製販協働で「コストプレッシャー」をはねのけるために(2)

メーカーとの店頭実験で店頭起点のマーケティングの高度化を目指す

小売業が消費税増税をはじめとする「コストプレッシャー」をどうはねのけるべきなのか。前回は小売業がメーカー、卸売業と協業する際に気をつけたいポイントを挙げました。今回は、店頭活動やリベートについての考え方を提案します。(月刊マーチャンダイジング2013年7月号より転載)

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店頭活動の高度化でリアル店舗の価値は高まる

メーカーのマーケティング部門は、そのメーカーでもっとも予算を持っている。小売業は自らの店頭においてショッパーリサーチを今後より強化していく必要があるだろう。そのためには、優れたメーカーのマーケティングと協働して、販売促進活動に上手く活用することをお勧めする。

マスメディアによる広告は、以前のような効果がなくなりつつあると感じているメーカーは少なくない。店頭が消費者の商品やサービスに対する認知度・理解度を高める重要な媒体になってきていることは賢明な月刊MDの読者諸氏であればご存知のはずだ。

たとえば店内広告に対して広告費をインセンティブとして考えても良い。一方、ネット販売に対してリアル店舗の優位性を醸し出す「エンターテインメント性」の強化は今後重要な施策となろう。グローバルチェーン、メーカーでは「リテールテインメント」と呼ばれている製販協働の店内広告活動である。

これは知らず知らずのうちに、売場の楽しさに貢献する販売企画だが、重要なのは、戦略的に計画的に継続的に、そして、よりショッパーの心をひきつける魅力的な、差別化されたリテールテインメントを実施することである。

プロモーションも日常的に実施されているが、自社に来客しているお客様の特性をメーカーに調査してもらい、店頭実験を協働することにより、カテゴリー成長の促進を目的にプロモーション展開することが有効である。

一般的なメーカーが、消費者調査に使用している予算は大きな金額だ。そのうちの予算を何店舗かでブランドを購入するショッパーリサーチにあてれば、メーカーと協働してカテゴリーディシジョンツリー(意思決定の相関を判断する樹状図)を作成することも可能になろう。

そして、顧客データや店頭在庫データも活用し、店頭実験を行い、ショッパー起点の買いやすい定番売場を検証し、成功事例をスピード感もって、水平展開することが店頭起点のマーケティングの高度化へ結びつくのである。

POP等の販促物も、メーカーとの協働だ重要だ。小売業の意思と意図を反映させたPDQ(Pretty Damn Quick:プロモーションで使用されるエンド用アウターカートン)、RRP(Retail ReadyPackage:定番で使用される定番棚用インナーカートン)を作成すれば、陳列作業の効率化と、エンド管理の効率化をすることができる。

日本でも大陳キットがあるが、これは主にメーカーの供給事情に基づいたものが多いの対して、PDQやRRPは小売業のニーズに基づいて、協働で作成することが大きな違いである。

リベートをいかに戦略的に活用すべきか

最後に営業活動に関しての改革手順について述べよう。

ここで問題にしたいのは販促協力金「リベート」の扱いである。「リベート」はこれまで商品を扱いさえすればつけられるもの、あるいは売上の補てんというような後ろ向きの意味合いで使われることが多かったのではないだろうか。月刊MDでは、このようなネガティブイメージを払しょくするために、「リベート」という言葉よりも売上達成、あるいは利益アップのための機能フィーとしての「インセンティブ」という言葉を当てたい。

よって、小売業がよく口にする「他小売業に、うちより良い販促協力金をメーカーが提示しているのではないだろうか?」という疑問は販促協力金を「リベート」と思っているからである。メーカーの取引制度に関して、基本戦略はオープンになっているが、このリベート問題は残念ながらわからないとしか言えない。

というのは、目標達成(販売金額)・エンド展開・チラシ・数量インセンティブなどに加え、主に、メーカーのブランドが予算化しているブランド育成のためのインセンティブを絡めて、いくつものパターンとなる営業活動を実施しているのが通例だからだ。

例外メーカーもあるが、一般的には、メーカーのコンプライアンスが厳しくなってきている昨今、整合性のない「リベート」の運用は、出来なくなっている。このような状況下で、いかに整合性のある機能フィー、すなわち「インセンティブ」をメーカーから引き出し、利益に結びつけるかが、重要なアクションの一つとなる。

大半のメーカーは、ブランド育成のためのインセンティブは積極的であり、最近は、定番売場の強化に結びつく販促を重視するメーカーも多い。お客様の店頭での購買意思決定率は意外に高い。カテゴリーによってその数値は異なるが、小売業は、そういう重要な数値を把握しなければいけない。それらの数値に基づいて、利益率を絡めた定番商談を行うことは、小売業にとって利益が高まる。

新製品、改良品に関しては、メーカーも広告戦略、販促に非常に力が入るので、初動販売の成功を実現すべきである。初動販売の成功というのは、小売業にとってもショッパーロイヤルティが高まることにもなる。

また、メーカーは、現状新製品に多くのリベートを予算化しており、新製品の早期展開を条件に、メーカーに打診することも必要である。入れ替え・新規導入までのブランド育成予算について、メーカーと明文化し、全店舗で徹底させることである。

小売業はこの「徹底化」の中身、すなわち「売場実現」に関して最大限の組織能力開発と作業体系構築に注がねばならないだろう。

同時に、重点的に良いポジションをフェイシングしたのだけれど売れない場合、次の棚割りまで放置せず改善の対応もメーカーの販促金とリンクさせて取組みを実行すべきである。

[図表2]統合的サプライチェーン構築の基本概念

このような製販協働のサプライチェーンマネジメントの改革と高度化が、売場での「売り切る力」そして、「売り続ける力」の強化につながり、競合優位への近道となる。ぜひ実現に向けたアクションを起こしてほしい。