1,000人が利用するお試し環境が「壁」を壊す

イオンデジタルアカデミー ボトムアップの生成AI活用

従業員数約60万人を擁するイオングループ。そのイオングループで従業員に対して生成AIの利用環境を提供するという壮大な「実験」が行われた。利用者数は全業態90社、約1,000人。「お試し環境」に触れた現場の従業員からは様々な利用方法が提案され、実験終了後もその熱は冷めやらない。ボトムアップの生成AI活用術に迫る。(月刊マーチャンダイジング2024年12月号より抜粋)

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「当たり前」にデジタルを活用する人材を育成

「イオンデジタルアカデミー」(以下デジタルアカデミー)は、グループ従業員のだれもが当たり前にデジタルに触れ、活用できる文化の醸成を目指し、様々な学習機会を提供する場だ。オンラインイベント、ポータルサイトでの情報発信、海外視察、社内勉強会等々、様々なコンテンツやオンラインでの研修などを提供し、IT部門のみならず、本部、店舗のありとあらゆる職種で部門を超えてデジタル活用人材の育成を図る。これまで延べ約3万人の受講生を輩出している。

デジタルアカデミーで生成AIの「お試し環境」の導入を推進したイオンCISO ICT推進担当の吉田俊介氏は、導入の経緯について、次のように語る。

「2023年ころから一般的なニュースでも生成AIに関する話題が増え、デジタルアカデミーでも座学やウェビナーでその使い方を受講生に案内してきました。しかし同時に『座学だけではなく、実際に触って試してみたい』という受講生たちからの声もあり、その声に応えたいと思い、生成AIのお試し環境『AEON DIGIACAお試し生成AIサービス』(以下、『お試し環境』)の提供の検討をスタートしました」

あっという間に埋まった1,000人の枠

2023年9月ころから吉田氏が中心となりお試し環境の立ち上げの検討を開始。吉田氏に元々ITガバナンスやセキュリティに対する知見があり、セキュリティのルールづくりの経験があったのも、スピーディな導入を後押しした。1,000人の利用希望者向けに、2023年12月からお試し環境の提供を開始。利用期間は半年間に限定した。採用した生成AIは「exaBase 生成AI powered by GPT-4」という法人向けの生成AIだ。

続きは月刊マーチャンダイジング note版で!

 

《取材協力》

イオン CISO ICT推進担当
吉田 俊介氏