統一されたテイストで独自の世界観表現する

トレンド雑貨を低価格で。バラエティストアの新機軸オーサムストア

レプレゼントが運営する雑貨ショップ、オーサムストアが好調だ。全商品自社開発の生活雑貨を、デザインのトレンドを押さえつつも低価格で展開。バラエティストアのニューウェーブとして店舗数拡大を目指す。(月刊マーチャンダイジング2020年5月号より編集の上転載)

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写真はすべてオーサムストア&カフェ池袋。カフェを併設しており、オーサムストアの世界に浸ることができる

30年以上かけてたどり着いた新業態

オーサムストアは株式会社レプレゼントが運営する雑貨チェーンだ。全国に53店舗を展開(2020年3月末現在)し、オリジナル雑貨、食品、化粧品、アパレルなどを取り扱う。レプレゼントは1982年創業。1998年から女性向け雑貨チェーン「off&on(オフノオン)」を展開しており、2012年には70店舗まで成長したが、2014年から新業態「AWESOME STORE(オーサムストア)」をスタート。

現在オフノオン既存店のオーサムストア業態転換を進めている。設立当初は雑貨の仕入れ販売が中心だったが、徐々に自社開発商品主体へと移行。現在は取扱い商品すべてが自社企画・デザインだ。総取扱い商品点数は4,000〜5,000SKU。季節によって変動はあるが平均して月100アイテムほどが追加される。

段ボールをそのまま置いても絵になる倉庫風の内装。ラップやホイルのようなキッチン消耗品も取り揃える。野菜をモチーフにしたおしゃれなパッケージ

「オーサムストアは、創業から30年以上かけて立ち上げたといっても過言ではありません。製造から企画、デザインまですべて一貫して行うSPA(製造小売業)モデルを生活雑貨の分野で展開している数少ない企業として、お客さまにご支持いただけているのだとおもいます」と店舗運営部部長の堀口周作氏は語る。

「元々雑貨を楽しんでくださる、20代から50代の女性の反応は大きい」とはいうが、店頭の中性的なデザインをはじめアウトドアやカー用品など男性にも親和性の高いカテゴリー展開から、男女問わず、カップル、ファミリーでも入店しやすい雰囲気の店舗に仕上がっている。

オーサムストアが取り扱う商品カテゴリーは幅広い。キッチン用品、洗濯用品、食器などの生活必需品から、化粧品、ヘアケア雑貨などのビューティグッズ、文具、カー用品、アウトドア用品、スポーツ用品、トラベルグッズ…等々、一部菓子やレトルトカレー、お茶などのグロサリーも展開。すべて統一感のあるデザインで、かつ低価格で提供できるのは自社開発のたまものだ。現在中国に200以上の提携工場を抱えており、開発する商品の仕様により使い分けているという。

生活必需品からSNS映え意識の商品まで

オーサムストアのベストセラーのひとつが、フェルトのデコレーショングッズだ。イベントのときに部屋を飾り付けるためのフェルトでつくられたカラフルなアイテムを提供。

モチーフはイベントごとに違い、たとえば節分の時期にはフェルトでつくった鬼のお面、ひなまつりにはフェルトでできたお内裏さまとおひなさま、こどもの日にはこいのぼりやかぶとのガーランド…というように、同じ素材を使いつつ、季節に合わせたデザインを展開している。

人気商品のフェルトグッズ。取材した時期はこどもの日に向けてこいのぼりやかぶとのガーランドが販売されていた。オーサムストアオリジナルの独特の色合いが特徴的

200〜300円という手に取りやすい価格で「イベントのときに簡単に安価に部屋を華やかにしたい」というお客のニーズにマッチして人気となっている。季節ごとにモチーフを変化させているので、売場で季節が感じられる。

家庭用に購入されるだけではなく、飲食店や小売店が自分の店舗の飾り付けのために購入するケースも多いのだとか。このほかホームパーティで使うプラスチックの食器やカトラリー、ペーパーナプキンなどもよく動いているという。

ペットグッズも人気のカテゴリー。首輪(390円~)、Tシャツ(390円~)など低価格アイテムや、ペット用おやつ、SNS映えする爪とぎなど、バリエーション豊富だ。

ペット用品は注力カテゴリーのひとつ。デザインにこだわりながら、低価格の商品を展開。首輪が390円~、おやつは98円など

2020年にスタートした新しいカテゴリーが自転車グッズである。サドルカバー(390円)やヘッドライト(390円)のような定番商品から、ウォーターボトル(390円)、スマホホルダー(590円)のようなサイクリングのときにあると便利な用品、自転車のスポークに取り付けるライト(390円)のような遊び心のある商品までラインアップ。郊外の店舗では自動車用品が売れるのに対し、都心の店舗ではサイクル用品が売れるなどといった地域性が見られるという。

