リニューアル発売以降の振り返り
リニューアル以降、売上好調。2017年は前年の180%まで成長
アベンヌ薬用リップケアモイスト(以下アベンヌ薬用リップケア)は、2017年のリニューアル以降好調に推移、2017年の対前年比は180%と驚異的な成長を見せている(図表1)。取引先企業の95%以上で売上伸長、全国7エリアすべてで大幅な伸びを見せた(図表2、3)。
このようにアベンヌ薬用リップケアはリニューアル以降、企業、エリアと全方位的に大幅な成長を見せ2017年の売上は前年の2倍近くに達している。
アベンヌ薬用リップケアの参考価格は1,050円(税抜)、高価格帯リップに分類され、肌や乾燥への意識が高い層が購入する可能性が高い。リニューアル以降快調に伸びているこの商品を活用して、「高価格帯リップ領域」を活性化させ、秋冬のシーズン需要を着実に収益に結び付けたい。
20代、30代、50代が伸長。若年層を店舗へ誘引できるブランド
2017年の購入者数の対前年比を年代別で見ると、20代で187%、30代で271%、50代で220%となっている。
DgSが今後ロイヤルカスタマーとして育成したい20代が2倍近くにまで伸びていることは特徴的だ。後述するが、アベンヌでは店頭や既存メディアに加え、デジタルによる販促も強化しており、それが20代へと響き購買に至っているとおもわれる。DgSが取り切れていない若年層が関心を示し購入しているアイテム、ブランドであるという認識は、未来対策としても重要である。
さらに、新規購入率を2016年と2017年で比較すると159%と大きく伸びている。これは、アベンヌ薬用リップケアが高価格帯リップ領域への入口商品となっており、店舗へのプラスオン効果をもたらしていることを示している。
購入者像
美容意識の高い優良顧客 情報感度高く、購買前に情報接触
図表5は購入者の美意識に関する調査である。非購入者はアベンヌ薬用リップケアを選択肢に挙げたものの迷った結果購入しなかったという層で、ピエール ファーブル ジャポン(PFJ)社のパネル調査対象者から選んでいる。
各項目における購入者のトップ2ボックス(当てはまる、やや当てはまる)はいずれも高く、購入者が美容に関心が高いことを示している。
また、1ヵ月のスキンケアの購入金額別に購入者の割合を見ると、3,001〜5,000円がもっとも高い構成比を示している。スキンケアだけで、年間で約36,000〜60,000円を購入している優良顧客がボリュームゾーンで化粧品部門、店舗への貢献度は高い。
こうした美容への関心、情報感度の高さを示すように、購入者は店頭以外でも雑誌、SNS、ブロガー記事など多くの情報に接触している。
例)ナショナルジオグラフィックによるアベンヌの紹介動画
購入者は来店前(プレストア)にさまざまな情報と事前に接触しているので、店頭(インストア)では、事前情報を思い出せるように多ヵ所陳列をしたり、接触した情報に近いイメージのツールを展開することが重要となる。
アベンヌ薬用リップケアでも、こうした考えに基づく「プレストア」「インストア」双方を重視した施策を打っていく。
商品特長と売場・売り方
パッケージの評価が高く、露出度が多いほど購買されやすい
白地に薄いピンクでロゴが描かれている。リップクリームは、寒色(青系)が多い中、暖色(赤系)の文字があるパッケージは、希少性もあって、高い支持を得ている。白地のシンプルなデザインは今風でインスタ映えする。印象的なパッケージは事前情報として接触している人も多いので、店頭もこれに連動して、面で大きく展開すれば購買チャンスが増す。
また、ハンドクリームとの併買率が上がっているので、並べて陳列すれば2アイテムが秋冬のシーズン期間内に購買される確率も高まる。
アベンヌブランドの入口として薬用リップケアを捉える
アベンヌを代表するアイテムであるアベンヌ ウオーターの売上も2017年は120%伸長した。20代の若年層の貢献が高い。アベンヌが発信するデジタル、既存メディアを使ったプレストア情報の接触が増えた結果だとおもわれる。
こうした状況を理解し若年層向けに売場を拡大したことで、40代、50代の既存客の購買がさらに進むという相乗効果も見られる。
アベンヌでは2018年9月エイジングケアのミルキージェル エンリッチを新発売。新商品を含め定番什器では独自の世界感のあるスキンケア商品を展開している。薬用リップケアから、ブランド全体の若年ロイヤルカスタマーを育成できれば、人口減時代の未来対策になる。
プレストアとインストア、ダブルの施策で店頭をサポートするアベンヌを化粧品部門拡大のために活用しよう。
ブランドサイトURL: http://www.avene.co.jp/