SNSマーケは田舎立地ほど効果を挙げやすい!?

地域のニーズに応え韓国コスメを「大型書店」でインショップ展開

大阪市に本社を置くオー・エンターテイメントは食品スーパー大手のオークワ(本社・和歌山市)のグループ企業で、予備校、フィットネスクラブ、シネコン、レンタルソフト、書店など多様な領域で事業を展開している。その傘下のひとつである「WAY書店」は書籍売場を中心に店内にはレンタルソフト、文具雑貨が同居するマルチフォーマットである。韓国コスメ売場は文具雑貨コーナーの一角に設けられ予想以上の売上を挙げている。(月刊マーチャンダイジング2022年8月号より抜粋)

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韓国コスメを「大型書店」でインショップ展開

[写真1]WAY書店外観(田辺東山店)

専門書を読みたいときは大阪の書店まで足を運ばなければいけない。何とか和歌山県内ですべての書籍ニーズに応えられないか。そんな思いから地元有力企業であるオークワを中心に創業されたのが「WAY書店」である。WAY事業部として和歌山、大阪、奈良、三重、兵庫の各府県のロードサイド、インショップで合計29店舗を出店する(文具雑貨専門店5店舗、カフェ1店舗を含む)。

[写真2]WAY書店内「Pen Terrace」で韓国コスメを展開

WAY書店は300坪~最大1,000坪の売場面積があり、5~7割が書店スペース、残り3~5割をCD/DVDの販売・レンタルと文具雑貨売場が占める。一部の文具雑貨売場は「Pen Terrace(ペンテラス)」という屋号で独立運営、地域に合わせ店ごとに品揃えを変えており現在5店舗を出店、Pen Terrace全店と、その他の店舗を合わせWAY書店全体で現在13店舗に「韓国コスメ売場」がある。

[写真3]CICA(シカ)シリーズの売場。CICAとは「肌再生」や「肌の損傷回復」が期待できる成分で韓国コスメの新定番になっている。マスクやクリームなど多彩なアイテムを揃える

「CD/DVDの販売・レンタルは、サブスクサービスの台頭などで厳しい状況にあります。将来を見据えこの売場を縮小、もしくは撤退し他の売場を拡張する改装を各店舗で進めており韓国コスメの導入もその一環です。WAY書店は和歌山、奈良、三重のルーラル立地の店舗も多く、地域住民の方にどういうニーズがあるかヒアリング調査をしていました。その中で聞いたのが韓国コスメが好きで(和歌山県)田辺市から大阪市の天王寺まで1時間半ほどかけて買物に行くという声でした。大手通販サイトでは品揃えに満足できない、注文してから到着までに時間がかかりすぎるという問題もあり、それなら韓国コスメの売場をつくってこの問題を解決すれば地域の方のご支持が得られるのではないかということで導入を決めました。2020年コロナ禍の最中でしたが田辺東山店がその1号店となりました」(株式会社オー・エンターテイメント 執行役員WAY事業部長兼新規部門開発担当 橋本敏樹氏)。

導入後、予想どおり地域住民には喜ばれ、特に若い女性が売場で涙を流しそうなほど歓喜している場面に遭遇したのが有城氏にとっては印象的だったという。

[写真4]MISSHA(ミシャ)のアイシャドウ「グリッタープリズムシャドウマーブル」など新商品、話題の商品はプロモーションコーナーで展開

韓国コスメ売場は各店の状況により7~20坪と様々だが毎月一定の売上があり利益貢献している。立地により客層は異なるが中心となるのは30代、40代女性。性年齢は既存客と大きな違いがなくても趣味志向の違う新規客を呼び込む効果を挙げている。売れ筋はロムアンドなどメジャーなブランドが主流だが、品揃えでは課題も見えている。

[写真5]シートマスク売場。人気のCICA成分入りを最上段に、細かい機能、成分別の多彩な商品が並ぶ
[写真6]通路のテーブルで話題商品、新商品をプロモ陳列

「田辺東山店の場合、20坪で500SKUほどを展開し導入の初月は約300万円の売上があり、予想以上の数字でした。その後は初月ほどの売上はありませんが堅調な動きを見せています。商圏が狭くリピーターが多いのはいいことなのですが、リピーターに頼りすぎ新規客を呼べるような新しいブランド、商品の導入が遅れている点は改善しなければいけません。流行の移り変わりが早い世界なので卸さんとも連携して商品の入れ替えを図っていきたいと思っています」(同WAY事業部文具・雑貨バイヤー販促・マーケティングプロジェクトリーダー有城昌之氏)

[写真7]肌温度を下げる機能を持ったスキンケア商品「グラシアルウォーターサンクッション」など話題商品をプロモ展開
[写真8]peach Cは韓国のインフルエンサーがプロデュースした新しいコスメブランド。2018年の誕生だが売れ筋として育っている

韓国コスメの人気を支える要因のひとつに韓国ドラマやK-POP、アイドル、食品など韓国文化の根強い人気がある。WAY書店では映像ソフトや雑貨で韓国発のものも扱っており、これらの商品を総合的に捉え店舗全体の活性化を図る。その中にあって韓国コスメの導入は、地域ニーズに応えると同時に新たな客層を開拓するという効果につながっている。

田舎立地ほど効果を挙げやすいSNSマーケティング

オー・エンターテイメントに韓国コスメを供給をしているのが、株式会社ケイラボである(同社詳細は本誌2022年7月号参照)。同社は韓国コスメの製造委託から卸、マーケティングまでを手掛けており、WAY書店での商品導入に際してもインスタグラム(インスタ)を使った広告活動を行い、これが売場の早期立ち上げ(集客、利益貢献)に効果を発揮した。

まず、インスタ広告の基本から紹介しよう。全体の仕組みとしては、特定の画像や動画をインスタユーザーに向けて配信するものだが、アカウント開始時に登録した性年齢、フォローしているアカウント、どのような投稿に対して「いいね!」を押したかなどユーザーに関するデータを基に細かく配信対象を絞ること(ターゲティング)ができる。インスタと同じメタ社が運営するフェイスブックの情報とも連携しているので、インスタと同時にフェイスブックを利用しているユーザーに関しては、ここで収集された情報もターゲティングの際の元データとして活用される。

インスタ広告には、いくつかのターゲティングの種類があるが、例えば「利用者属性ターゲティング」では、「地域(市区町村レベル)」「年齢」「性別」「言語」「属性(学歴、仕事、ファイナンス、子供がいるなど)」といった絞り込みの条件があり、「インタレストターゲティング」では、「興味関心(スポーツや健康、ビジネスなど)」「行動(旅行、記念日、スマホ利用状況など)」などの条件がある。これらの条件に沿って配信対象を絞り込むことで、より効果が期待できる相手に無駄なく情報を配信できるのだ。

[写真9]インスタ広告に使った投稿画像

ケイラボがWAY書店田辺東山店で行ったインスタ広告を見てみよう。

続きは、月刊マーチャンダイジング 2022年8月号で!

 

〈取材協力〉

株式会社オー・エンターテイメント
執行役員WAY事業部長兼
新規部門開発担当
橋本 敏樹氏
株式会社オー・エンターテイメント
WAY事業部文具・雑貨バイヤー販促・
マーケティングプロジェクトリーダー
有城 昌之氏