倉庫やガレージをイメージした店内は、高めの天井にコンクリート打ちっぱなしの壁という内装。いわゆるブルックリンスタイルで、照明は薄暗く、商品の段ボールをそのまま店頭に置いても違和感がないよう調整されている。この方法だと在庫をバックヤードに持っていく必要がないため効率もいい。

売場づくりに関しては、本部のビジュアルマーチャンダイジング(VMD)の部隊が店舗に向けて「VMD指示書」「販売戦略シート」を売場づくりの参考として提供している。大まかな店内レイアウトやシーズン企画の内容は本部主導で進めているが、細かい売場づくりについては、店長の采配でやっても構わないということだ。

マイクロファイバーのキッチンスポンジは洗剤がなくてもある程度汚れが落ちる。少し汚れたら買い替えてもらうことを意識し、5個で150円という価格。シリーズ累計150万個売れたベストセラー
スナック菓子、レトルトカレー、鍋のだし、お茶などの食品も展開。かわいいパッケージのスナック菓子98円はさまざまな色を取り揃えており、複数購入してプレゼントに使うお客も

一生涯にわたり生活に寄り添う店に

高い天井にむき出しの配管、打ちっぱなしのコンクリートの壁…骨太の世界観を感じさせる店内。スチールと木、さびたように演出した金属を組み合わせた什器も、オーサムストアの世界観を表現しているようだ

商品企画は発売の1年ほど前にスタート。中国語・日本語を巧みに操るバイヤー十数人が提携工場との交渉を担当。企画が固まれば、このバイヤーが生産可否について工場と調整し、生産可能となればデザインを開始する。

特筆すべきは「オーサムストアらしい」デザインの統一感だろう。デザインに関しては代表の堀口靖弘氏がオーサムストアの世界観を繰り返し全体に伝え続けていて、各部署もそのオーサムストアイズムを理解しながら企画や店づくりを進めているという。

38年の歴史がある企業だけに、店舗からのたたき上げで本部採用となったメンバーが多く、人材の厚みを感じさせる。「ベンチャーのように見られますが、年齢層は意外と高い」と堀口周作氏は語る。

また、かなりお値打ちに感じる価格のアイテムが多いのもポイントだ。単価が低い一方コーディネートして複数購入が見込める。常に新商品が展開されているので、一度ファンになれば来店頻度も高い。

「いまのオーサムストアはバラエティ雑貨というイメージが強いのですが、より生活に寄り添った雑貨を展開していきたいとおもっています。10代のころステーショナリーでオーサムストアを知っていただき、20代で一人暮らしのための生活雑貨を、30代になったら家族の生活に必要なものをご購入いただく…生活のなかでずっとオーサムストアを使っていただける状態を目指したい。そのためにはカテゴリー拡充も進めていくつもりです」(堀口周作氏)。当面はキッチン雑貨やペット用品カテゴリーの拡充を検討しているそうだ。

「お客さまのライフスタイルはどんどん変化していきます。その変化を切り取ればどんなカテゴリーでも商品を開発していくことができる。生活が変わればそれに合わせて商品を生み出すことができます」(堀口周作氏)

お客さまの生活の悩みを商品で解決する。生活雑貨の可能性は無限大なのだ。

オーサムストア&カフェ池袋店ゾーニング(編集部作製)

(本記事は抜粋版です。全文は月刊マーチャンダイジングでご覧ください。ご購読は以下バナーから)

企業概要

    • 会社名
    • 株式会社レプレゼント
    • 本社所在地
    • 東京都渋谷区神宮前6-17-11 JPR原宿ビル9階
    • 創業
    • 1982年
    • 従業員数
    • 850人(正社員・契約社員・パートナー社員・アルバイト含む)
    • 店舗数
    • 67店舗(2020年2月現在)

店舗情報

    • 店舗名
    • オーサムストア&カフェ池袋
    • 所在地
    • 東京都豊島区東池袋1-30-3 キュープラザ池袋1階
    • 従業員数
    • 約30人(パート・アルバイト含む)
    • 売場面積
    • 約150坪