”「健康」×つなぐ×しあわせ”をテーマに開催

イベントレポート~アルフレッサ ヘルスケア[2025ソリューション提案商談会] ~

7月29日(火)・30日(水)、東京都立産業貿易センター浜松町館にて、アルフレッサ ヘルスケアの展示会「2025 ソリューション提案商談会」が開催された。近未来ドラッグストアの提案をはじめ、多彩で将来を見据えた企画が、3フロアに渡り展示された。(月刊マーチャンダイジング2025年10月号より転載)

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OTCの棚割提案に加え コト提案による顧客づくりも提案

3階では、「売場提案による顧客づくり」、健康セミナーや健康相談会など「コト提案(モノではなく体験やサービスを提案すること)による顧客の囲い込み」、防災セミナー、器具を使ったトレーニング・リハビリなど「顧客来店目的の創出」の、3つの柱からなる「近未来のドラッグ提案コーナー」を展開。

売場提案による顧客づくりのスペースでは、OTCの各カテゴリーに、市場傾向やCDT(カスタマーデシジョンツリー/購買決定における消費者心理のプロセス図)を付け、考え方を解説しながら棚割提案。

例えば、花粉ブロック対策の棚割提案では、カテゴリーには、「シュッとひと噴き花粉ブロックスプレー(花粉ブロックスプレー)」「花粉ブロック対策」「辛い目のかゆみの洗浄に(洗眼剤)」「乳酸菌でブロック対策(乳酸菌配合青汁)」「健康食品を飲んでムズムズ対策(花粉症対策食品)」5つに分け、その下にサブカテゴリー、セグメントと分類していく(写真2)。

[写真1]慢性的な悩みに関する棚割提案。慢性頭痛、ストレスによるのどのつかえ・胃痛、慢性肌荒れなどをカテゴリーとして提案
[写真2]花粉症のCDT、棚割の基になる考え方として、棚割提案とCDTをセットで掲示

カテゴリーニーズを基準にして大きなニーズから、細かく分類していくのがCDTの考え方で、棚割の設計図としても活用できる。

棚割提案のスペースでは、花粉ブロック対策の他に、頭痛、胃痛などの「慢性病」(写真1)、「ドリンク剤」、「ビタミン剤・漢方薬」、「鎮痛剤都市型・鎮痛剤郊外型(郊外型は幼児、小児を含む)」などのカテゴリーが、CDTのチャート、市場動向のパネルと共に紹介されていた。

[写真3]OTCの棚割提案はCDT、市場動向など付け、多数の薬効に関して展示。品揃えの考え方の参考になる

アルフレッサ ヘルスケアでしか扱えない「専売品」のコーナーでは、高機能高単価で収益性の高い商品が多数展示されていた(写真4、5、6、7)。

[写真4]野口医学研究所のおとなの肝油の展示。ハローキティーのパッケージが予想以上の売上を見せている
[写真5]レイデルジャパンのポリコサノール説明ボード。キューバ産サトウキビ由来のポリコサノールは注目株の成分
[写真6]SB C&Sのカメラ付きスマート耳かきと電動爪切りの展示。カメラ付きスマート耳かきは、スマホ連動で耳の中を見ながら耳かきができる新発想商品
[写真7]記憶の番人は、社会的な課題である軽度認知障害へ貢献するサプリメント。社会課題解決型商品には大きな可能性がある

インショップ型フィットネス 歯の美白機器設置提案

[写真8]コト提案として25坪程度のスペースで運営するインショップ型フィットネスを提案

コト提案による顧客囲い込みの1つとして、「インショップ型フィットネス」を展示(写真8)。25坪以上の空きスペースがあるドラッグストア(DgS)の店内で、インストラクターが整体とマシントレーニングを組み合わせた15分単位のプチフィットネスを指導する(写真9)。これにより、地域の健康ステーション化を図り、同時に店舗への集客、来店促進を狙う。

[写真9]インショップ型フィットネスではマシーントレーニングやグループレッスンをインストラクターが指導

この事業をプロデュースするカラダファクトリーは国内外に350店舗以上の整体、ボディメンテナンスのサロンを運営している。出展当時はテスト出店するパートナーを募集していた。

[写真10]スマホで利用者を撮影するとAIが姿勢や筋肉状態を解析、姿勢矯正や筋トレ方法などをスマホでインストラクターがオンライン指導する(アプリ)

