店長・スーパーバイザーの役割とは

店長からSVにステップアップするために必要な5つのスキル

月刊マーチャンダイジング2021年3月号は特集「店長・スーパーバイザーの教科書」を掲載しています。そこで、1980年代の株式会社ツルハに入社し、スーパーバイザー(SV)、部長を経て、2020年8月 関東店舗運営本部長に就任、総勢20名のSVを率いる半澤剛本部長に、「SVに求められるスキル」とは何かを伺いました。(月刊マーチャンダイジング2021年3月号より編集の上転載)

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SVは担当地域の店を統括する経営者

半澤 店長がSVになるために必要なスキルは以下です。

①「現場」と「数値」の両方が分かること。
②完全作業を徹底させる3原則(報告・連絡・相談)を徹底していること。
③小売業の基本5原則の理解と実行(整理・整頓・清潔・清掃・躾)ができていること。
④顧客が買いたい売れ筋商品が、探しやすく店頭欠品のない状態で維持できていること。
⑤商売の原点を理解し実行していること。

――御社におけるSVの役割について教えてください。

半澤 私がSVをやっていた2003年当時はマニュアルがなく、毎日失敗しながら覚えていきました。(1)少ない経費で営業利益を上げる、(2)店のデコボコをなくす、(3)本部と店のパイプ役、(4)本部の指示の徹底といったヒト・モノ・カネすべての管理が当時の職務でした。

現在は、店舗数が2,000店舗を超え、分業体制が確立されました。現在のSV最大の役割は、経営者の「意思と意図」を現場に落としこむための「総責任者」という位置づけです。

基本的にSVの担当エリアの店舗数は10~12店舗です。OJTによって、現場での不完全作業を指摘し、その場で自らが手本を示して「作業の標準化」を推進します。店舗格差をなくし「標準化」することがSVの最大の職務です。

2003年当時は、ツルハの新しい商勢圏である山梨県エリアのSVを担当していました。店長兼任ではなく、店は持たずにSVとして活動していました。3年で黒字を目指すため、チラシを4回から1回に減らす経費削減も実行しました。常に売価について考えていたわけです。数値を管理する「経営感覚」は、今のSVにも絶対に必要なスキルです。

SVの適正能力は「リーダーシップ」

──SVの数値管理はどのように定義されていますか。

半澤 売上・粗利・利益の目標をすべて達成することです。達成する気がないなら、やってはいけない職務だと思います。現場仕事が中心の店長と異なり、SVは8割がた「数字」で評価されます(人時売上高は最低1万7,000円、粗利は5,000円が目安)。目標を担当エリアの店長、部下と一緒に「共有」して達成していくわけです。

つまり、10~12店舗の店長を同じ方向に向かせる力がSVには必要です。SVと店長は違います。優秀な店長が、SVになれば優秀とは限りません。

1店舗のスペシャリストよりも、人を引っぱっていける「リーダーシップ」や「マネジメント」の能力がSVには重要なのです。

OJTによる練習の徹底が担当エリアを底上げする

──SVは具体的にはどのようにして10~12店舗のデコボコをなくす「標準化」するのですか?

半澤 よくある話ですが、10店舗あるので手がかからない「いい店」に訪店したがるんですよね。本来は逆で…。

続きは月刊マーチャンダイジング 2021年3月号にて!

株式会社ツルハ 関東店舗運営本部長
半澤 剛氏