだろうか。逆に粗利益率が10%しかないが、年間100個売れればどうだろう。

このように「儲け」の基準を粗利益率とその商品が年間何個売れるか(何回転するか)で測った指標が「交差比率」である。GMROI(グロス・マージン・リターン・オン・インベントリー)ともいう。交差比率は図表1の数式で求められる。

[図表1] 交差比率の計算式

数式に出てくる商品回転率とは、商品を店に在庫してから売れるまでを1回転とし、その商品が年に何回店を回っていったか、回転数によって表したものだ。商品回転となっているが実際の単位は何回のとなる。交差比率の合格点は200%とされており、これが商品の儲かり具合=収益性を示すひとつの指標となる。

粗利益率が25%の商品なら200÷25=8、年8回転しなければ収益性では合格点とはいえない。年8回転ということは365日÷8=45.625、約46日で売り切らなければ不良在庫になってしまう。このように、交差比率200%を基準にして、粗利益率でこれを割ることで商品やカテゴリーの基準在庫日数を割り出すことができる。

儲け方の3パターン、それぞれの特徴

儲け方には3パターンがある(図表2)。

薄利多売はディスカウンター(安売業態)の儲け方。粗利益率を引き下げても大量に販売できれば交差比率200%超えが達成できる。薄利多売を軸にこのあと説明するマージンミックスをどのように組み立てるかは小売業の原点だ。ただし、大量に売れることが前提なので、粗利を下げても回転が上がらなければ(売れなければ)ムダな値下げとなる。また、薄利多売商品は物流コスト、補充作業コストなどが増加する。

[図表2] 儲け方の3パターン

中利中売商品は地味であまり目立たないが、作業コストもそれほどかからず、そこそこ売れて着実な粗利益を残す。キッチンコンロの油よけパネルや浴槽用ブラシなど、日用雑貨の非消耗品(用品)に中利中売商品は多い。目立って売れないから儲からない商品という印象があるが、コストがかからず営業利益を残す中利中売商品は計画的に育成し売場を確保することが大切である。

高利低売商品の代表格は高価格帯の化粧品やヘルスケア商品なので、陳列するだけでは売れない。十分な商品知識を持ち、的確な接客・コミュニケーションをしてはじめて動く商品だと認識しよう。

[図表3] 粗利益率と商品回転率(交差比率)の違いによる戦略