現在、省スペースで気軽に運動できる施設は人気があるので、集客には有効な手段になり得る。DgSの機能を拡張したい企業にはこうした外部企業のサービス(コト)を利用するのも有効だ。

[写真12]スキンケア、ヘアケア、オーラルケアの提案スペース「B-WILLラウンジ」、ヘルス&ビューティは高齢化社会でも成長領域

「B-WILLラウンジ」と名付けられたスペースでは、スキンケア、ヘアケア、オーラルケア(歯の美白)に関して展示(写真12)。

[写真11]吉野家ホールディングスは茨城県でダチョウ牧場を運営、スキンケアの原料などを研究している

牛丼でおなじみの吉野家ホールディングスは、100%子会社の株式会社スピーディアを通じて、ダチョウ由来のオイルを用いた導入オイルや保湿クリームなどのスキンケア商品を発売(写真11)。

同社は茨城県石岡市でダチョウ約500羽を飼育するダチョウ牧場を運営し、食肉やオイルとしてダチョウを有効活用する研究を進めている。先端的な研究と新規性のある原料を用いた商品は今後の展開が注目される。

[写真15]歯のホワイトニングをセルフで行う装置。ホワイトニング用の消耗材、オーラルケア商品の併買、集客効果が期待できる

株式会社センス・イット・スマートは、薬局、DgS向けの歯のセルフホワイトニングを提案(写真15)。専用の医療機器を設置することで、利用者は気軽に歯のホワイトニングができる。来店目的の拡大、差別化につながり、美白系オーラルケア商品の購入も期待できる。

[写真16]タイムリープ社の遠隔接客システム「ルーラ」はオンライン服薬指導の手段として期待されている

3階の調剤薬局の展示会場では、遠隔接客で実績豊富なタイムリープ社の提供するサービス「ルーラ」を使ったオンライン服薬指導を提案(写真16)。

薬剤師不足への対応や経費削減のため、あるいは将来を見据えて、オンライン服薬指導が注目されている。日本では調剤薬局の実店舗を出店することで処方せん応需を増やしているが、アメリカのDgSは実店舗が負担となり、経営悪化の一因となっている。

日本の調剤薬局も、実店舗の出店強化とオンラインを活用した無店舗事業、どちらが調剤強化に有効か見極めるべき時期がやがて来るだろう。

セルフプリベンション、フェムケアなど重要テーマを提案

4階会場では、アルフレッサ ヘルスケアが長年に渡り提唱している「セルフプリベンション(治療の必要のない健康状態の維持)」を中心に展示。

[写真13]セルフプリベンション(治療の必要のない健康状態の維持)に関する棚割提案。病気になる前の対策はセルフメディケーション(軽度な病気の自己治療)と並んで今後重要度が増す

生活習慣病予防、グリーン&スムージー(青汁など)、サプリメントに関する棚割提案、市場動向などがパネル展示されていた(写真13)。

生理や妊娠・出産、更年期など、女性特有の健康上の悩みは本人のQOLを左右するだけではなく、社会的な課題、損失と考えられ、それらへの対策として「フェムケア」が最近注目されている。

[写真14]女性の健康課題改善は、個人のQOL維持向上だけでなく、社会的な損失対策にもなる。フェムケアは政府も支援する重要領域

4階には「フェムケアステーション」を設置して、女性の健康課題に関する情報や「わたしを整える」、「私と家族のウェルネス」など独自のセグメントに基づく商品を展示していた(写真14)。

フェムケアは話題性先行で売場として定まっていないので、こうした情報や提案を参考に自社なりの「フェムケア売場」確立が求められる。

5階会場は「ドラッグDX(DX推進によるマージとパージを提案)」をテーマに展示。DXによる電気代の節約、AIを使った棚割作成、PHR(個人の健康データ)記録のためのデバイス(スマートウォッチ)などを展示。今後の店舗運営や生活にDXが大きな役割を果たすことを示していた。

小売業は常に社会の動きを反映する「変化対応産業」である。複雑化、競争激化する小売業にとって、自社の力だけでなく様々なパートナーとの協業が成長に大きく関わることをアルフレッサ ヘルスケアの「2025 ソリューション提案商談会」は示唆していた。

アルフレッサ ヘルスケア代表取締役社長の西田誠氏