真似るべき点と反面教師にすべき点

ドラッグストア向け「SMストアコンパリゾン」の教科書

ドラッグストアが食品を伸ばすうえで、最大の競争相手となるのがスーパーマーケットである。店舗数・販売額ともに圧倒的規模を誇るSMは、売場づくりや導線設計など、学ぶべき点が多い一方で、コスト構造や人員負担など“反面教師”とすべき課題も抱える。本稿では、SMの優れた売場技術と陥りがちな弱点を整理し、DgSが食品強化で参考にすべき視点を解説する。

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食の最大フォーマットの“真似るべき点”“反面教師にすべき点”

本連載のテーマであるドラッグストア(DgS)が取り込もうとする食品市場の、最大の競争相手は食品を主力とするスーパーマーケット(SM)である。

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▲[図表1]スーパーの店舗・市場規模

SMの業界団体である全国スーパーマーケット協会の『2025年版スーパーマーケット白書』によれば総合スーパー、SM、小型スーパーなど“スーパー”と呼ばれる業態類型の店舗数は計23,039店舗で、総販売額は25.4兆円、企業数で856社を数える存在である(図表1)。

非食品売上高は5%程度なので食品は24兆円を超える占拠状況である。DgSの2024年の総商品販売額9.0兆円、食品販売額3.0兆円、店舗数19,994店と比べればその食品販売の規模の大きさが分かるだろう(DgSの数値は経済産業省『商業動態統計』より)。

もちろん出店のスピードや収益性などの面ではDgSが優位性を発揮する分野は多いが、いずれにしても食品マーケットにおいて最優先にベンチマーク(=優れた企業や事例を調べて、自社の改善に活かす手法)すべきはSMで、とくに優秀な店舗を見続けることは自社の改善にも、競争店対策にも必須のテーマである。

小売業の大切な経営技術のひとつに“ストアコンパリゾン=店舗視察”がある。小売業の特色は、売場や従業員が“常に衆目にオープンにされていること”であり、ルールやマナーを守れば、いつでも競争相手の店舗を自由に視察することができる点にある。事務中心のオフィスや、製造業の工場・生産設備では“自由にいつでも視察”は無理である(必ず許可が必要だし、それが競争相手ではかなり難しい)。

ストアコンパリゾンの基本は“良い点は真似る”ことである。自店の近隣にある競争店で、顧客が喜んで買っている商品があればその商品を真似れば“売れる可能性”は高いし、同じ店で楽しそうに商品を選ぶ品揃えがあれば同じ棚割りを真似れば“お客を喜ばせる品揃え”に近づくことができる。そういった意味でストアコンパリゾンの基本は“真似られるものはないか”を考えることである。

一方で、SMはコロナ後のインフレーション、原価高の進展で“衰退産業”になりつつある。店舗数は減少傾向であるし投資のコスト高の状況は変わっていない。客数はDgSに比べて多いがそれがゆえに従業員やレジ台数の多さも負担になっている。

賃金が上昇し物価も上昇する時期だからこそ、DgSとして“真似をすべき点”と“真似てはいけない反面教師にすべき点”を峻別することは必須で、その辺りを整理していこう。

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必需品の買物の必須課題 ショートタイムショッピング

食品の買物は“義務的”と言われ、生命維持のためには必ず行わなくてはいけない家庭の作業である。したがって多くの買物客はなるべく短時間で必要なものを購入し、自宅に戻りたいというニーズを持っている。

そのために店の側で課題となるのが“ショートタイムショッピング”である。日本語では“短時間快適購買”などと称する。

ショートタイムショッピングのためには、良いSMの店舗は“4つの磁石売場”を意識して売場づくりを行う。磁石売場とはあたかも“磁石”のようにお客の目を引き付け、自然に店を回ってしまうような売場配置の技術を言い、これが強ければ短時間に快適な買物が可能になる。

“第1磁石”とは主通路壁面の生鮮、日配、惣菜など購買頻度の高い商品群、“第2磁石”はその中でも特に差別化できる主通路突き当りの売場、“第3磁石”はエンドキャップの季節商品や特売商品、“第4磁石”は通路内のスポッターのついた売場や大量陳列を言う。第1磁石の強化のために、SMでは生鮮、日配、惣菜で最も幅広い主通路両側の“コの字”を埋め尽くすようにレイアウトを行う(図表2)。

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本記事をご購読いただけますと、ストアコンパリゾンを行う際に必須である各磁石の役割、SMのアソートメントの特徴、商品構成グラフの読み解き方などについて理解できます!

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