チェーンストアの基礎技術 徹底攻略

基礎からわかる!「商品構成グラフ」のつくり方・読み方・使い方

商品構成グラフは売場の設計図の根幹であり、店舗(自店・競合)分析のもっとも基本的な手法でもある。何十年間も使われ続け、現代においても売場を可視化するための重要な技術だ。本特集では、基本に立ち返り「なぜ商品構成グラフをつくるのか」「どのように活用すべきか」を具体例や実践例を交えて紹介する。

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どうつくるのか?

商品構成グラフは、一般的には、店内の商品構成(棚割)をヒストグラム形式で表したものである。商品分類(カテゴリー・サブカテゴリー)ごと、商品ごとなど、特定の切り口で集計を行い、縦軸に陳列量またはフェース数、横軸に価格を取ってヒストグラム化する。

実務上は、売場でフェース数をカウントし、エクセルを用いて作成することになるだろう。さらなる工数の削減を考えるとBI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどの活用も視野に入る。一部の棚割ソフトには、棚割図から自動で商品構成グラフを作成する機能も搭載されている。なにより時間が割かれるのが、店頭のフェース数と価格の記録・集計であるため、ここをいかに効率化するかが、実務上非常に重要になってくる。

本記事では、文末から編集部が記事制作時に使用している商品構成グラフのテンプレートをダウンロードできるようにした。ぜひダウンロードの上活用いただければ幸いである。

なぜつくるのか?

商品構成グラフは、ある企業が特定のカテゴリーで、どの価格帯の商品をどう販売しようとしているのかという、商品政策を視覚的に表す。商品構成グラフの利用方法としては、以下の2種類が考えられる。

(1)小売業商品部が商品政策を決定し、店頭で維持する
(2)自社の店舗・競合企業の売場を分析し、理解する

前者の「商品政策決定・維持するための道具」として商品構成グラフを利用する場合、商品部の定番を担当するバイヤー(ステープルバイヤー)が、カテゴリー単位でこの商品構成グラフの形を決定し、維持・管理をするとされる。売場の「設計図」としての利用の仕方といえよう。

一方、現場の従業員が自店舗や競合他社を理解するためにも、商品構成グラフは便利な道具だ。棚割から価格帯ごとのフェース数を集計し、商品構成グラフをつくることは、商品政策の理解を促す。記録したものを年単位などの時系列で見ることで、自社や競合他社の商品政策の移り変わりも把握できるはずだ。

商品構成に関わる3つの用語を理解する

商品構成(グラフ)をより深く理解するために、「プライスレンジ」「プライスライン」「プライスポイント」という表現を覚えておこう。

■プライスレンジ

「プライスレンジ」とは、品種、カテゴリーごとの売価の上限と下限の幅のことである。

たとえば、ある店舗において、シャンプーカテゴリーの商品の最安値が300円、最高値が980円の店舗であれば「この店舗のシャンプーカテゴリーのプライスレンジは300円から980円」といえる。また、別店舗で同カテゴリーの最安値がPB(プライベートブランド)の198円シャンプー、最高値が美容室向け3,500円のシャンプーだとすると、「この店舗のシャンプーカテゴリーのプライスレンジは198円から3,500円である」といえる。

一般的に、このプライスレンジは狭い方がよいとされている。「シャンプーの価格の下限が98円、上限が5,000円」というように、プライスレンジが広すぎる店では、お客が手に取った商品が想像より高かったということが起きかねない。これでは、お客は安心して買物ができないだろう。プライスレンジは狭い方が、お客は安心して買物ができるとされている。

また、プライスレンジの広い店は、商品点数が多くても品揃えの豊富感はない。同じ品種であっても100円の商品と1万円の商品とでは購買動機がまったく異なる。

100円のシャンプーが欲しいお客は、「とにかく髪の毛が洗えればいい」とおもっているだろうし、1万円のシャンプーが欲しいお客は、「シャンプーで頭皮に関わる悩みを解決したい。さらにリラックスしたい」などの動機を持っているだろう。「とにかく髪の毛が洗えればいい」とおもっているお客は、1万円のシャンプーを比較の対象にするはずがない。

むしろ、低価格帯にさまざまなシャンプーが品揃えされていた方が喜ばれる。狭いプライスレンジでいかに商品の選択肢を増やすかが、店舗の価格イメージの統一と、品揃えの豊富感を生み出すためには重要ということだ。

■プライスライン

「プライスライン」とは、売価の種類のことである。

たとえば、ある店舗の牛乳売場に、158円、189円、258円、300円の商品が販売されていたとする。この場合、「この店舗の牛乳カテゴリーのプライスラインは4」ということになる。

プライスラインは少なければ少ないほど、お客は商品を選びやすく、買物がしやすい。

たとえば、チョコレート売場で似たような商品が「97円と98円と99円」で販売されていたとしよう。お客はその1円の差の理由に頭を悩ませることになるはずだ。ここはすべて98円と統一した方が、買物がしやすい店だと認識してもらえる。

■プライスポイント

最後に、「プライスポイント」は、あるカテゴリーや商品群の中で、もっとも陳列量が多い売価のことを指す。

ある店舗の食パン売場で、8枚切りの食パンを、89円で5フェース、118円で8フェース、150円で4フェース、200円で1フェース扱っていたとしよう。

この場合のプライスポイントは、118円となる。

同じ商品を同じ価格帯で品揃えしていても、プライスポイントをどこに設定するかによって、割安感があるか、割高感があるかは異なってくる。

プライスポイントの陳列量はなるべく多く、ほかの価格帯の陳列量との差は明確であるべきだ。売れ筋の陳列量が大胆に多ければ、お客の「売れ筋発見率」も高くなる。

また、プライスポイントを構成する商品は、売れ筋であることが多く、これを維持するためには、商品部が売れ筋の商品を追加補充し続ける必要がある。

さらに、プライスポイントは、1品目だけで構成されるのではなく、ここにさまざまな品目の商品を集中させるものとされている。それにより、お客が楽しい選択ができるということになる。

商品構成グラフがお客に与える価格のイメージとは

上の図表は、商品構成グラフの大まかな類型と、それぞれがお客に与える価格イメージの違いである。単純に、グラフの左側の陳列量が多ければ多いほど、お客はその店舗に安価な商品が多いイメージを持つ。ただし、先に述べたように1品目が多ければ多いほどよいというわけではなく、プライスポイントに多種類の品目を置くことで選んで買う楽しさを提供すべきだ。

下の図表は、品揃えの原則を商品構成グラフに当てはめたものだ。

できる限り、プライスポイントは左側に動かしていくべきで、そのために商品開発を行わなければならない。

また、プライスレンジの右側、高価格帯のものは、戦略的に減らしていくことで、お客が選びやすい店を目指せるだろう。

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