コスモス薬品 2024年5月期決算発表レポ「新商勢圏への出店ペースが加速。設備投資額は過去最高に」

月刊MD2024年10月号は恒例「ドラッグストア白書」特集。本稿では2024年7月18日に開催されたコスモス薬品の2024年5月期決算発表会のレポートをお届けする。月刊MD本誌では本内容をよりタイパ良く読めるレポートを掲載している。(談・文責/編集部)

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さらなるディスカウント強化で食品の売上が大きく伸長

代表取締役社長 横山 英昭氏:決算の概要についてご説明いたします。

売上高は9,649億円、前期比16.6%増、営業利益は315億円、前期比4.6%増、経常利益は342億円、前期比3.7%増、当期純利益は244億円、前期比2.8%増となりました。

新規出店は139店、閉店は7店。これにより、期末店舗数は1,490店となりました。

次に、既存店売上高の推移になります。2023年1月の下旬からディスカウント戦略をより一層強化したことにより、2024年5月期は既存店売上高が好調に推移しました。この高い前年比は、第4四半期に入って一巡して前年ハードルが上がったことにより、伸び率が鈍化しています。しかし、引き続き前年比プラスを維持しており、好調な売上高が継続していると言えます。

次に、商品区分別の売上高の状況です。すべての部門でディスカウントを強化しましたが、価格に敏感な食品で一番大きく売上が伸びています。そして、食品を買いにきていただいたお客様にその他の部門の商品をご購入いただいたことで、どの部門の売り上げを大きく伸ばすことができています。

関東・中部・関西地区への出店が進む

次に、地域別の状況です。我々が新商勢圏と位置づけている関東、中部、関西地区は積極的に出店を続けていることに加え、比較的新しい店舗のディスカウントをより一層強く打ち出したことで、これらの地域の売上高が大きく伸びました。

中国、四国、九州地区につきましても、すでに高い販売シェアを持っていますが、さらに売り上げを大きく伸ばすことができました。ただ、我が社が新商勢圏と位置づけている関東、中部、関西地区の出店ペース(?00:03:04)が速いので、東側の地域の売上高と店舗数のウエイトが今後も高まっていきます。

次に、販管費の状況です。給与、賞与は待遇改善を進めたことに加え、急激な売上高の増加に対応するために、店当たり人員数を若干増やしたことで大きく伸びました。

水道光熱費は昨年の大幅な上昇から一転して減少に転じています。ただ、これは一時的なものだと思います。日本経済全体が長いデフレから完全にインフレに転換したのですから、今後は様々なコストが上昇すると思います。このような中で、今後も可能な限り販管費を抑え、売上高を伸ばしていけるように頑張っていきたいと思います。

次にバランスシートの状況です。まず商品についてですが、急激な売上高の伸長に合わせて、若干ですが在庫を厚めに持ちました。固定資産は過去最高の出店数となる139店の出店を行ったことで、有形固定資産の前年比はやや大きくなっています。わが社はビルや商業施設へのテナントとしての入居はほとんどなく、フリースタンディングの郊外型店が大部分を占めています。

そして、土地は基本的に借りていますが、建物は自社所有が中心です。よって固定資産の比率が同業他社よりも高くなっていますが、デフレ時代に安く建てた建物が、インフレとなって格安で仕入れた優良資産となり、すでにそれを数多く抱えていると自負しています。

今後も財務のバランスを崩さない程度に積極的に設備投資を行い、さらなる成長を目指していきたいと考えております。

設備投資の増加でフリーキャッシュフローはマイナス

 

次にキャッシュフローの状況です。営業キャッシュフローは550億円ほど稼ぎましたが、先ほど説明したように、新規出店を中心とした設備投資が増えたことで、投資キャッシュフローがそれを超えて過去最高になりました。これによりフリーキャッシュフローがマイナスになりましたので、銀行借入を増やしています。

期末の現金残高は500億円を超えていますが、年間売上に対して20日分にも満たない程度なので、適正であると考えております。配当につきましては、この数年間で配当性向を10%から20%まで引き上げています。これにより、2024年5月期は予定していた通り、20円増配の120円といたします。

なお、株主優待制度を廃止し、今年の8月31日を基準日として、1対2の株式分割を実施することといたします。2025年5月期の配当は、分割前の基準で10円増配の130円、分割後の実際の年間配当は、この半分となる65円を予定しています。

なお、今後は累進配当を基本として安定的、継続的な配当を実施すると同時に、経営体質強化のための内部留保を確保し、さらなる成長のために再投資を行っていきたいと考えております。

2025年5月期は120店舗の出店を計画 長野県・福島県での出店調査も開始

次に店舗分布図になります。2024年5月期の店舗数は、この表に書いてある通りです。2025年5月期は120店の出店を予定しており、関東、中部、関西地区に70店、九州、中国、四国地区に50店の出店を予定しております。これから、まだ出店していない長野県、そして東北地方に分類される福島県の出店調査を開始したいと思っております。

我が社は、県境や東北地区といったエリアの区分はなく、インクが染み出すように地続きで徐々に出店エリアを拡大しつつも、すでに出店している地域の店舗密度をより濃くしていくドミナント出店を今後も続けていく方針です。

調剤につきましては2024年5月末で50店舗になりましたが、積極的な展開は少し控えています。2025年5月期も4店から5店程度の併設店を増やす予定にしていますが、本格的な調剤事業の展開はもう少し先になると考えております。

以上ご説明した出店施策と、引き続きディスカウント戦略を継続することで、2025年期は売上高が1兆円を超える見通しになっております。しかしこれもただの一里塚として、さらなる成長を目指していきたいと考えております。(談・文責/編集部)