調子がいいのは1ヵ月に1週間だけ!?
女性の体には、約28日の周期で排卵や月経が起き、基礎体温が上下するという特徴がある。その変動を引き起こすのが、2つの女性ホルモン(卵胞ホルモン「エストロゲン」と黄体ホルモン「プロゲステロン」)の分泌量の増減である。そしてその28日の周期は、大きく「月経期」「卵胞期」「黄体期」の3つに分類される。
月経期は生理がスタートしてから3〜7日間続く。期間中の経血量は20〜140mℓと人によりまったく異なる。日中は定期的に生理用品を交換する必要があるし、経血が多い人は、下着や寝具を汚さぬように注意しなければならない。下腹部が痛い、身体がだるい、眠いなどの症状が現れる人も多い。1ヵ月の中で一番つらい時期である。
生理が終わるころから1週間程度を「卵胞期」という。基礎体温が低く維持され、気分がよく、肌の状態もよい時期だ。
しかしあっという間に調子がよい時期は終わってしまう。「卵胞期」は排卵により終了し、次の生理が始まるまで2週間ほど「黄体期」と呼ばれる時期に入る。この時期は体温が高温に維持され、むくみやいらいら、眠気、体重増加が見られる。
重要なのは、すべてにおいて個人差が大きいという点だろう。生理も軽く、体調や気持ちの変化が少ない人もいる一方、激しい生理前症状を訴え、動くこともままならないという人もいる。
こういった生理前の不快な症状によって社会活動や学業に支障が出てくると、PMS(Premenstrual Syndrome)と診断されることもある。
月経前の3〜10日の間に続く精神的、身体的な症状で、月経が始まるとともに症状がおさまったり、なくなったりするものを指す。このようなケースの場合は適切な治療やケアが必要となる。
昔の数倍になった一生の生理回数
女性のライフサイクルにもホルモンは影響を及ぼす。女性が初潮を迎えるのは10〜15歳。エストロゲンの分泌の増加によって月経が始まる。そこから閉経を迎えるまでの約40年間で、女性は450〜500回の生理を経験することになる。
20〜30代は女性ホルモンがもっとも安定する成熟期で、妊娠・出産適齢期でもある。一方で働き盛りの時期でもあり、仕事と家事育児の間で振り回される人も多い。
40歳後半ごろから、女性ホルモンが急激に減少して更年期となる。月経の間隔が短くなるなど、生理の周期が乱れだし、卵子の元となる卵胞数も減少。最終的には排卵がなくなる。閉経を迎えるのは50歳前後の人が多い。閉経を過ぎ、老年期に入ると、それまで女性ホルモンによって良好に保たれていた身体の機能に影響が出てくるようになる。
なお、昭和初期より以前は、妊娠が可能な期間中、子供を産み育て続ける女性が多かった。妊娠・授乳中は月経がないため、生涯の月経回数は100回に満たなかったのではないかといわれている。
それに比べると現代の女性は数倍多い月経回数となっていて、それに伴い、子宮内膜症や乳がんのリスクも高まっているのである。
吸水量・機能で進化する生理ケア用品
では実際の女性の生活は、どのようなアイテムに支えられているのか。生理期間中の生活を中心に説明する。
月経の期間中は出血に対応するため、ナプキンなどの生理用品と防水加工されたサニタリーショーツを併用して過ごす女性が多い。生理用品の中で構成比が高いのはショーツに貼り付けて使うナプキンで、吸収力により「昼用」「長時間用」「夜用」などの違いや、ずれやヨレを防ぐために羽根が付いたもの、香り付きのものなどがあり、多様化するニーズに合わせた商品企画がされている。
そのほかの生理用品としてはタンポンが挙げられるが、日本における構成比率は欧米のそれと比べると低く、アイテム数も少ない状況。最近は、吸水力のあるショーツ(生理用吸水ショーツ)やシリコンでできたカップを膣内に挿入し、経血をためる「月経カップ」、身体に貼り付けて使う生理用品など、ナプキン、タンポン以外の選択肢も登場している。
なお、生理はいつくるかわからないものである。ジーユーとオムロンヘルスケア、エムティーアイが実施した「FEMALE LIFESTYLE FACTBOOK」の調査によれば、生理周期の記録をしている人は半数以上で、31.9%の人がアプリに、26.8%の人が手書きで記録している。
それでも正確に次の生理がいつくるかを当てることは難しく、腹部の違和感などで、なんとなくはじまる時期がわかる程度。普通は徐々に出血量は増えるが、時折突然多くの出血から始まることもあり、下着や衣服を汚してしまわないかと、生理日前後の女性は不安を感じていることが多い。
図表3は編集部が作成したフェミニンケアのCDT(カテゴリーディシジョンツリー)である。ぜひ女性の生活の理解ならびに売場づくりに役立ててもらいたい。
※本記事作成にあたり、一部「オムロン式美人」を参照させていただきました。
(https://www.healthcare.omron.co.jp/bijin/)