フェムケアゾーンと食と健康ゾーンを設置
今回のテーマは「新しい生活提案と実践、持続可能社会の実現、課題と向き合うドラッグストア」〜セルフメディケーションとともに歩むこれからの暮らし〜。予防という観点から、コロナ禍でも改めて重要性が見直されたセルフメディケーションへ、ドラッグストア(DgS)がいかにお客、患者により寄り添い、サステナブル社会を実現できるかを提案した。
展示会のメインは特別企画の二つのゾーン。一つは「女性の健康は社会の未来」をテーマとした「フェムケアゾーン」。女性活躍の場が進む中、女性の健康促進を進めることで関連する産業が加速度的に伸びている。体験コーナー、フェムケア商品が当たるガチャコーナー、DgSのフェムケア売場の提案やセミナー会場を使ったセミナーなどを行った。
もう一つは「食と健康ゾーン」。前回に続き「食と健康アワード2023」を設け、食と健康に関わるすべての食品のうち、新商品や注目の商品を出展社よりエントリーを募り受賞商品を表彰した(図表1)。そのほか自身の身体の状態を知るためのセルフチェックコーナーを設け、楽しみながら健康への意識を深めることを狙った。
また、メーカー各社もアース製薬の本物の虫を使った体験型や、オムロンヘルスケアのブース内でプレゼンする情報発信型など様々な工夫を凝らした展示をしていた。
ドラッグストア業界の動向 取り組むべき5つのテーマ
ここでは、第23回ジャパンドラッグストアショー開催に合わせてJACDSが発行した資料集の中から「ドラッグストア業界の動向」とDgS業界が今後取り組むべき5つのテーマを紹介する。JACDSでは、資料の発行とともにテーマブースを設け「健康生活拠点化(健活ステーション)」や「狭小商圏対応型MD」などの展示も行った。以下の文章は資料の中から抜粋、編集したものである。
新型コロナウイルス感染症の発生からおよそ3年半が経ち、政府は同感染症の法律上の分類を5類に引き下げた。これにより感染者の外出自粛や医療費の負担、マスク着用、医療機関への受診など、これまで国民に求めていた様々な対策もそのほとんどが撤廃され、コロナ禍以前の生活様式に戻ることになった。
DgS業界を取り巻く現状は、コロナ禍にありながらも他の流通小売業界や薬業界と比較した相対的な視点では、実態調査(図表2)の示すとおり継続的な成長を見ることができ、順調な事業環境にあるといって良いだろう。しかしながら、これらの数値結果はDgS各企業の旺盛な新規出店が功を奏したことが要因として大きい。
実態調査数値には、新型コロナ陽性者の急拡大によりOTC化された抗原検査キットや自宅療養と併せて家庭での備蓄が進んだ解熱鎮痛剤などの販売数値が集計時期の関係上盛り込まれていない。DgSの事業は今後も引き続き成長が見込まれるが、医薬品をはじめとする生活必需品の供給にとどまらず、検査や予防支援など生活者の健康を支えるセルフケア、セルフメディケーションの担い手として、改めてコロナ後の新しい生活様式を踏まえた今後のDgSのあり方が問われていることを業界に身を置く事業者は強く認識することが重要だ。
JACDSでは2030年を目途に中長期的な視点で取り組む、DgSの健康生活拠点「健活ステーション」化を実現するために活動している。DgSは今後も成熟社会となった日本において引き続き国民の支持を獲得し社会インフラとしての業界成長を目指すことになる。
業界は単に自らの主張を展開するだけではなく、社会から期待されている役割を具現化し事業化することで成長を続ける国民生活に欠かすことのできない唯一無二の存在となることが重要だ。DgS業界として取り組む5つのテーマ(図表3)は、そのような存在となるための重要項目であり、JACDSが掲げるすべての活動の基礎と言っても過言ではない。