風邪・インフルエンザだけではない感染リスク

総合感染対策売場の作り方:季節に応じたディスプレイで、定番売場としての確立を目指そう

菌やウイルスが人、空気、生物などを介して広がっていく病気が感染症である。簡単にいえば、自分以外のものから「移る」病気で、マスク着用や手洗い、うがい、手指の消毒などで「感染」を食い止めることはできる。秋・冬のシーズン商品という位置付けが主流だが、感染のリスクは春・夏もあり、通年カテゴリーという意識づけがまず重要となる。(月刊マーチャンダイジング2019年1月号より転載)

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市場の可能性】マスク、空間除菌など大型市場商品があり、可能性大

感染症対策といえば、冬季の風邪、インフルエンザが主流であり、商品としては風邪薬を中心とした感染後の治療薬と、マスクやうがい薬など感染そのものを防ぐ予防の商品とが混在しているのが現状だ。

まず、この記事で提案している「総合感染」という新定番売場のテーマは、菌やウイルスが体内に入らないように「感染」そのものを防御する商材を集めた売場である。治療ではなく、未病・予防の領域に属するということを意識しておこう。したがって「総合感染症対策」ではなく、あくまで「総合感染対策」という用語を徹底させよう。

市場規模を見ると、通年化の兆しを見せているマスクが500億円近くあり、金額的には核となる。近年急成長している空間除菌も300億円を超え存在感がある。主要な品種を足し合わせると1,400億円規模となり、新定番の可能性の大きさがわかる。これらの商材を季節に合わせた棚割と情報発信で売場展開すれば、定番売場として十分な収益を挙げられるだろう。

[図表1]感染対策カテゴリーの市場規模

※2016年1〜12月、全業態 調査会社、メーカーの集計を基に編集部作成

【シーズン提案】感染対策カレンダーをPOPとして活用

2003年に流行した中国・広東省を起源とするSARS(サーズ/重症急性呼吸器症候群)は、世界の32の国と地域で発症が報告され、致死率は全体で9.6%、一度かかると10人に1人が命を落とす危険な感染症である(※1)。

2012年には致死率35%というきわめて危険な感染症MERS(マーズ/中東呼吸器症候群)が中東、ヨーロッパなどで流行(※2)。いずれも、日本国内で感染者は確認されなかった。しかし2017年の来日外国人観光客は約2,870万人(※3)に上り、2020年には東京オリンピック・パラリンピックを控えており、今後海外からの感染リスクには注意が必要だ。

過剰な恐怖訴求はいたずらに生活者に不安を与えるが、日ごろの手洗い、うがい、手指の消毒などを習慣化させることは、世界的な感染症の対策にもつながる。

世界的な感染リスクに加え、総合感染対策を定番化するにあたり、もっとも重要なのは「通年化」だろう。現状、秋冬に展開される風邪、インフルエンザ中心のシーズンカテゴリーとなっているが、春夏にもある感染リスクを売場で情報発信すれば、生活者の健康維持、売上アップ双方につながる。

年間の感染リスクは図表2を参照してほしい。こうした情報をPOP化することも定番確立には効果的だろう。

[図表2]感染症カレンダー

[図表3]流行しやすい感染症の主な特徴

【定番売場の例】季節に応じた情報発信で感染対策売場は根付く

図表4はアルフレッサ ヘルスケアの提案を基にした総合感染対策売場の棚割である。図表3の中の感染対策でも示しているが、感染対策は、うがい、手洗い、除菌、マスクが基本となる。それらの予防策を通じて、シーズンごとに、現在どの感染リスクが高く、それにどう備えるべきか、といった情報発信が定番売場定着にはカギとなるだろう。

[図表4]総合感染対策棚割提案(3尺1本)

また、春夏の感染リスクは乳幼児、子供が患者になりやすい。現在はオフシーズン的に扱われている春夏に「子供を感染から守る」という訴求で母親にアピールすることも定番確立には重要だ。

※1:国立感染症研究所資料より
※2:厚生労働省資料より
※3:日本政府観光局発表