レデイ薬局、有効期限管理ツール「セマフォー」導入で、店頭での期限チェック人時を70%削減

レジ作業、先入れ先出し、前出し、プライスカードの変更…店頭作業は数あれど、期限チェックほど払う労力の割に報われない作業はない。中四国を中心に235店舗(2022年5月現在)を展開するレデイ薬局は、スウェーデン生まれの有効期限管理ツール「Semafor(セマフォー)」の導入によって、店頭での期限チェック人時を70%削減した。導入の経緯と、その波及効果を、同社営業本部業務改善部の矢野智則部長に聞いた。(月刊マーチャンダイジング2023年8月号より抜粋)

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月平均人時58.9時間の期限チェック作業

食品の取り扱い比率が高まり続けるドラッグストア(DgS)。商品の期限チェックにかかる作業人時も増え続ける一方だ。万一期限切れ商品を販売してしまうとクレームにつながるため、正確を期す必要があるが、直接売上にはつながらず、前向きな気持ちでは取り組みづらい作業のひとつといえる。

レデイ薬局営業本部業務改善部部長の矢野智則氏は、期限チェックにいくつかの課題があると感じていた。

「店長たちからは、期限チェックが正しくできているのかわからなくて不安だという声がありました。また、現場にはできることなら期限ギリギリまで商品を販売したいという気持ちもあったのですが、そこまで綿密な期限管理ができるわけでもなく、あるところで諦めざるを得ないという悩みもありました」

[図表1]期限チェックに要する作業人時(店舗の月平均)

同社の期限チェック業務はカテゴリーごとに商品特性に合わせたチェック頻度を定め、定期的に全品チェックを実施するというもの。作業に必要な人時は月平均58.9人時(図表1)ほど。

「毎月、店舗レイアウト図を倉庫に張り、チェックが終わったカテゴリーを塗りつぶすという作業をしていました。店頭ではカテゴリーのゴンドラ前にオリコンをいくつか重ねておき、棚の商品を一旦全部そこに出して、期限が切れている商品を撤去しながら、先入れ先出しを行っていました」(矢野氏)。このような方法をとっていたために、期限チェックに漏れが出るカテゴリーがあったり、そもそも期限チェックをすべき商品が並んでいる棚を正確に把握できていないという課題もあったという。

もっとも早い期限の日付を監視し続けるのみ

そんな折、矢野氏は2021年12月に有効期限管理アプリ「セマフォー」の存在を知る。翌1月には同ソフトウェアの国内販売代理店であるスコープ社とコンタクトを取り、同4月からトライアルをスタートした。

「私たちが同ソフトを評価した一番のポイントは、軽くて導入のスピードが速いという点です。基幹システムとの連携が不要で、非常に軽い。導入に際して、大きな手間がないのが本当によかった」

「セマフォー(店舗用)」はタブレットにインストールして使用するアプリケーションだ。本部用と店舗用のシステムがあり、レデイ薬局の店舗ではiPadにアプリをインストールして使用している(本部用はウェブアプリ)。

[図表2]セマフォーの監視ルール

セマフォーの仕組は驚くほどシンプルで簡単。1SKUごとに、「もっとも早い期限の日付」のみを監視し続けるというもの(図表2)。
まず、本部がシステムに商品を登録。店頭にはひとつのSKUに対し、複数の期限の商品が陳列されるが、店舗従業員は「もっとも早い期限の日付」のみを入力すればいい。

[写真1]起動時のトップ画面(左)とチェック完了後のトップ画面(右)
▲[写真2]アラートの例
画面左側に期限チェックをする商品が並び、個々のSKUを選択すると画面右側に日付管理ルールやステイタスが表示される。該当日付の商品が売り切れていたら、棚の中で直近に期限がくる商品の日付を入力する

店舗従業員が日々システムを立ち上げると、トップ画面にカテゴリーごとの期限チェックをすべき商品数が表示される(写真1・左)。その数字をタップすると、チェックすべき商品の一覧が表示され、商品の横にはリスクに応じて緑、黄色、赤、3色のアラームが示される(写真2)。

信号への対処ルールは、各チェーンごとで設定するわけだが…

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