難易度高いオペレーションにどう立ち向かう?

すすむドラッグストアの食品強化。主要チェーンの品揃を徹底調査!

進行する小商圏化。限られた商圏人口で客数を上げるためには食品強化は必須だ。そんな中ドラッグストア(DgS)が食品の買い場として存在感を増している。生鮮を含むフード&ドラッグという業態に進化しつつあるDgS。今回は大手DgSの食品売場を調査して食品部門の進化と課題を考察する。(月刊マーチャンダイジング2021年12月号より抜粋)

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7割が調剤併設。食品強化と二正面作戦

今回の調査では首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)に出店する郊外型のウエルシア、コスモス薬品、ツルハ、クスリのアオキ、カワチ薬品、クリエイトSD、マツモトキヨシの各社、計20店舗調査した。店舗選びで調剤の有無は問うていないが結果的に20店舗中70%に当たる14店舗が調剤薬局を併設、程度に差はあるが14店舗いずれも生鮮の取扱いがあり、一ヵ所完結型のフード&ドラッグ業態が増えていることを示している。

今回は菓子、飲料類などではなく、食事の準備に利用できる食品を中心に「品揃え」「鮮度状況(見た目)」などを調査し、DgSがどの程度食品スーパー(SM)の代替ができるかといった視点で売場を見ている。ヘルスアンドビューティを主力とする、あるいは調剤薬局を併設したDgSが食品売場のレベルを上げれば「業態としての競争力」は非常に高くなり、地域シェア獲得に有利となる。

今回の調査は食品売場の充実ぶりを通して、DgSがどの程度業態としての競争力を高め進化しているかを見ているといってもよい。併せて改善ポイントも考察している。

各社の公式サイトなどで食品の取扱い店舗を事前確認し調査したが、各店舗食品売場の規模は異なるため、企業間比較は意図するところではなく合計スコアは採用していない。

調査内容は各調査、得点式の評価に加え売場の感想や意見など自由記述を設けている。青果、精肉に関しては品揃え、豊富感、見た目の鮮度、日配品は品揃えと各アイテムの品数(種類)、価格(最高と最低)、冷凍食品に関しては売場規模、必要な品揃えだったか、安さを調査した。最後に総合評価として「朝昼夕の3食を賄えるとおもったか」「食品購入を第一の目的にこのDgSを利用するか」「よく行く食品SMと比較して優れている点」をそれぞれ調査員に自由記述で回答してもらった。

[青果]各社充実する品揃え。豊富感と鮮度には課題も

青果の品揃えでは、17品目を調査、自由記述ではそのほかに品揃えのあった商品も記述してもらっている。得点はある100、ない0で見た。品目別に見ると日配の物流に乗りやすいカット野菜、モヤシの品揃えが90を超え、在庫率は高い。

トマトが80を超えるのは少し意外だがニーズの高い品目を強化していることがわかる。玉ネギ、ジャガイモ、ニンジンといった常温の保存が可能で使い勝手のよい品目の在庫率も70~75で高い。レタスが10でもっとも品揃えされていない。クリエイトSD、クスリのアオキが33.3なので、鮮度管理の難しい葉物まで店によっては販売していることがわかる。

比較的安価で腹持ちがよく朝食として食べることが多いバナナの品揃えは65.0で高い。その他果物ではリンゴ、ミカン、キウイを調査しており、常温で日持ちのよいキウイがバナナに次いで在庫率が高かった。ビタミンCや食物繊維が豊富で比較的安価なので、朝食用などとして品揃えすれば食品売場の充実に有益な商品である。

陳列の十分さ、豊富感に関しては各店舗それほど評価は高くない。限られたスペースなので数量をそれほど確保できない売場事情が改めて確認できる。それでも、モヤシ、カット野菜は比較的豊富感のある陳列になっている。鮮度、見た目の印象は概して評価は高くない。冷蔵ケースの導入や適切な見切り、廃棄など改善を要する分野だろう。各店の特徴は次のとおり。

●クリエイトSD青果の品揃え強化の戦略が明らか、立地条件によって店舗タイプ(食品売場)を変えている。
●クスリのアオキ食品SM並みの品揃えと物量。DgSのイメージを超えている。店内回遊で購買点数アップの狙いが見える。
●カワチ薬品早くから青果の取扱いをしていたが、品目と物量は絞っての展開が見える。
●ツルハ…こちらも食品取扱い強化の路線が見える。ただし、品目と物量は絞り気味。
●コスモス薬品…青果の品揃えは、絞り切っての展開、もしくはカット野菜以外は販売しない手法。効率的な戦略が見える。
●ウエルシア標準化が浸透しているので、立地による変化は少ないが、店舗によっては必要最低限の取扱い。
●マツモトキヨシもっとも従来型のDgSらしい食品売場ともいえる。公式サイトに食品取扱いの記載はあるが、主に「飲料」「菓子」がメインで冷蔵ケースも飲料のオープンケースのみであったりする。

このほか、日配、精肉、冷凍食品、総合力について、主力チェーンの状況をレポート!詳しくは、月刊マーチャンダイジング2021年12月号に!