一番葉のみを使用。味、香り共に格別の青汁
1977年創業の山本漢方製薬は、180年以上の歴史を持つ漢方薬局店をルーツに持つ、医薬品・健康食品メーカーだ。創業43年目を迎えた同社は愛知県小牧市に本社を構え、東京、大阪、仙台、九州に営業拠点を持つ。
2020年の売上高は52億7,000万円。従業者数43名の少数精鋭で、商品の企画から原料の選定、製造までを一貫して行う。同社は日経トップリーダー・東京商工リサーチの共同調査による五期平均営業利益率の高い中小製造業ランキングの4位に入っている。
現在、山本漢方製薬では医薬品40アイテム(その内、指定2類医薬品14アイテム、第2類医薬品8アイテム、第3類医薬品18アイテム)、青汁、サプリメント、健康茶を含む健康食品183アイテムを取り扱う。現在の売上構成比は医薬品が1割、健康食品が9割程度。年に10アイテム程度の新商品を開発しており、商品は医薬品卸のアルフレッサ ヘルスケアを通じて、全国のドラッグストア及び薬局で展開されている。
山本漢方製薬の事業戦略の特徴は「市場ナンバーワン商品を持っている」「商品の質へのこだわり」「顧客との距離が近い」の3点が挙げられる。
同社を代表する商品が青汁カテゴリーの「大麦若葉青汁」だ。山本漢方製薬では青汁関連の商品を23アイテム展開しているが、「大麦若葉青汁」は、2000年の発売以来、右肩上がりで成長を続け、同カテゴリーにおいて11年連続で売上ナンバーワンを維持している。
「大麦若葉粉末」の原料となる大麦若葉は、中国の中でも比較的標高の高い浙江省やイタリア、ニュージーランドでも栽培を行っている。
なかでも、中国の産地の品質が一番良く、10月から種をまき、12月末から3月にかけて収穫される。気温も0度から10度と低いことから無農薬栽培を実現。約2カ月かけてじっくりと育てられた大麦の一番葉の若葉だけを手で刈り取り使用している。
「一番刈り」の若葉は栄養素が豊富で、色や味ともに優れており、二番葉、三番葉のように再び成長した古い葉を使用することはない。
収穫された味、香り共に最高品質の若葉は、選別作業を行った後、洗浄・乾燥し日本に出荷。愛知県小牧市の本社併設の工場で加熱殺菌や粉砕、包装といった工程を行う。
山本漢方製薬ではその年の気候や栽培方法によって、大麦若葉の配合を調節している。同社の「大麦若葉青汁」は63ミクロンまで超微粉砕されているため、水にも溶けやすく、一番葉のみを使用していることから味、香り共に格段に優れており、他社の青汁商品との差別化にもつながっている。
また、「大麦若葉青汁」の他にも、「ヤマモトのセンナT’s便秘錠」や「脂流茶」など、医薬品や健康茶でもドラッグストア売上トップシェアの商品をいくつも有しており、店頭でも存在感を発揮している。
独自サービスでロイヤルカスタマー育成
山本漢方製薬の経営方針の中でも最も特徴的なのが、顧客との距離を重視したマーケティング手法だ。
通常、メーカーと消費者との間には卸と店舗が入り、メーカーと消費者が直接やり取りする機会はほとんどない。しかし同社では、製品パッケージの中に商品サンプルや応募券付パンフレット、医薬品にはアンケート用紙を同封。また、「大麦若葉粉末」には10点集めるとひと箱もらえるプレゼント応募券のほか、専用のドリンクシェーカープレゼント特典も付けている。
商品サンプルやプレゼントの応募は1日に800~1000通、1年に約20~30万通。医薬品アンケート用紙への返信は1日50~100通、年間で2~3万通にものぼる。顧客名簿数は約86万人で、その多くがロイヤルユーザーとしてリピート購入につながっている。
サンプルやプレゼント等の送付については自社の従業員がひとつひとつ手作業で行っている。製品のプレゼントは1日に約200箱、サンプル景品セットは1日約600便が出荷される。
アナログな方法ではあるが、それだけに多くのファンを醸成しており、愛用するユーザーから毎日のようにお礼状が届くという。また震災や豪雨といった大規模災害の際は、支援の一環として「大麦若葉青汁」を送っており、被災者から大いに感謝されている。
まさに、松下幸之助の「売る前のお世辞よりも売った後の奉仕、これこそ永久の客を作る」という言葉の実践といえよう。
商品開発においては品質を重視し、「売れるから作る」のではなく、価格以上の安心と満足が得られるモノづくりにこだわる…。顧客との距離が近い独自のマーケティングや、原材料作りからこだわった商品開発により、山本漢方製薬の商品は多くのリピーターが支えている。
店頭でのサンプリング強化で来店動機につなげる
同社では近年、海外進出にも力を入れている。2000年より中国浙江省で、2013年よりイタリアでの現地生産を開始しているが、2013年より海外での販売もスタート。台湾・コストコを皮切りに、2014年には中国・アリババ「淘宝網(taobao)」、「天猫(Tモール)」での販売を開始した。2018年にはシアトルにてコストコのサプライヤーデーにも参加している。
同社では次世代につなげる取り組みとして、自社のネームバリューを高めるプロモーションにも力を入れている。宇梶剛士さん、原田龍二さん、柳ゆり菜さんを起用したインパクトのある「青汁戦士ヤマカーン」のCMは、同社のブランディングを向上させる上で大きな役割を果たした。WEBサイトでは飲み方の紹介やアレンジレシピなどデジタルコンテンツを充実させることで、若年層の取り込みも狙っていく。
健康ニーズの高まりを受け伸長してきた青汁のマーケットだが、まだまだポテンシャルはあると山本整社長は話す。
「他社商品との違いをはっきり分かっていただくには、味を知ってもらうことが重要。そのため当社では商品サンプルを提供している。店頭で配布も可能なのでぜひ、活用してもらいたい」と話す。店頭でのサンプル配布は商品の説明をしっかりできることから非常に効果的で、味を気に入ってもらえば店舗のリピーターになる可能性も高い。是非、以下の申し込みフォームから、サンプルを請求していただきたい。(小売業様・法人のみ)
ドラッグストアにとって最も重要な指数は客数であり、高いリピート率を持つ「大麦若葉青汁」は来店動機につながる魅力的な商品だ。青汁は健康食品の中でも特に続けやすく、継続購入が見込めることから店にとってもライフタイムバリュー(顧客生涯価値)の高い商品と言える。
同社の山本社長は「質にこだわった良い商品を多くの消費者に届けたい。店頭でのサンプリング配布などを機にカウンセリング販売を強化することで、優良顧客の醸成につなげていただけたら」と思いを語る。