未病対策のためのPB開発と管理栄養士の活用
─セルフメディケーションの推進活動について教えてください。
寺西 今年キリン堂は創業70周年を迎えました。街一番の薬屋になるために、創業当時に原点回帰をしたいという思いです。
一方で、過去の継続だけではなく今の需要にも変化対応し、今の時流に合致したマーチャンダイジング(MD)、プライベートブランド(PB)開発、業態開発、出店フォーマット戦略を進めていきます。
キリン堂にとってセルフメディケーションは長期的なテーマになります。1955年の創業以来、「未病対策」を推進してきました。未病対策とは、検査値の改善と自覚症状をなくすことです。病気になる前に食事、運動、睡眠を改善し、すでに病気の方も重症化させないことを目指します。
未病対策の一環では「医食同源」の実現を目指しています。医食同源とは「食べるものから健康になる」という考え方です。キリン堂では創業当時から実践する「未病対策」を実現するため、PB開発をいま一度突き詰めています。
キリン堂の健康食品PBの「楽・美・健・快」というシリーズには、医食同源につながる「飲む」「食べる」「摂取する」といった健康食品が充実しています。
DgSの店頭では、未病対策の一環で、薬剤師や登録販売者による「健康フェア」を定期的に開催しています。過去に開催したときには、来店客数が増加し、固定客になり、ヘルスケア部門の売上にも貢献しました。
また、管理栄養士による「栄養相談サービス」も特定の店舗で導入しています。管理栄養士の指導のもと、健康機器の測定、健康相談、ダイエット相談などを実施して未病対策のサポートをしています。
接客力の強化は「販売軸」「商品提案軸」「栄養相談軸」の3つの軸で実施しています。接客力を高めるためには、ノルマ販売ではなくてカウンセリング力を伸ばすことが重要です。登録販売者や管理栄養士は栄養学の教育を受け、未病対策を勉強し、専門知識を体系的に習得しています。
医食同源を進めるヘルス・フーズMD部
─未病対策の売場はどのようにつくっていますか?
寺西 ヘルスケア部門と食品部門を融合した「ヘルス・フーズMD部」という部署を新設しました。今まではヘルスケア部門と食品部門は分断されており、売場を見るとバイヤーや商品部門の隔たりを感じることがありました。しかし今後は、ヘルスケア売場と食品売場のノウハウを融合し、部門を横断した売場づくりを行います。
ヘルス・フーズMD部の目的は、医食同源の売場を実現することです。病気の段階に合わせた売場提案が重要になり、とくに医薬品購入者は治療が必要な段階の人の場合もあるので、健康食品やサプリメントのプラスワン購買をさらに増やすことで未病対策を進めます。
DgSには食品強化型店舗が増えていますが、我々キリン堂はHBC(ヘルス&ビューティケア)が根幹になります。HBCの一環として食品を導入し、医食同源を軸とした食品売場を構築しています。ナショナルブランド(NB)の食品にも昨今完全メシやグミサプリなどの健康にいいものがあり、食品からの健康提案はDgSには親和性が高いと思います。
DgSのセルフメディケーションの推進活動では、治療が必要な段階になったとしても、病気の治療や、服用する薬を増やさないこと、病気を悪化させないことが一番大事になります。
関西エリアで超ドミナントを構築
─出店戦略について教えてください。
《取材協力》

専務執行役員事業統括本部長
兼営業本部長
寺西 廣行氏